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第13話:いや~な気配


「ありがとうございます。では資料のある部屋までご案内致します。どうぞこちらへ」


そうして案内されてる訳だが……おいおい、ちょっと待てぃ!そっちはヤベェ奴らのいる方向じゃん!え?紹介は後でじゃないの?資料を熟読してる体で時間稼ぎをしつつ、やり過ごす手を考えようしてたのに!策を練る前に潰すのやめて貰えませんかね?!もういいや、聞いてしまえ!


「マイアさん、一つお聞きしたいのですが、この先には一体誰がいるのでしょうか?とてもいや~な気配がして行きたくないのですが…それと、昨日は他の人を呼ぶとは言ってなかったと思いますが?」


「いやな気配ですか?ここにはカヅキさんに危害を加えようとする者はおりませんので、ご安心下さい」


「ええ、命の危機を感じてる訳ではありません。ただ、面倒事や厄介事を呼び寄せる、そうですね…出来なくはないけどやりたくない、そう言った事を逃げ道を塞いだうえで押し付けてくるような、そんな関わり合いになりたくない人達の気配が複数感じられるんですよね」


「…………」


だんまりですか、そうですか…ならばもう一手。


「私は束縛されるのが嫌いで、のんびりするのが好きなんです。なので、やりたくもない事を押し付けてくるような人とは距離を取るようにしています。欲しい物よりやりたくない事の方が重いんです。私は一人ですし、何も持っていません。だからこそ、現状を捨てる事に躊躇う必要がありません。やりたいことが出来ず、やりたくない事をさせられる状況ならば、全部捨てて誰も追って来られない様な所まで逃げればいいんです。そして新しい場所でやりたことだけをやりながら、のんびりと気ままに過ごすつもりです」


そう言って足を止める。さて、これでどう出るかでこの街を出るか決めますか。

私が立ち止まった事に気付いたマイアさんも、少し先で立ち止まり振り返る。


「………………………」


やはりだんまりかぁ……そしてこの先にいる連中も動かないと言う事は、自分たちが”上”だと思ってると見た方がいいんだろうな。まぁ、レベル1の初心者より下なんてどれだけいるのかって話だけど。

うーむ…逃げたら逃げたで面倒な事になりそうだと思うけど、ここで取り込まれるよりはマシと考えて逃げた方が良さげな気がする……でも、この物々しい状況下でどうやって外まで出ようかなー?

うん、かなり面倒くさいけど、なんかちょっと楽しくなってきた。


よし、それじゃセルフ逃走ミッション:包囲網を突破せよ!を開始しよう。

館内の構造は昨日のうちに凡そ把握した。あとは今日ここに入ってからの人員配置に、こちらの移動に合わせた行動を考慮し、逃走開始後の相手の行動を予測、逃走ルートの構築と随時更新、最初から警戒されてたっぽいから逆にそれを利用してのフェイントですり抜けるくらいしか出来なさそうだけど…まぁ、とりあえずやってみないと、ん…?げぇ!ヤベェ奴らが動き出した?!

即時撤退をするために飛び退ると同時に声が掛かる。


「待って下さい。我々は束縛も押し付けもしませんし、ましてや敵対するなど有り得ません」


うおっ!何か声量は大きくないのにやたらよく聞こえる少女の声が。いくら静かな館内でも声が通りすぎでは?あと出鼻挫くのやめてくれませんかね?タイミング良すぎて思わず止まっちゃったよ…


「何をそんなに恐れているのかわかりませんが、そんなに警戒しないでいただけませんか?我々はあなたに危害や不利を与えるつもりはありません」


いや、そんな過剰戦力揃えられて警戒するなはおかしいと思いません?あと、つもりはなくとも危害や不利は与えられるんですよ?知ってます?言わないけど…

などと考えながら声のした方を見ると、一発で重要キャラってわかる人達が、まぁいるわいるわ。お姫様っぽいのにごっつい戦士系に落ち着いた魔術師系、その他諸々あれやこれや。

もうなんでしょうね?最終職業の見本市か何かですか?って感じの人達に見られても、警戒度が上がるだけで友好度は上がりませんよ?

あ、ちなみに危険察知は絶賛反応中です。って、誰に言ってんだろうね……


「………私は渡来人のカヅキと申します。それと…危険察知スキルを持っているのですが、さっきからずっと反応していて、逃げろ逃げろとうるさいんですよ。何故だと思います?」


いやぁ怖いわ~…レベル1でカンスト勢に喧嘩売ることになろうとは夢にも思わんかった。重要キャラっぽいし強そうなので多分あってる。あと私って意外と度胸あったのね。全く震えもせず堂々と言えたわ…


「名乗りもせずに失礼致しました。わたくしはエルメキア王国第4王女エミーリア・フォン・エルメキアと申します。以後お見知りおき下さい。危険察知スキルに関してはわたくしではわかりかねます。皆様はどうでしょう?」


は?え?ほんとにお姫様なの?


「冒険者ギルド、ギルドマスターのガーラだ。よろしく頼む。今反応している危険察知スキルだが、おそらく俺達がお前さんの事をどんな人物か知ろうとしてるからだろうな。それを危険として察知してるんだろう」


ギルマス?ギルマスナンデ?!


「魔術師ギルドでギルドマスターをしておるゼノンじゃ。望まぬ事を望まれ、言いたくない事を言わされる可能性があることを危険と認識したんじゃろうな」


だからなんで居るのさ?!


「錬金術ギルドのギルドマスター、アルファスです。以後よろしくお願いします。誰しも秘匿しておきたい情報と言うものはありますからね。それを暴こうとする者から逃げようとするのは当然かと」


……………


「商業ギルドでギルドマスターを務めておりますハルマと申します。今後ともよろしくお願い致します。情報の大切さは身に染みて承知しておりますが、必要な事は話していただけないと困ることも多うございますれば、ある程度は譲歩していただきたいところです」


「そうやって欲張るから避けられるんじゃろうが!この業突く張りめ!ああ、儂は鍛冶ギルドのギルドマスターのダルフじゃ、よろしくの!」


それからも各ギルドのギルドマスターから自己紹介があったけど、一度にそんな人数覚えきれる訳がなかろう。いい加減にしろ!

こっちはただの…耐性が多いだけの一般的なプレイヤーなんだぞ!


しかも自己紹介の間も危険察知は反応しっぱなしで警戒を緩められないため、気配察知と魔力察知もセットで運用してもしもに備えて気を張り続ける羽目に…

しかも明らかにこっちより動きの速い人を含め、みんなしてこっちを見てるもんだから、逃げるに逃げられん…


くっそ、私の求めたまったり気ままなお気楽ライフはどこ行った!ちくしょう!

家出してないで、はよ帰ってこーい!!


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