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第151話:ウルの驚愕


光が全くないため昼夜の区別がつかないが、時間的にそろそろ夕飯の頃合いなので、ウルに一声掛けて敵の少ないところを探してもらい、今日はこれで休むことにする。


案内してもらった場所で、樹の幹に工房の入り口となるハッチをくっつける。


『それは何ですか?』


『これはかなり特殊なアイテムで、ここから安全な工房に入ることができるんです』


『工房?こんな四角い板から?』


『これは私専用で、眷属であるフィアは入れるますが、ウルが入れるのかは試してみないとわかりませんね……』


一緒に行動しているから、ゲーム的にはパーティみたいなものなのだろうが、この工房って入場制限ありってなってるから、精霊が入れるかどうかは不明なんだよねー。


『これ自体が入口なので、ここに触れて中に入ることを意識すれば入れるのですが……そうですね、まずフィアが中に入ってくれる?』


『ピィィ!』


返事をしてすぐに中へ入るフィア。それを見たウルはかなり驚いているようだ。


『フィアの存在が完全に消えましたね。空間転移とも違いますし、これは……』


『この中が異空間みたいになっていて、すごく広いんです。ウルも試してみますか?』


『そうですね。触れて意識すれば良いのですね?』


『はい、そうです』




『入れませんね……』


『やっぱり入場制限に引っ掛かるのかぁ……となると、使ったことないけどパーティ機能を使ってみるか……』


システムからパーティの項目を開き、申請しようとしたのだが、精霊がパーティ加入することが想定されていないのか、ウルへ申請することができない。名前や範囲で検索することもできるので試したが、反応しない。苦肉の策として、ウルに手を繋いでもらってから改めて申請画面を出したら、何か出た。


出るには出たが、見事に文字化けしている……

多分、想定外の事態なのだろう。私が実際に触れているために、実在するものとして扱わねばならないが、用意された情報がないか、膨大過ぎるかで処理がバグったのかもしれない。運営にはすまんが、今回は許してもらおう。

そのまま申請をしたら、何故か相手の認可なしで通ってしまったが、今はその方が都合がいいので見なかったことにした。


『あら?何かカヅキとの繋がりができたのかしら?』


『えっと……一応繋がってることになるかも?パーティ、つまり仲間として、一時的に身内みたいなものになった感じでしょうか?渡来人故の能力みたいなものと思っていただければよいかと』


『なるほど……渡来人にはそのような力があるのですね』


『多分、これで中に入れるようになったと思うので、試してみてください』


『わかりました。では、早速……』


そうしてウルがハッチに触れると姿が消える。パーティには私とフィアと文字化けの3名が入っていることになっている。成功したか?とにかく私も中に入るとしよう。




中に入ると、そこには先に入っていたフィアとウルの姿があった。


既にフィアはいつものように寛いでいるし、ウルはこういう工房が珍しいのか、とても驚いているようだ。


「無事、中に入れたようでなによりです。ここは特殊な空間になってるようなので、外を気にせず話せますよ」


「ここは、どうなっているのですか?確かにこの世界であるはずなのに、何処にもつながっていない……」


説明してあげたいけど、これ女神謹製の特殊アイテムだからなー……

いくらウルが上位精霊だからとはいえ、話していいものなのか……OK出すんかい!やけにあっさりと許可のイメージが飛んできたけど、もしかしてウルもエミーリアやメリルさんと同類なのか?決して私を裏切らず、外敵の排除に全力を注ぐタイプの協力者ポジの住人。なに「やべぇ、バレた!」みたいに焦ったイメージ送ってきてんだよ……


全く……現王女に英雄クラスの元王女に加えて、今度は上位精霊とか、過保護にも程がある。どんだけ送り込めば気が済むのか……

一応聞いておくが、本人の意思とか無視して神託とかで動かしたり、思考を捻じ曲げたりしてないだろうな?うん、びっくりしながらめっちゃ首振って否定してるイメージが飛んできたし、まぁそれならいいかと思うことにする。これ以上増やすんじゃないぞ!

…………イメージが飛んでこないってことは、またやる気だな。一体次は何を寄越すつもりなのか……今から気が重いわー……


「うーん……まぁ、ウルならば大丈夫でしょう。この工房を創り出したのは、他でもないこの世界を創った女神なのです。私はいろいろあって、女神との接点があるために、このようなものを持たされているわけです」


「はい?カヅキ?何を、言っているのです?創世の女神様など、もうこの世界にはいないはず……そもそも人の歴史には、その存在は記されていないはずなのに、どうして……」


「先程も言ったように、いろいろあったようなのです。向こうの世界から、私をこの世界に呼び寄せたのも、この世界で暮らすために不要な記憶を奪ったのも、その創世の女神様なのですよ」


「まさか、そんな……でも嘘はついていない。それにこの工房も人に造れるものではない。……わかりました。カヅキの言葉を信じましょう」


「ありがとうございます。詳しいことは私にもわかりません。知っているのは女神だけでしょうから、どうしてもという場合は、そちらに聞いてください」


「できるわけがないでしょう……」


デスヨネー。まぁ、聞いたところで絶対に教えてくれないだろうけど。さて、事情も説明したし、ご飯にしましょうかねー。


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