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第16話:濃すぎじゃね?


「お見事です。よくそこまで見抜けるものです。感心しました」


「ふふ、お褒め頂きありがとうございます。他に質問はございますか?」


「あとは…そもそもエミーリア様とギルドマスター達が何故朝から図書館に集まっていたのか、ですね。これはどう考えても異常事態だと思うのですが?」


第4王女と各ギルドマスター勢揃いとか、国難やクーデターを疑われても仕方ない布陣では?


「それは昨夜のうちにカヅキ様が明日も図書館に来ると判明したからですよ。問題を起こしてばかりいる印象の渡来人の中にも、わたくし達に協力的な方が居ると掲示板で対処法と共に広まりまして、どんな人物か自分の目で確かめようと思った人たちの中で、間に合う人が駆け付けたという訳です」


「全員、要職にある多忙な方ばかりだと思うのですが、本来のお仕事の方は?」


「おそらくは押し付けて来たか、抜け出して来たかのどちらかだと思われます。今頃は他の職員達からさんざん文句言われた後で、交代要員としてこき使われている事でしょう」


この質問に対しては、何故かマイアさんが涼しい顔をしたままそんな事を宣う。


「さて、お昼も大分過ぎてしまいましたし、そろそろ食事にしたいのですが…エミーリア様はどうなさいますか?」


「街の食事にも興味はあるのですが、さすがに問題行動になりますので今日のところは城に帰るとしましょう」


まぁ、そうなるよね。何の前触れもなしに街中に王女様が現れたら大混乱待ったなしである。


「ではマイア、後の事は頼みますね。カヅキ様、またお会いできるのを楽しみに、城でお待ちしております」


そう言って微笑むと、突然姿が消える。

……そりゃ王族だもの。緊急避難や離脱するための方法くらい持ってるよねー。

魔術を使った様には見えなかったけど、アイテムか何かかな?


「カヅキ様、エミーリア様も帰られた事ですし、わたし達も食事にしましょう」


「そうですね。食事の後は何か予定はありますか?」


「いえ、特にありませんので、食事後は自由にされて結構ですよ」


「わかりました。では昨日の続きを読ませていただきます」




そうして2冊目を読み終わり退館した時には、辺りは既に暗くなり始めており、散策する事もなく宿に帰り食事にしたのだが…


「あの…昨日より量が増えてません?とても一人前に見えないんですが…」


明らかに増量されている。いや、確かに昨日は肉2枚食べたけども!あれが通常の食事量ってわけじゃないのよ?


「なぁに言ってんだい、この子は。若いんだからそれくらい食べて当然だろう?これから毎日その量だからね。腹を空かせて帰って来るんだよ!」


そう言い残して他のお客さんのところへ行ってしまう。こちらのやり取りを見ていたお客さん達は、苦笑していたり微笑ましいものを見たとばかりに相好を崩していた。

そんな視線を感じながらも何とか完食すると、部屋に戻って一息ついてから今日の出来事を振り返ってみる。


朝から大盛りを食べさせられて、図書館に行ったらいやーな気配がして、逃げようとしたら王女とギルマス連中に囲まれ、解散したと思ったら王女に尾行され、応接室でマイアさんと情報交換をして、王女と話して、本を読んで、大盛り食べて今に至る、と…

いや、濃すぎじゃね?あと王女成分が多すぎる!王女と大盛りなかったら情報交換と本だけやん!あー、やってらんねー……


でも、これで余計な事はもうない、はず…

身分証は手に入れたし、バカ共への対処法も教えたし、システムの説明もした。世界観の説明もしてもらったし、王女は帰ったし、ギルマス達も自分達からは近づけなくなった。

あと起こりうる面倒は…プレイヤーからの勧誘くらいか。これはまぁ、暫く図書館に籠って居れば、その内みんな次の街へ移動するだろうし、とりあえず半月も籠れば人を勧誘するような連中はほとんど消えるはず。街中やフィールドの探索はそれからでも遅くはない。むしろ人がいない分やりやすいはずだ。

幸い、今回の情報交換で調べたい事がかなり増えたから、半月程度すぐに過ぎてしまう気がするし、調べものの最中にさらに調べものが増える事もよくあるしな。


それにしても、あれだけ薬草類をはじめとする植物系の本を読んだのに、知識系のスキルとか手に入らなかったな…それ系のスキル自体はあるっぽいから、条件を満たしてないだけだと思うんだけど、なんだろうね?

読書量が足りないのか、専門知識も必要なのか、それとも実際に薬草採取とかもしないといけないのか、いくつか思いつくものもあるし、とりあえず全部試してみればいいさ。


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