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第147話:私にもわからん!


「えーっと、ですね……距離的には、片道で50日前後の土地ですね」


単純に距離だけなら、それくらいのはず。実際に到着するまでは何日掛かるかわからんけど……


「……片道50日というと、王都にでも行くつもりですか?」


「いえ、そんな面倒な所に行くつもりはありません」


王都とか、厄介事の巣窟じゃないですか、やだー!


「……カヅキ?よもや、北から東方面へ50日ではありませんよね?」


ほんと鋭いなぁ、この人!それとも私がわかりやすいとか?そんなことはないと思うんだが……


「……北ですね」


あー……うん。予想通り雰囲気が変わりましたね。よろしくない方へ……


「誰に、何を、吹き込まれました?」


おおぅ……気配がどんどんヤベーのになっていく……これ、この街の誰かだったとしたら、即行で捕縛してきて、情報を引き出すだけ引き出してから処すんじゃなかろうか?まぁ、今回は不可能だろうけどね……

それにしても、水の上位精霊のことを話してもいいのだろうか?この3人なら問題ないと思うが……別に口止めされてるわけでもないし、大丈夫……かな?どうせ言わないと解放してもらえなさそうだし、言ってしまおう。もし言ったらダメな時は、何らかの抑止力が働くだろう。


「水の上位精霊に、私が求める条件が揃った土地の位置、でしょうか?」


「え……?水の、上位精霊……?」


うん、まぁ……そりゃあ、びっくりするよねー……

3人の中でも、特に驚いているのがフェルシアさんである。精霊と関りのあるエルフだからね、仕方ないね。フェルシアさんって、こんなに大きく目が開くんだなー、などとくだらないことを考えながら話を進める。


「はい。昨夜、水の上位精霊とお話しする機会に恵まれまして、話の流れで私の旅の目的を話しましたら、ほぼ理想的といっていい条件の場所を見つけてくださいました」


「それが北へ50日行ったところだと?」


「そのようです。とはいえ、それくらいの位置にあるというだけで、実際に到達するまでにどれくらいかかるかは未知数ですが」


「あなたは、北の森がどのような場所かよく知らないから、そのようなことが言えるのです。あの森は別名”死の森”あるいは”闇の森”とも呼ばれる、一切の光を拒む暗黒の森なのです。松明やランタンなどの灯りとなる道具はもちろん、光の魔法も効果を発揮しません。完全な暗闇であるため、方角を知ることもままならない。加えて足元が湿地になっており、泥に足を取られるため、思うように動くこともできません。また、そのような場所ですから、腰を下ろして休息することもできませんし、日が差さず、常に足元が濡れている状態になるためか、どんどん体温が下がって行くのです。結果として時間が経てば経つほど身動きが取れなくなり、死に至るのです。過去、あの森を抜けたというものはおらず、それどころか、戻ってきたものもほとんどいない人外魔境なのです。そんなところを50日も進めるはずがないでしょう?」


ですよねー。その手前まで行って戻ってきたからわかる。あそこは、そもそも突破できるようになっていないのだろう。最序盤にありながら、近づくだけでアウトなエンドコンテンツ。運営側からすれば、「やれるもんならやってみろ!」と言わんばかりの、所謂ラストダンジョン後のお楽しみ、裏ダンジョンである。


おそらくは、今の私のように上位精霊などの導きがなければ、突破できないようになっているのだろう。

私の場合は水だったが、多分大地や樹木などの、森に関係する上位精霊に関心を持たれることが第一条件で、その後も何らかの条件を満たすと、導いてくれるようになるのではなかろうか?


「そこは大丈夫だと思いますよ?なにしろ、水の上位精霊直々に案内してくださるそうなので」


「…………カヅキ、あなたは本当に何をやっているのですか?あくまで長期旅行のための予行練習で、不備がないかを確かめるだけではなかったのですか?」


いや、本当にどうしてこうなったんだろうねー……?私にもわからん!

だってさぁ、月光花を採取するために水場周辺を整備して、いざ採取しようとしたら余りにも数が少なすぎて躊躇していたら、水の上位精霊に声を掛けられるとか、そんなん予想しとらんわ!


「そのはずだったんですけどね……どうしてこうなったのかは私にもわかりませんが、国中を当てもなく探し回るまでもなく、目的地が判明したのはとてもありがたいことですし、おまけに案内までしてくださるのですから、感謝しなければいけませんね」


「確かにそうなのですが……まぁ、いいでしょう。道中、道に迷わないのは良いことです。ですが、森には当然動物や魔物がいるはずです。それもあの環境に適応した未知なる存在が。そちらに対してはどうするのですか?対処できなければ無駄死にするだけですよ?」


「それは私も疑問に思ったので聞いて見たところ、今の私の戦闘能力であれば、手こずるかもしれないが負けることはないから大丈夫らしいです」


「そうなのですか?他ならぬ水の上位精霊がそう言うのであれば、そうなのでしょうが……」


「そういうわけで道中は大丈夫なようですが、判明しているのは位置だけなので、目的地に到達するまでの日数はあくまで目安です。この街周辺の森での移動速度から割り出したのが50日前後というだけですので、実際にはもっと掛かると思います。真っ暗な湿地での移動で、どれくらい差が出るかがわかりませんが、遅れることはあっても早くなることはないでしょうし……」


とはいっても、装備品とかでも底上げされるので、足元は多分問題ないんだよね。ただ、どうせなら採取もしたいし、狩りで素材も欲しいんだよねー。

多分、まだ誰も倒したことのない獲物に、それ故にまだ誰も手にしたことのないレア素材!そんなレアモンスターからのレアドロも期待できるというのであれば、狩らない方がおかしいだろう。


これだからコレクターは……と言われるかもしれないが、そこはほら、元廃ゲーマーでやり込み勢ということで、勘弁してほしい。いつの日か、マップも全て埋めてみたい。動植物の分布や狩りにおけるドロップ一覧も追加した完全マップを作れたらいいなぁ……


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