第133話:フィアの進化
その後も採取しつつ、蛇以外は私が倒し、蛇が1匹だけの場合はフィアに任せた。まぁ、複数の場合でも私が1匹残して倒すから、毎回フィアも倒してるんだけどね。
そして、やはり上がらないフィアのレベル……ほんと、どうなってるんだろうね?
こうなると、さっき思い付いた他の鳥型生物との出会いがないとダメなのかもしれない……とはいえ、あと行ってないところといえば、東側か……結構遠いなぁ……
多分、強さ的には南東側は南西側と同じくらい、東側は北側と同じくらいだと思うんだが……生態系まで同じとは限らないんだよな。
こういったゲームだと、方角によって敵の種類が異なることも割とあるので、もしかしたら鳥型が生息している可能性もある以上、やはり行ってみるべきだろう。
さすがに鳥型の敵が1種もいないってことはないだろうし、仮にいなかったとしても、それはそれでデータになるから無駄ではない。
というわけで、南の平原を突っ切って南東の森へと移動してきたわけですが……移動してきてから1時間も経たずに見つかりましたね。ま、まぁアレだ……最初の2択で間違うことはよくあることだから……南門から出たあと、すぐに東に行っていれば……とか、少ししか思ってないから……
そんなわけで、鳥型のモンスターを倒しました。はい、それはもうたくさん……憂さ晴らしするかのごとく乱獲しましたが、何か?
鶏とカラスとスズメがいたので、手当たり次第狩りました。フィアはまだ飛べないので、カラスとスズメは私が近付いて羽を折って地面に落としたのを狩ってもらいました。それでも変化はなかったので、それ以外の敵もできるだけ倒してもらった。蛇や蜘蛛だけでなく、うさぎの代わりなのかトカゲがいたので、それも倒してもらっていたけど、それでも変化なし……どうなってるんだ……
あと残る可能性は、狼などの中型以上の動物なんだが……さすがに単独で戦わせるのは怖かったので、前足だけ射貫いて動けなくしてから、フィアに止めを刺してもらうという形で狩りを続けていたら……
≪システムメッセージ≫
従魔フィアが 進化条件を満たしました。
従魔フィアを 進化させますか? はい/いいえ
という、選択肢付きのメッセージが表示された。当然”はい”一択である。
はぁぁぁぁ……ここまで長かったぁぁぁぁぁ……でも、結局進化条件は何だったんだろうな?特定の何かをするのではなく、単純に止めを刺した回数とかだろうか?
まぁいい、それよりも今は進化が先だ!
そして、選択後に現れたのは、進化可能な種族と簡単な説明だったわけだが……めっちゃ種類が多い!
え?もしかして、これら全ての進化条件満たすのを待ってたとか?そのせいで、やたら時間掛かったとかいうオチ?いや、確かに進化先が見えた時点で、進化させそうだけども……それを危惧して、こうなったのか……?
とりあえず、その辺を考えるのは後回しでいいや。まずは種族を見てみると……ほんとに種族数多いなぁ。しかも同系統でも昼夜で種族分かれてるのもあるし、どんだけ細分化してるんだ……
ピジョン、クロウ、ナイトクロウ、ホーク、ナイトホーク、トッケイ、トウケイその他諸々……この時点で亜種まであるとか、さすが変態開発陣、やってることが頭おかしい。まぁ、選択肢が少ないよりも遥かにマシなので、これはこれでよし!説明読んでるだけでも楽しいしね。
ここだとちょいちょい敵が現れるから、一旦テントに入るか。その方が落ち着いて読めるし、考えられるからね。
そんなわけで、テントの中でご飯を食べながら各種族の説明を読むことにした。
ふむふむ……ほうほう……モグモグ……
幾つもある種族の中で、コカトリスに派生しそうなのが2種類だけあった。鶏型の種族の中でも攻撃的な能力を持つトッケイと、そのトッケイの亜種であるイクサドリ。その説明がこちら。
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種族:トッケイ
鳥類に分類されるが、飛行能力を持たない代わりに地上での活動に特化した種族。
非常に好戦的で、敵対生物を視界に入れるとすぐに突撃する脳筋種族。単純なため簡単に罠に嵌るが、その突撃の威力は侮りがたいものがある。
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種族:イクサドリ
鳥類に分類されるが、飛行能力を持たない代わりに地上での活動に特化した種族。
トッケイの亜種ではあるが、単純な突撃だけではなく戦闘全般に対して高い適性を持つ。トッケイと違い冷静に戦況を把握し学習能力も高いため、長期戦に持ち込まれると非常に倒し難くなる。個体によっては、格闘や状態異常を扱うため非常に危険。
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はい、このようになっております。
この説明を読めばわかるように、おそらくコカトリスになるのはイクサドリの方だと思う。トッケイからでも行けなくはないのかもしれないが、明らかに寄り道にしかならないだろう。脳筋になられても困るし……
そんなわけで、フィアの進化先はイクサドリに決定です!
しかし……レベルアップもせずにいきなり進化になってしまったな……さすがにこれは予想外ではあるが、結果良ければすべてよしってことにしよう。
さて、それじゃあ進化させますかねー。
「フィア、進化させるよー?心の準備はいい?」
ピィィッ!ピィィィッ!!
うん。そんなにぴょんぴょん跳ねながら羽をパタパタさせなくても、やる気は十分伝わってるから落ち着いてー……
「それじゃ、進化いくよー!」
ピィィィッ!
では、ポチッとな。
すると、フィアから淡い光が溢れてきたと思ったら、徐々にその光が強まり、眩いほどに輝くと急速に薄れていく。
それと共に、その光の中で急速に大きくなっていたフィアの成長も止まったようだ。(実は眩しいことは眩しいが、ちゃんと見えてた。私の目玉に目潰しは効かない)
光が収まった場所には、すっかり大きくなって頭の位置が私の腰くらいの高さになり、立派な鶏っぽい姿になったフィアがいた。