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第1話(その2)

完全自動化のターミナル、そこへ入港したコンテナ船になにが!

 スネイルビットの出現で昼夜三交代は不要で、労組の強い公共バースはともかく、A&P社の全バースは完全無人化を達成していた。


 接岸するマークスポセイドンの船橋、岸壁から高さ40mのウイングでは、チョッサーが眼下を見ながらウォーキートーキーに呟く。


「船尾ガントリークレーン、作動――」


 岸壁には十数台の大型トレーラが縦列待機し、それに呼応してクレーン一基が動き出す。


 チョッサー以外、岸壁で動くものはすべて無人。それだけに接岸の最終確認はチョッサー自ら確認することが義務付けられていた。


 マークスポセインドン号はセミアフトエンジン(船中央と船尾の間に機関室と船橋)で、後方に40FT用の3ハッチ、その内2ハッチ下にホールドがあり、左右と中央に三分割されたハッチカバーに覆われている。


 通常は全クレーンが動くところ、この日はなぜか一基だけが、幾何学的にアームを動かしながら岸壁を移動する。沖に迫り出すガーターの長さは50ⅿ、その上を走る高速スプレッダーが中央ハッチで止ると、ハッチ上コンテナへ向けて下降し直近で再び停止する。


 蟹足の様なアームを繰り出し、先端のガイドカバーを開くと、フック先端から出たレーザー光線が、コンテナ四隅の金物を認識し、スプレッダーを制御して吊上げるのだった。


 ウルトラクレーンは、一個のコンテナをロックするまで約30秒。コンテナを吊上げ、大型トレーラに積み卸すまでが30秒だった。


 この速度は船幅が60mを越えるマークスポセイドン号であっても、一番岸壁から遠いコンテナを吊り上げるまで45秒と掛らない。


 通常ならハッチ上にはコンテナが13段積めるのだが、なぜかこの日船尾のハッチには3段しか積んでいない。ブリッジ前方がフルに積んでいるだけに、やはり異常だった。


「船尾が終るまで、他の作業は停止だよ」


 赤ら顔のデンマーク人船長が顔を出し、戸惑うチョッサーに声を掛けるのだった。


(つづく)


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