第1話:はて?誰じゃろ?
初作品、初投稿です。よろしくお願いします。
30話までは書き終わっているので、そこまでは毎日投稿します。
その後も出来るだけ毎日投稿する予定ですが、ストックがなくなったらペースが落ちると思います。
その時はのんびりお待ちください。
誤字脱字報告も受け付けております。
……え~~っっと?何これ?どういう状況?
周囲に何もない、天地すらない見渡す限り真っ白な広大な空間。
こういう時はとりあえず、こうなる前の状況を思い出してみるべき…
まずは自己情報か…葉月彼方、男、家族構成父母、近所のホームセンターの従業員。年収お察し、リアル友人片手で余る、ネッ友両手では足りない程度…
ここまでは大丈夫。
次はこうなる直前に何をしていたか。
……ん?ん~~ん?やべぇ…何も思い出せん…寝てた?いや何か違う…
『その疑問には私が答えましょう』
声のした方に目を向けると、やたら綺麗だけど見慣れない妙な服を着た女性がいた。
少なくとも私の知り合いにこんな女性はいないし、見覚えもない。
はて?誰じゃろ?
『私は女神ルミリア。この世界の創造神のようなものと思っていただければよいかと』
女神……うん?あれ?コレ…ヤバくね?この状況がもし夢でなかった場合、私自身の頭か精神が狂っているか、神なんてありえないもののそばに呼ばれているか、どっちにしても救いがないという……
とはいえ現状では何もわからんし、どっちにしても救いがないならせめて安らかに死ねる方向に持っていこう!ヨシ!夢ならそれで起きるしな!
『ヨシ!じゃありません。それとあっさり死のうとしないでください。あなたにはこれから私の世界で生きて貰わなければいけませんので』
あぁ~、やっぱりそっち系になるのか……うん、そんな気はしていたけど出来ればこの予想は外れていてほしかったなぁ…
これからどうなるんだろうな?やっぱり貴族の息子とかになって醜い権力争いに巻き込まれ滅茶苦茶な人生を送るのか、それとも勇者…は私の性格や能力的にありえないから、そうなると勇者とその一行の小間使いみたいな立場でこき使われた挙句捨てられるのか、あるいは…ハッハッハ、どれもろくなもんじゃねぇ……
でも最初に女神が出てきたってことはのんびりほのぼのはありえないし、酷さの度合いはあれど、ろくでもない人生になるのは決まってるし、どうしたもんか…
『決まっていません!勝手に決めつけないでください。女神を何だと思っているんですか!地球の創作物の女神と一緒にしないで貰えますか?それと、言いたいことや聞きたいことがあるならきちんと声に出して会話をしてください』
「あっ、はい……はじめまして、女神様。葉月彼方と申します。私はこれからどうなるのでしょうか?」
『あなたにはこれから私の作った世界で”プレイヤー”として遊んでもらうために、こちらに来ていただきました』
「プレイヤー…?」
『はい。所謂VRMMORPGだと思っていただければよろしいかと』
「VRMMOって、コンピューターゲームの…アレ?」
どゆこと?ヤベェ…マジで頭がおかしくなったかもしれん…どうしたもんかな~?
とりあえず最後まで聞くだけ聞いて情報収集だけでもしておく、か…?
『大丈夫です、頭がおかしくなった訳ではありません。あなたは死後、二つの世界を繋ぐために地球から送られてきた使者(楔)のようなものです。』
「そんなものに抜擢された覚えはないんですが……しかも何で私?」
『それは本人に聞いて下さい』
本人って誰さ…
『それは地球の神である儂じゃよ』
えー……地球に神って居たんかい……しかも神話の神々とかじゃなくて、創造神みたいのが。
『居たんじゃよ。それでなぜお主なのかというと、一番適してると思ったからじゃな』
それは理由とは言わねーのでは?
『言っておくが、お主の思考と精神はかなりぶっ飛んでおるからな?お主は自分はどこにでもいるごく普通の一般人だと思って居るようじゃが、実際はかなり特殊な変人なんじゃぞ』
「えぇー、そんなはずは…容姿も頭脳も運動神経もせいぜい並程度なのに…」
『洞察力と思考速度と緊急時の反射神経は相当なもんじゃがの。それとは別に物事の考え方や捉え方、痛みや死に対する感覚が一般人とは乖離してると言っていい程ずれているうえに、精神的にもかなりタフに出来ておる。これだけ揃ってるのは他に居なかったために、お主に白羽の矢が立ったんじゃよ』
「oh…何かいろいろ言われてるけど、平凡な人生歩んできた身としては納得いかねぇ…」
『あの人生のどこが平凡だと言うんじゃ。それにそれはお主が余計な先読みしまくった挙句、面倒くさがって碌に行動を起こさなかったからじゃ。その気になればいくらでも伸びしろも出会いもあったのにのぉ…』
「ぐぬぬ…そこは否定できないのが何とも…」
『それで、納得はできたかしら?説明を続けたいんだけど、いいかしら?』
「あっ、はい、どうぞ。お願いします」
『そういう理由であなたが選ばれた訳ですが、使者と言っても特別なことをさせようという事ではなく、ずっと生き続けて貰えればそれでいいのです。ただ、そのためには生きる目標や楽しむ趣味が必要となるでしょうから、あなたが若い頃好きだったゲームを用意したという訳です』
「んー…?こっちの世界と地球を繋ぐために私が選ばれたのに、私のためにMMOの世界を用意したっておかしくない?繋ぐべき元の世界どこ行った?」
『そうやってすぐに洞察力を発揮するのやめましょう。そんなことしてるとまた頭おかしくなっちゃいますよ?』
「頭おかしくって…」
『もっとあるがまま素直に受け止めて、余計なことは考えないようにした方が楽しく生きられますよ』
「素直に疑問を呈しただけなのに…なんかひどい事言われたような…」
『ひどくなんてありませんよ。あなたはもう余計なことを考えて、不安や疑念を抱え込まくていいんです。これからは自分自身の”楽しい・面白い・嬉しい”を追い求めていいんです。そのためにあなたの好きだったゲーム達を詰め込んだのですから』
「え?ちょっと待って?ゲーム”達”?」
『MMOだけだと飽きるかもしれないと思ったので、他の要素を取り入れるために普段どんなゲームをしてるのか調べていろいろ追加してあります。プレイ時間が多いのは主にRPGにシミュレーションRPGやサンドボックスなど、育成や製造・建築などでしたね。』
「ちょ!どこまで」
『これは成人向けのゲームでも同様の傾向がありましたね。こちらはどちらかというと戦略や進化などでより不利な状況からの逆転劇を模索するものが多かったですね』
「うあああぁぁぁぁあぁぁああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
『あ、あら?どうしました急に叫んで…』
『お主のせいじゃろうが…』
『ただ説明していただけなんですけど、おかしいですね?』
『こやつも不憫よのぅ…』