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第162話:這い寄る不安定


ふぅ……今日も1日、走った走った。

毎度のことながら、この身体の体力すげーなって思う。走る速度もおかしいけど、それを維持し続けても尽きるどころか減ってるのかもわからないスタミナに、息切れすらしない心肺機能。しかも今日に至っては、全長4mのサーペントを背負ったままだったにも関わらず、まるで気にならなかったという……


このゲームって確か疲労の概念あったよね?私が自作した装備のどれかに、疲労軽減のスキルがついてたはずだから、多分あるはずなんだけどなー……それなのに、呼吸すら乱れないってどういうことなんだろうね?楽だし、助かるからいいけど……


まぁ、もう既に普通の人間を種族的に卒業しちゃってるし、人間離れしていくのは仕方ない。しかも、まだベースレベルは3のままだからね?これからどんどん引き離されていくよ?多分レベル4になったら、全能力+20になるんでしょう?うん、わけわからんね。考えるのをやめよう。

どうせ、この数値が増えることがあっても、減ることはないのだ。あの女神が私の弱体化など認めるはずがないのだから……はい、そこ。うんうんって納得して頷いてるイメージを投げてこないように。私はまだ吹っ切れてないんだから……


考えてもどうにもならないし、気持ちが凹むだけなのはわかってるけど……時折、かつての常識が思い出されてしまう。さながら、好きなゲームを夢中でしている時に、ふと我に返ってしなければならないことを思い出して、急にテンションが下がってしまう時のようだ。

一度こうなるとなかなか頭から離れないから、うまいものでもたくさん食べて、満腹で眠くなるのに任せて寝るくらいしか対処法を知らない。温泉に浸かりながらこの子たちを愛でていれば、少しはマシになるのだろうか……?

何者にも侵されない、誰にも煩わされない、その可能性すら完全にゼロな、私だけの小さな世界があれば、私の中に燻ぶる良くわからない疼きも癒されるのだろうか?人にも時間にも縛られず、心の底から自由になることができるのだろうか?


『カヅキ?どうしました?……またあの時のようになっていますね。何がありました?』


『いえ、特にこれといったことは何もありませんよ。ただ、時折いろいろと余計なことを思い出したり、考えたりしてしまう。それだけです』


『それだけで、こうも不安定になるのですか?カヅキのことは気に入っていますが、この状態はどうにも気に入りません。ですから、こうならないように気を付けてください』


『気を付けようにも、ふとした拍子に勝手に内側から出てくるので、自分でもどうにもならないんですよ……』


『なら、その内側にあるものを吐き出してしまえはいいでしょう?』


『それができるのであれば、最初から女神が取り除いていたでしょうね……』


あの女神ですら、忌々しいと毒づきながらも完全に打ち消すことのできなかった何か。この世界に来てから半年経ってなお、その影響は薄まることなく私の中にあり続けている。それは、楽しんでる最中だけは何故か影響を受けないが、逆に言えば、お楽しみが終わって気が抜けている時は影響を受けるということだ。それ故に温泉施設に住まうことで、影響を受ける時間を減らそうとしているのだ。温泉を楽しむことで、少しでも何かが洗い落とされればとも思っているため、一刻も早く温泉を早く造らねばならない。


『本当に、なんてものを抱え込んでいるのですか……』


『私に言われても困ります……まぁ、その影響を少しでも緩和するために、温泉を作って気を楽にしようと思っているのですが……』


『そういうことですか。では、急ぎましょう。これ以上、そんな状態のカヅキは見ていたくありませんから』


『一体、ウルにはどんな風に見えてるんでしょうね……?知りたいような、知りたくないような、複雑な心境です。あと今日はもう進みませんよ?ご飯食べて寝ますからね』


『そうですか……明日はあれから10日目ですから、威圧を使って全力で移動することにしましょう』


『わかりました。それではそうしましょうか。私としても早く温泉に浸かりたいですからね』




それから、ヴェルにも工房への入り方を教えて、中で一緒にご飯にした。

ヴェルは元々毒系統の種族なので、フィアと同じ毒餌を与えてみたが、問題なく食べられたようだ。毒も発症していないし、多分大丈夫だろう。

満腹で眠くなる前に、ヴェルのステータスだけでも見ておくかな?いやでも、まだ眷属化はしてないと思うから見れないかな?



--------------------------------

名前:ヴェル

種族:ヴェノムサーペント(♂)

関係:従魔(眷属)


LV:1

体力:91/91

魔力:282/282

筋力:21          耐久:25〈+15〉

知性:11          精神:17〈+160〉

器用:14          敏捷:18

幸運:19〈+10〉


固有スキル:毒咬撃 毒尾撃 身体制御 毒気領域 悪路走破

      毒ブレス


特殊スキル:悪運 特効軽減 



種族特性:竜鱗守護 深海適応 毒無効



耐性:

・肉体

 毒Ⅹ  麻痺Ⅱ 物理Ⅰ 打撃Ⅰ 衝撃Ⅰ


・【精神Ⅷ】


・属性

 水Ⅴ・闇Ⅰ・冥Ⅴ


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なんというか……この子も最初からテイム状態なのね?しかも何故か、もう既に眷属になっているのですが……?

眷属って信頼度みたいなマスクデータの条件があったはずでは?それをあっという間にクリアするほど嬉しかったのか?嬉しかったんだろうな……今まで独りだったから、反動もすごかったんだろうなー……独りじゃなくなる上に、食も住も満たされるとなれば、そりゃあ懐くよねぇ……


まぁ、懐いてくれる分には問題ないけどね。

それに、この子めっちゃ強いぞ!何故かこの子もレベル1だけど!それなのに、ステータスがかなり高いし、フィアよりも総合数値でかなり上回ってるという……

スキルや特性も、種族名のヴェノムに恥じない毒っぷりである。おまけに、なんだか防御寄りっぽいステとスキル構成してる?これは寝る前にスキルもちゃんと見ておかねばなるまい……


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