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第131話:食パンうまい!


うむ……なかなかいい味になったんじゃないかな?


手作りジャムのいいところは、完全に自分好みの味に調整できるってことだよね。市販のやつだと、甘すぎたり、もうちょっと甘い方が、とか微妙に好みと合わない場合があるけど、自作だと作りながら調整できるから、そういった心配がいらないのがいいよねー。


そんなわけで、完成したジャムを瓶詰めにしようと思ったのだが、蓋つきのガラス瓶など用意してあるはずもなく……うん、そりゃそうだよね……だって、イチゴが採取できるとか思ってなかったし、ましてやジャムに加工することになるとか予想外だもの。仕方ないので普通の器に入れて、そのままインベントリに入れておくことにする。蓋がなくてもこぼれないから問題なし。


それはさておき、試食だ試食。食パンはあるのだ。それも超大量に!

ええ、そりゃあもう、ピザやおにぎりと同様にドカンと出て来ましたよ。ご丁寧に0~8枚切りの各種勢ぞろいで!

0枚っておかしいだろ?!と思うかもしれないが、どう表現していいかわからなかったんだよ……これはアレだ。焼く時の大きな型から出したままの、角材みたいな全く切っていない長いやつのことね。

では1枚ってなんぞ?と思うかもしれんが、所謂ハニトーに使われるようなサイコロみたいなやつだよ。しかも、焼きたてなのか、まだあったかくて柔らかふにふにである。


このほんのり甘い匂いだけで、うまそうなのがわかる。

せっかくなので、6枚切りのうちの1枚を何もつけずにそのまま食べてみる。ふおぉぉぉぉぉ……これはうまい。すげーうまい。外側の耳部分の程よい噛み応えも、内側のふわふわもっちりな食感も、パン自体のほのかな甘みも実に素晴らしい!何もつけなくても、どんどん食べ進められてしまう。


いやいや、待て待て。確かにこのままでも美味しいが、元々ジャムの試食をするために出したのだ。このままでは、せっかく作ったジャムがいらない子になってしまいそうなので、ちゃんとジャムを塗って食べよう。


(ペタペタ、ヌリヌリ……パクッ)

はぁぁぁぁ……うまいわー……

自分好みの程よい甘さのジャムと、パン自体のほのかな甘みが合わさって、めっちゃうまい!こうなってくると、マーガリンも欲しくなってくるなぁ……そのうち、落ち着いたら作るか……


なにはともあれ、今は先にご飯にしよう。

焼肉とサラダはあるが……食べ終わったら、スープを作り置きしておこう。

フィアの分も用意して、一緒にご飯だ。主食はおにぎりじゃなくてパンだけど。




寝るにはまだ早いから……そうだなぁ、調薬でもしておくか。これと料理だけは師匠が一般人だから、他のに比べて全然上がってないんだよね。というか、それ以外が上がり過ぎなんだろうけど……


調薬と錬金は、レシピは結構異なるのだが、素材自体はかなり似通っているのだ。

つまり、錬金で作られる上位のポーションのレシピを知っていれば、上位の回復薬を作るための素材は凡そわかるということになる。

レシピの方は試行錯誤するしかないけど、素材だけはあるから……そして、その大量の素材による試行回数のごり押しで、虱潰しに全パターンを試せばそのうち当たる。レシピさえわかってしまえば、あとは調整するだけでクオリティは上げられるからね。


そんなわけで、寝るまで調薬を繰り返していた結果、結構いろいろな薬が完成した。よくわからない液体状の何かも完成していた。だがそれは、もう毒でも薬でもない何かとしか言いようのないものになってしまったので、一度インベントリに入れてからゴミ箱へポイッとしました……

もったいない気もするけど、地面や川に捨てても良からぬことが起こりそうな気がしたので、この世界から消えてもらった。ごめんなー……


そんな、嬉しいことも悲しいことも起こった調薬実験だったが、夜も更けて来たのでしっかり寝ました。スヤァ……




翌日、きちんと朝ご飯を食べてから森へ戻り、認識範囲分だけ北上してから東から西へと移動し、また北上し今度は西から東へと移動する。そんなことを繰り返していると、ついに境界線となるものを発見した。


それがあったのは、まさに足元。地面そのものだった。

足元が徐々に湿ってきたと思ったら、次第にぬかるむようになってきたのだ。つまり、ここから先は沼地、もしくは湿地帯なのだろう。確かにこれでは、寝ることはおろか腰を下ろして休息することもできない。おまけに、この時点で既に日光は届かなくなっており、暗視の類を持っていなければ自分の足元すら見えなくなっていることだろう。


なるほど……確かにこんなフィールドなら、半端な冒険者では危険すぎて近寄りたくもなくなるだろう。信じられるか?ここ、始まりの街の北門から10kmくらいしか離れてない、近場のフィールドなんだぜ……?

どうして初期地点から次の町までよりも近い位置に、こんな上級者以外お断りみたいなフィールドを配置したんだ?明らかに設定ミスってね?


街の南と北西は普通に初期フィールドしてたのに、なんで南西と北はこんなおかしい設定になってんの?この分だと、最も敵が強いとされる北東部は完全に魔境と化しているだろう……おそらく、単に適正レベルまで上げさえすれば十分に挑めるようになる、といったものではない気がする。

きっと、スキルとか耐性とか装備とか、裏切らず見捨てない素敵な仲間とかが必要になるに違いない。

え……?私ですか?私にはスキルも耐性も装備も、裏切らず見捨てない素敵な従魔もいるので、何も問題ありません。やったぜ!


それはともかく、地面が湿り始めてからはやたら蛇が出るようになった。おそらくフィールドが切り替わったのだろう。あと、きのこもヌメってるのが多く生えてるようになった。大粒なめこみたいなやつで無毒だった。みそ汁の具材にしたい。豆腐があればなぁ……

ハーブも生えていたが、ハーブというより水草に近い?詳細鑑定によれば、肉の臭みを取るのに適してるらしいが、普段使ってる奴とは完全に別物で、知識にないハーブである。そりゃまぁ、わざわざこんなところに来てまで臭み消しのハーブを採取しなくても、もっと簡単に取れるし安いんだからそっち買えよ!ってなるよね?


うーむ……どこまで足を延ばすか、悩むなぁ……もう、この時点でほとんど前人未踏の領域っぽい気がしなくもないんだよねー……まだ、敵を一撃で倒せているし大丈夫だと思うが、一旦引き返して情報を集めるのも手だと思う。


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