第107話:これが諦観ってやつか・・・
これほどまでに、明らかにおかしな成長を遂げているのは何故だろうか?
ベースレベルは1のままなのに、ステータスがまた上がっている。それも大幅に。
それに加えて、耐久と精神の補正まで、これでもかというくらいに上昇しているのだ。
あと、今までなかったステータスポイントっていう項目が増えている。
種族や職種が変わったわけでもないのに、それ系の補正も増えてるようだし……もしかして、例の大規模メンテによる影響だろうか?
補正値とかは、バランス調整等でよく変更されることがあるしな……こういった調整では、上方修正よりも下方修正が圧倒的に多いのだが、大幅に上昇しているのはどういうことなのだろうか?
敵が強すぎて、戦闘にならないとか?いや、確か次の街周辺でもそんなことはなかったからこそ、大規模な移動が発生したって聞いたし、むしろ下方修正の方があり得るんだがなぁ……
まぁいいか、こちらでどうにかできるものでもないしな。
それに……スキルの方が予想を遥かに超える変貌を遂げていて、ある意味予想通りに把握が困難になってしまっている。
あと、メンテによるものなのか、私のスキルが増えすぎたせいなのかはわからないが、ステータスの表示のされ方が若干変更されていた。
そして、そこに表示されるスキル群の多さに思わず目を背けたくなった私は、別におかしくないと思う。我ながら、よくもまぁこれだけスキルを身に付けたなぁって感心するやら呆れるやら、複雑な思いになってしまった。
武術、魔術、生産だけでも、こんなにやったっけ?と思いながら見ていくと、確かに全部身に付けたものばかりだった。こうして一覧にされると、ほんとに頭おかしいと言われても仕方ないほどの量である。
その他にも、既存のスキルの上位版みたいなのもあれば、前に女神が賠償として持ってきたものもあり、もはや笑うしかないみたいな状態になってしまった……
中には、何で持っているのかわからないようなスキルまであって少し疑問に思ったが、そのスキル名からおそらく例の戦闘で意識を失ってからのものだろうことは、すぐに予想でできた。
自分のステータスもさることながら、フィアだけでなくルリのステータスまで表示されるのには驚かされた。従魔はともかく、従者はなんでだ?別に何らかの儀式や契約をしたわけじゃないし、宣言はされたけど、それはどちらかというと口約束に近いものだ。
それなのに、どうして私のステータス欄にルリの項目があるのだろうか?今まで普通に生活してた人なのに、まるで従魔になったかのように記載されてるのはおかしいと思うんだが……?
私は彼女を一体どのように扱えばいいのだろうか?わからん……
はぁぁぁぁぁ、まぁいいや……
まずは自分の変化をしっかり把握しないとだな。とりあえず、今までなかったスキルを抜き出してみるか。
超高速思考:
高速思考の上位スキル。
思考速度が加速し、単位時間当たりの思考量が増加する。
超集中:
集中の上位スキル。
全感覚の感度や各種成功率、精度、威力、製作物の完成度が上昇する。
高速詠唱:
魔術の詠唱を早口で行い、通常よりも早く発動させることが可能となる。
ついでに滑舌も良くなり、巻き舌も上手くなる。
スキルレベル×1%分だけ詠唱時間が短縮される。
詠唱短縮:
魔術の詠唱を短くすることで、通常よりも早く発動させることが可能となる。
不足分を魔力で補うため消費魔力が増加する。
スキルレベル×1%分だけ詠唱時間を短縮し、スキルレベル×1%分だけ消費魔力が増加する。
三重詠唱:
同じ魔術を3つ同時に詠唱し、発動させることが可能となる。
威力が3倍になるわけでもなければ、3連続で発動するわけではない。
二重詠唱は2.4倍、三重詠唱は3.9倍の魔力を消費する。
例:フレアランスは通常1本の炎槍が対象に放たれるが、この場合3本の炎槍が対象に放たれることになる。制御できるのであれば、3本別々の対象に放つことも可能となる。
開錠:
閉まっている錠前を開けることが可能となる。
スキルレベル上昇に伴い、より難しい錠前を、より早く、より静かに、より痕跡を残さず開けることが可能となる。
変装:
自分以外の容姿になることが可能となる。
スキルレベル上昇に伴い、体格や性別も偽ることができるようになる。また表情や仕草も馴染むため、よりバレにくくなる。
追跡:
残留した気配や痕跡から、対象を辿ることができるようになる。
スキルレベル上昇に伴い、より微かな気配や痕跡から辿れるようになり、追跡距離も延長される。
探索:
対象を指定し、自身の周囲に存在するかどうかを知ることができる。
対象を絞り込むことでより精度を上げることができる。
スキルレベル上昇に伴い、探索範囲が拡大し、精度も上昇する。
盗聴:
他者の声を拾うことができるようになる。
スキルレベル上昇に伴い、盗聴範囲が拡大し、遮蔽物の影響が減少し、精度も上昇する。無数の声の中から対象の声のみを選択することも可能となる。
声真似:
他者の声を真似ることができるようになる。
スキルレベル上昇に伴い、口調や抑揚まで再現可能になる上、一部の動物の声でも可能となる。
瞬歩:
ステップの上位スキル。
極めて小さい動作で、瞬時に自分の身長分移動することが可能。ステップと違い、連続使用が可能。
空歩:
空中移動スキル。
足元の空間を足場にすることで、空中や水上を踏みしめることが可能となる。
連続使用可能歩数はスキルレベル×1となる。
身体精密制御:
身体制御の上位スキル。
より精密な肉体運用が可能となる。
必要な筋肉のみをより効率的に動かせるようになるため、より小さな動きでより大きな作用を生み出すことができる上、肉体への負担も減少する。
魔力精密制御:
魔力制御の上位スキル。
より精密な魔力運用が可能となる。
必要な魔力のみをより効率的に動かせるようになるため、より小さな動きでより大きな作用を生み出すことができる上、脳や精神への負担も減少する。
魔力を分岐させ、分岐先の属性を別々に固定することも可能。
罠:
罠発見、罠解除、罠設置の統合スキル。
統合されることにより、より高度で応用の利く罠を扱うことが可能となる。
二重罠などの連動型も解除、設置が可能となる。
剣嵐舞踏:
武器に自身の魔力を纏わせ、魔力制御で操ることにより、物理、魔法を問わず、あらゆる攻撃を弾き、反撃することを目指した攻勢防壁群。使い手の技量によっては、全ての武器に個別の属性を纏わせることも可能。
危険感知、高速思考、並列思考、集中、空間認識、魔力制御を前提としており、さらに各種武器の扱いに長け、各種魔術も扱えなければならず、またその発動中は体力と魔力が常時消費されるため、自己回復力が低いと自滅の可能性すらあり得る背水の絶技。
無念無想:
一切の想念を離れた無心の状態。
思考することを捨てる代わりに、思考を挟まず行動することが可能となる。
反応及び対処速度が3倍になるが、思考放棄しているため使用中の記憶は残らなくなる。
戦闘状態の解除に伴い、自動解除される。
≪狂逸の修練者≫
己に常軌を逸した試練を課し、乗り越える度に更なる試練を課す修練の狂者。
ベース経験値が1/4になり、それ以外の全ての経験値と熟練度、及びベースレベルアップ時のステータス上昇値が2倍になる。
≪無我の境地≫
あらゆる想念がなくなり、心が澄み凪いだ状態になる。明鏡止水の心境と呼ばれることもある。
戦闘時、常時反応及び対処速度が2倍になる。
思ったよりもたくさんあったなー……
武術、魔術、生産関係を含めずに、こんなに増えてるとは思わなかったよ……
盗賊関連のスキルは一般スキルに分類されるのか……まぁ、特殊ってわけでもないから当然と言えば当然なのだが、盗聴が一般的な能力なのかと言われると、ちょっと困ると思う。
魔術関連とか、いろいろ身に覚えのないスキルもあるけど、それよりも驚きなのが称号だよねー。なんじゃこりゃ?!って思うのと同時に、ああ、これのせいかーって納得する部分もあって、ちょっともにょる……
てか、記憶が飛んでるのって、この称号関連のスキルのせいじゃん!効果凄いけど、怖くて使えんわっ!
そして……称号のせいで、ベース経験値が1/8になってしまった……orz
一体、どこまで減らせば気が済むというのか……メリットデメリットが両極端過ぎて、もはや笑うしかないって感じになってしまったが、さすがに段々慣れてきた。というか、諦めに近いのか?ああ、そうか……これが諦観ってやつなのかもしれないなー……