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第104話:重病人?


「カヅキ、おはよう。まずは、目を覚ましてくれてありがとう。それから、今回はとても無理をさせてしまいました。本当に申し訳ありませんでした。他の者たちからも、後ほど謝罪があると思いますので、聞いてあげてください」


「ああ、はい。わかりました。そんなに謝らなくて結構ですよ。元々ボロ負けするのは目に見えていましたし、自分でも無茶をした自覚はありますので……」


「そう言ってもらえるのはとてもありがたいのだけれど、それでも私たちはやり過ぎました。いくらカヅキの成長速度が異常だったとしても、もっと早くにやめるべきだったのです。目の前で、どんどん成長し続けるあなたの姿を見ているのが楽しくて、一体どこまで成長するのかと、次から次へと攻撃し続けてしまいました……本当にごめんなさい」


「あの人たちが、興が乗ってくると箍が外れやすいのは知っていましたし、こうなるんじゃないかと思っていたので、別に怒ってはいませんよ。まぁ、まさか意識を失うとは思ってもみませんでしたが……」


ほんとにね。いくら私がこの世界に住んでいるとはいえ、プレイヤーなのに、脳の酷使や疲労で意識を失って昏睡するとは思わなかったよ……ほんと、ゲーム的にどういう処理をしてるんだろうね?他のプレイヤーもこうなのだろうか?


「いえ、それこそこちらの落ち度でしょう。いくら興が乗ったとはいえ、丸2日も戦わせ続けたのですから、その責任は私たちにあるでしょう。どれほど叱責されようと返す言葉もありません」


「…………はい?丸2日ってなんですか?私は数時間で倒れましたよね?」


「え?……もしかして覚えていないのですか?戦闘中に日暮れと日の出は2回ずつあったのですよ?」


「日が暮れた覚えがないのですが……」


「…………ごめんなさい。私たちがあなたを壊してしまったのですね……一体どう詫びればいいのでしょうか……」


「いやいや、大丈夫ですよ?!別に壊れてませんからね?!ただ単に、記憶が一部すっ飛んでるだけなので、何かがおかしくなったわけじゃありません!」


いきなり壊れた認定するの、やめてください。びっくりするから!

しかも、何かもう取り返しのつかない酷い状態みたいな言い方されてるし!大丈夫、今更多少記憶が消えたところで、多分誤差の範囲だから。


「そうは言いますが、自覚のない症状ほど危険な状態はないとも言いますし……まずは、横になりましょう。ゆっくりでいいですから、目を閉じて体を楽にして……」


やめて?いや、マジでやめてください。

私を重病人にしないで?頭の打ちどころが悪くて、おかしくなった人みたいに言わないでいただきたい。私は無事です、大丈夫です、平気へっちゃらです。


「いや、ほんとにもう大丈夫ですから。もう頭痛はなくなっていますし、普通に目も開けていられますので、問題ないと思いますよ?」


意識のないまま2日もどうやって戦っていたのかわからんが、少なくとも今は平気なはずだ。しっかり寝たせいか、頭もむしろすっきりしている感じがするくらいだ。


「頭痛?目?もしかして、そんな状態で戦っていたのですか?」


「え?ええ、まぁ……とは言ってもそうなったのは途中からで、最初から無理をしていたわけじゃありませんよ?」


「途中からということは、複数の武器を宙に浮かせて攻撃を弾き始めた辺りからですか?」


おおう……ほんと、少しの情報から正解を導き出すなー……話が早くて助かるっちゃ助かるけど、聡明過ぎて怖いわー……


「そうですね。あの時は本当に手が足りなくて……何とかならないかと、今欲しい、足りないものは何なのかを考えて、自分が今持っているものを使って無理矢理形にしたものが、あれです。その際にかなりの無茶をしたので、滅茶苦茶酷い頭痛が発生して、その痛みで目が開けられなくなってしまったんですよ……」


「あの時、あなたはそんなことをしていたのですか……」


「あはは……そうでもしないと一方的にやられるだけで、一矢報いることすらできそうになかったので……もっとも、その発動直後の驚愕を利用して3人に一撃入れるだけで精一杯で、結局その後は防戦一方になって、しばらくして意識を失ってしまいましたね……」


「………あなたは先程、数時間で倒れたといいましたが、それは体感でどれくらいでしたか?」


「え?んー……そうですね。開始から意識を失うまでだと、長くて3時間かもう少しくらいでしょうか?」


最初は割と順番に攻められてたから、それなりに時間は経っていたはず。その後は、どんどん加速するわ、同時は増えるわで、時間とか全く気にしてなかったからなー。個人的には結構な長さだったけど、攻撃速度と密度を考えれたら、多分2~3時間持てばいい方だろう。でも悔しいので、ちょっとだけ盛りました……


「その時点でかなりおかしくなっていますね……」


「おかしいというのは、時間感覚でしょうか?」


「そうです。あなたがその無茶をして武器を増やした時点で、およそ7時間近く経過しています。また、発動直後以外は防戦一方で攻撃できなかったと言っていますが、それも間違っています。それから、増えた武器は最初5本でしたが、意識を失う頃に何本あったか覚えていますか?」


うん?なんかおかしな質問まで増えてる……

まず、7時間って何?!あの時点でそんなに戦っていたの?それと防戦一方が間違いってことは、意識を失ってる状態で攻勢に出たってこと?あと武器は最初から最後まで5本ですよ?。6本目を使おうとすると激痛が、ですね……


「7時間、倍以上ですか……それと、全く覚えてはいませんが、あの後に私は攻勢に出ることができたのですか?あと増やせた武器は5本だけです。6本目を使おうとすると、頭痛が激痛になってしまうので使えませんでした」


「なるほど、そうでしたか……おそらく、カヅキの意識あるいは記憶は、開始から8時間以降は残っていないようです。何故なら、あの浮遊する武器は時間が経つにつれ増えていきましたから。最終的には9本まで増えました。つまり本体の両手を含めて、11本の武器を同時に操っていたことになりますね」


マジか……私、意識ない方が強いじゃん……

泣きそう……


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