表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
137/220

第137話:初めての伐採


フィアはしばらく歩き方を模索していたようだが、ある程度納得できたのか、少しずつ歩く速度を上げ始めた。

徐々に速度を上げつつも、敵を見つけたらなるべく気付かれないように接近してはいるが、まだ始めたばかりなこともあり、なかなか奇襲にはならないようだ。それでも、何度もやっていれば上達もしてくる。気配はともかく、移動時の音はかなり減ってきており、速度も上がってきているので、今日中には音を立てずに全力で走れるようになれるかもしれない。学習能力高いなー……


フィアが狩り始めてからまだ3時間も経ってないのに、もう既に南東の森では敵なしになってしまった……

身体が大きくなり、力も攻撃手段も増えたフィアにとって、もはや狼も猪も鹿もただの獲物でしかない。狼が3~4頭で襲い掛かってきても、その場でくるりと回れば、それなりに長めの尻尾がまとめて薙ぎ払ってしまう。しかも効率的な戦い方だと思ったのか、進化前に私が足を射貫いて動きを止めていたのを真似るかのように、尻尾を足に叩きつけて折るようにしているようだ。

無論、全ての敵の足に当てられるわけではないので、足を折られた敵は後回しにして、とにかく行動不能に陥らせてから止めを刺す戦い方をするようになった。


実は、こういう戦い方になったのには理由がある。

最初は尻尾で薙ぎ払う時に敵の頭部を狙っていたのだが、たまたまなのか狙ったのかはわからないが、振り回された尻尾をカウンター気味に噛みつかれたことがあったのだ。傷自体は浅くて少し出血するくらいだったが、それからは噛みつく敵には口付近以外を攻撃するようになった。

ちなみに、その時の狼は噛んだ直後に噛みついたままお亡くなりになりました。うん、すまんな。フィアを出血させたら、させた方が死ぬんだよ……


そんなわけで、予想を上回る速度で南東の森では敵なしとなったフィアに戦闘を任せて、私は採取しながら森のマップ埋めをすることにした。

採取できるものは南西の森とほぼ同じで、唯一の違いはアボカドが見つかったことくらいだろうか?採取しておいてなんだが、これって皮剥いてそのまま食べればいいの?今まで食べたことがあるのは、サラダに入ってたやつくらいだろうか?味が記憶に残ってないってことは、それほどうまいとは感じなかったんだろうなー。何かに使うかもしれないし、ある程度残してスゥ婆さんに譲ればいいか……


フィアがほとんど無双状態になってきたので、途中から「たまに噛まれて傷を維持してね」とお願いしておいた。負傷するたびにご飯を食べさせて回復を促しているわけだが、思ったよりも傷の治りが早かった。そのため、ちょくちょく狼に噛まれてもらっているのが非常に心苦しいが、今は耐えてもらうしかないな。


マップ埋めをしていたら小さめの泉を見つけたのだが、ここにはあまり日が差さないので、ここに月光花が現れるかはわからない。周囲が木々に覆われている上に泉自体が小さいため、ほとんど真上からしか光が差し込まないようだ……もっと周囲が開けていればよかったんだが……

ん……?木々が邪魔で光が差し込まないのであれば、この周辺だけでも伐採すれば状況は変わるのでは?

ふむ……いずれは伐採にも手を付けるつもりだったし、いい機会だからこの辺の木々で伐採の修業といきますか。


というわけで、泉を中心に同心円状になるように伐採を始めることにした。

フィアにはこの泉の周辺で待機していてもらおう。さすがに伐採だと採取と違って、斧で木を切る時に結構でかい音が発生するだろうからね。その音に呼び寄せられるものもいるかもしれないから、念のために警戒していてもらうのだ。もちろん、私もしっかり警戒はしているが、念には念を入れておくべきだしね。


斧もいくつか手持ちにあるが、今この周辺には誰も居ないし、久々に女神スコップでも使いますかねー……

前に使ったのは……初めて採取しに街の外へ出た夜か。あの時も少し地均ししただけだし、まともにスコップとして使ったことがないな……とはいえ、多目的スコップとなっているし、用途外というわけではないので問題はないな。伐採に使った時にどうなるのかも知っておきたいしねー。


ほぼ、この時のために習ったといっても過言ではない斧の技術を、ようやく使う時が来たか……それでは第1打、いきます!


ゴスッ!メキメキ……メキッ!ガサガサガサーッ!!ドォォォォォンッ!!!


…………はい?

私、まだ1回しか打ち付けてないんですけど……?なんでもう切り倒せてるの?明らかにおかしいよね?

これは……もしかしなくても女神スコップのせいだよね?そうでなければ、たった1回でこんなに太い幹が切れるはずがないのだから。忘れてたけど、これも最初にもらったチートシリーズのひとつだったんだよなぁ……つまり、あのテントと同レベルの規格外品ってことをすっかり失念していたよ……


まぁなんだ……これはもう、こういうものだとして受け入れるしかないのだろうなー……これから先、それこそ要塞建設に必要な木材の数を考えれば、伐採速度が速いに越したことはないのだから、時間短縮できるようになったとでも思えば、まだなんとかなるさ……ハハハ……あんにゃろー、最初からとんでもねーもんを寄越しおってからに。使用を控えていて正解だったわ……


とりあえず、今切り倒された木を回収して次の木に移るか。

どうせ、これ以上考えていてもどうにもならんのだ。なので、ここはすっぱりと切り替えて、伐採に戻ることにした。

そうして、泉に近いものから順番に切り倒していく。その都度、でかい音がするのは嫌だったので、傾き始めたらまだ繋がっている部分をもう一度切って、完全に分離させた後で倒れる前にインベントリに入れてしまうことにした。これなら他の木を傷付けることもなければ、でかい音がすることもない。


そんなわけで、泉の水際から10m程の周囲の木を切り倒し、ついでに残っていた切り株も、根っこも含めて全部回収しておいた。結構な本数だったせいで、地面が穴だらけになってしまったので、少し離れたところから少しずつ土を集めてきて、空いた穴を埋め戻しておいたのだが……よく考えたら、この切り倒した木も切り拓いた泉周辺も、勝手に元に戻るかもしれないということに、全部終わってから気付いた……


もっと早く気付けよ、私ぃぃぃ……


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ