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第167話:温泉予定地


だんだん水音が近付いてきたな。勢いの緩やかな水流独特のせせらぎっていいよねー。なんというか、落ち着く。そんなことを考えながら、東に向かって走っていると、次第に川が見えてくる。


土地の高低差がないせいか、水の流れはかなり緩やかだ。こういう川は、多分清流になるのかな?少なくとも渓流にはならないと思う。川幅はそこそこあって、河原部分を含めて15mほどある。幅はあるが、水深はそれほどでもないようだ。たまに深くなっている部分もあるようだが、それでも1mに満たない程度の浅い川のようだ。


その緩やかな流れから発せられるせせらぎが、非常に心地よい。

うん。これはいいな……あとはより良い景観を探すとしよう。この場所も悪くはないが、個人的にはもう少し岩とか段差とかで動きのある流れの方が好みかなー?

というわけで、上流である北側へ足を延ばすことにしよう。土地自体に高低差があればそういったものも生まれやすいが、それがほぼないここでは、たまたま自分に合った良さげな景観を、自力で見つけるしかないのだ。


しばらく川沿いに歩いて行くと、少し川幅が狭くなっているところがあった。しかも、いい感じに大きめの岩や、巨岩が真っ二つに割れて平面になったような部分が水面ギリギリの位置にあって、その平面の上を撫でるかのように水が流れていたりと、ここまでになかった流れの変化がある割に、せせらぎは穏やかで心地いい音を奏でている。

周囲にある樹々の枝が川の上にも伸びており、そのために発生した陰影や木漏れ日も、個人的にいい感じなので、ここを利用したいと思う。


『ウル。ここの景観が気に入ったので、この周辺にしようと思います』


『そう。カヅキはこういう景色が好きなのね』


そう言って、ウルが私の肩越しに周囲を見渡す。おそらく、私の見ている景色を知りたいのだろう。それはともかくとして、女性に慣れていないので、引っ付かれると困るのですが……


『この辺りを切り拓くことになりますが、構いませんか?』


『ええ。もうこの辺りには、カヅキが何をしたところで文句を言う存在もいませんし、そもそも全て逃げ出していますからね。好きなようにしていいのですよ?』


『そうですか……それでは遠慮なくやらせてもらいますね』


『何ができるのか、楽しみですね』


そう言い残して、ウルは川の方に移動していった。まぁ、どこにいようと、こちらの動きは見えているのだろうな。




さてと……それじゃあ、まずは家の設計図とその周辺の伐採範囲とかを決めないとだな。ということで、本邦初公開ならぬ、初使用の全建築スキルと全土木スキルの出番です!


あー……なるほどー……こういうスキルなのかぁ……全建築を使用中に、こんな感じの間取りとか、欲しい部屋や設備なんかを思い浮かべるだけで、頭の中に設計図というか、見取り図みたいなものが次々と思い浮かんでくる。

なんというか、プロの設計士に相談して、要望を伝える度にそれに沿ったプランや図面を提供されている感じ?私はそれらを組み合わせたり、修正したりしていくだけという、どこかパズルゲームっぽいなー、などと考えながらも設計図を作っていく。


こういうのって楽しいよねー。部屋や廊下の配置とか扉の位置や構造、使用する木材や壁の種類とか寸法とか仕上げとか、もういろいろあって、すげー楽しい!


ああ、そういえば……ヴェル用にプールというか、専用の池を作ってやらないといけないな。少し上流から水を引いてきて、池を経由してまた元の川に戻るようにしないとだなー。

今はまだ体長4mのヴェルだが、多分成長したら大きくなるだろうし、最初からかなり大きめに作る必要があるかな……?広さの他に、深さもそれなりにないと窮屈になりそうだし、結構な大仕事になりそう……やるけど。


こういう設計みたいなやつは、ずっとやっていられるけど、とりあえず先に伐採はしておきたいし、建物の大きさを先に確定させよう。内装その他はまたあとでやろう。

それから、大まかに間取りを決めて、後から変更するかもしれないから範囲を多めに見ておいて……ああ、ウッドデッキと温泉と池の分の敷地も確保しないとだから、それもおおよそで面積だけ決めて……


一通り設計図を作ったら、今度は全土木スキルを使う。

うっわ!なんだこれ……ウィンドウが出て、そこにこの周辺の3Dマップが勝手に表示されたんだが……?このアイコンはなんじゃろ?って、ここにさっきの設計図が入ってるのか。なんていうか、スキルってすげーな……脳内設計図がしっかりセーブされてて、他のスキルでも流用できるとは……ゲームみたい、っていうかゲームだったわ。でも都市開発とか施設経営シミュレーションゲームだったっけ?って思うくらい凝ってんなー……


まぁいい、今は便利だからよしとしておこう。

それで……川があって、私の現在位置がここか。まずは一番大事な温泉の場所は……ここか?いや、もう少しこっちに……うーん、温泉の向きはこうしたほうがいいか?むぅ……それで、家とウッドデッキはこうでしょー?うん?なんかちょと違うな……あー、でも今修正しようとすると、すげー時間食いそうだし……念のために空白を多めにとって、仮設置ということにしておこう。あとは池だな!えっと、川の上流はこっちになるわけだから…………




いろいろと試行錯誤しながら、暫定的に敷地面積を決めて、伐採範囲を確定する。この時点で既に、敷地面積は約70m×80mになっていたが、半分はヴェル用の池だから……おかしい、こじんまりした個人宅予定だったんだけど、どうしてこうなった……?


ま、まぁいい。あとは、それに沿って伐採するだけだ!まずはそれからだ。伐採しながら一度頭をリセットしておけば、何かいい案が浮かぶかもしれないしな!リフレッシュ大事!


ということで、伐採開始じゃぁぁぁぁぁっ!!


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