第163話:ヴェノムサーペント
さて、まずは種族特性から見てみようかな?
竜鱗守護:
盾の如き竜の鱗は、弱者の牙には傷付きもしない。竜としての格が高ければ高いほど、その効果も上昇していくが、竜族に対する特効を持つ攻撃には効果を発揮できない。
自他の戦闘力を比較し、一定割合以下の攻撃を無力化する。
深海適応:
深海という極限状況下でも、その影響受け付けない。水中における、あらゆるデメリットが無効化される。
毒無効:
あらゆる毒を無効化することができる。毒以外の状態異常には効果がない。
おおお、これは結構すごい効果なのでは?!
あと、サーペントって海蛇じゃなくて海竜だったのね……てっきり、スネークとかからの派生進化だとばかり思ってたわ。すまぬ。
別にヴェルを侮っていたというわけではなく、ファンタジー世界のモンスターの代名詞とも言われる最強種、竜族とこんな始まりの街付近で出会うと思っていなくてですね……まぁ、竜族と一口に言っても、ドラゴニュートとかいろいろいるだろうし、竜族だからと言って全ての種族が最強種ではないのだから、終盤にしか出ないというわけではない。中ボスだったり、ダンジョンエネミーだったり、僻地の隠れ里があったりするかもしれないしね。
まぁいい、それはおいといて……
毒無効と深海適応は、名前通りの効果のようだ。深海適応って水中でのデメリット、全て無効化とかすげーな……もしかして、水中関連のスキルの最上位だったりする?すごいけど、海が見つかるまでは出番がないのが悲しい……
次は竜鱗守護!これって多分、序盤ではなく終盤で輝くタイプの奴だよねぇ?!
実際、ヴェルと会った時は既にダメージ受けてたし、テキストを読んだ限りでは格下相手に無双というか、雑魚を無視できるようになる能力っぽいしなー。
今はまだ自身が弱いから、その効果を発揮できる相手がいないのだろう。あるいは、この辺りの敵がそれだけの強さを持っているということなのかもしれんが……今のところ全部即死、確殺状態なんだよなー……
ほんと、今の私の強さってどれくらいなんだろうな?
それはともかくとして、竜鱗守護だ。これは竜としての格が高ければってなっているけど、それはつまり、進化するたびに割合も増えていくってことなのでは?ただでさえ進化で本体が強化されるというのに、さらに割合も増えるとなると……最終的には、本体より弱い相手からの攻撃を全く受け付けなくなるのでは?ああ、そのための竜族特効なのか。それさえあれば、竜鱗守護は無効化されるからね。
とはいえ、ドラゴンスレイヤー的な装備を先に手に入れておかないと、出会った時点で完全に詰みになるのでは?単独で敵対してるドラゴンと同格のプレイヤーなんているわけがない。パーティやレイドでようやくといったところだろう。その程度の個人戦力しかないのであれば、特効武器なくしてダメージは与えられまい。
となると、私もどこかで竜族特効の武器を一つくらいは手に入れておいた方がいいだろう。
どこで手に入るんだろうか?少なくとも売ってはいないだろう。そもそも、そんなに数はないだろうし、王侯貴族の家宝や国宝になってる可能性の方が高い。師匠たちなら持ってそうだけど……
そういえば、ドラゴニウムなんて素材がありましたね。今まですっかり忘れていたけど……あれって、多分ドラゴンのレアドロップだったりするのでは?だとしたら、下手すると師匠たち全員が特効武器を持っている可能性すらあるのでは……?
あの素材、ドラゴニウムで作られた武器なら、竜族特効も付いてそうな気がする。とはいえ、国が傾くような価値のある素材を使わせるわけにはいかない。そういうのは、素材を自分で集めてからするものだ。なので、この案件もしばらく保留にしよう。保留案件多すぎ問題が発生しそう……
気を取り直して、次行こう次!
特効軽減:
自身に対する攻撃に加えられる特効の効果を軽減させる。特効によるダメージのみならず、それに付随する効果も減少させる。
うん?これって……竜鱗守護はどうなるんだろう?竜族特効を使われた場合、無効化されるわけだけど……これに軽減効果って効くのだろうか?うーん、わからん!ということで、ヘルプさん出番ですよー。
ヘルプさんによると効果はあるようだ。それによると、竜族特効は竜鱗守護の効果を-100%するということで、例えば20%の軽減効果の場合、-100+20ということで-80%の効果となり、本来の20%の効果、つまり軽減分だけ効果が出るという計算らしい。
ただ、軽減効果の数値がどこにも載っていないから、多少軽減されることしかわからないという結果に終わった。だが、ないよりはずっとマシだし、おそらくこのスキル以外では竜鱗守護の無効化に対抗できないのではなかろうか……
そういった意味では、非常に貴重なスキルと言えるだろう。
はい、次。残るは固有スキルだけだな。
毒咬撃:
毒牙による噛みつき攻撃。通常の噛みつきとは違い、齧り取る攻撃のため部位破壊が起こりやすい。それに加えて毒牙による攻撃でもあるため、部位破壊の有無に関わらず、対象を毒状態にすることができる。
毒尾撃:
尻尾による打撃攻撃。横薙ぎの場合、扇状に振り回すために範囲攻撃となる。また、毒が振り撒かれるため、一時的に同範囲内にいる対象を毒状態にする。直撃を受けた場合は、毒の効果時間が延長される。
ノックバック効果あり。
毒気領域:
自身の周囲に毒の領域を作り出し、範囲内の生物を毒状態にする。領域内に居続けると、毒の過剰摂取により一定時間毎に毒の効果が上昇する。
毒ブレス:
体内に蓄積されている毒を口から扇状に放出するブレス攻撃。範囲内の敵を毒状態に加え、盲目状態にする。
なんというか、派手さはないが、地味にきつい攻撃ばっかりだなー。とにかく毒にしてくる上に、部位破壊とノックバックという近接殺し。なにより厄介なのが毒気領域。範囲内にいるだけで削り殺されかねないのだ。近接系の獣やタンクや重戦士にとっては、天敵以外の何物でもないな……
そうかといって、遠距離なら大丈夫かといえば、そうではない。足場を問わず結構な速さで動けるため、油断すればすぐに接敵されてしまうし、なによりブレスが怖い。タンクの後ろにいたところで、物理攻撃ではないため防げない上に、扇状の範囲攻撃故に多少移動したところで無意味なのだ。
しかも、毒のみならず盲目にされては狙いも付けられない。治している間にやられてしまうだろう。
そう考えると、初見殺しもいいところだな。ヴェノムサーペント、恐るべし……