エピローグ※
挿絵あり(あとがき)
とある軍事国家があった。
超常の力を持つ、大総統と呼ばれたその男は、やがてその座を譲ることとなった。
新たに国の頂点にたったその人物は、美しい容姿と、父である前大総統の力を受け継いでいたとも言われ、すでに受け継いでいた軍刀と供に、継承問題前後の混乱時に大いにその力を振るったと言われている。
また、新大総統のそばには、いつも茶褐色の髪色の女性がおり、宰相として彼女を支えたと言う。
新大総統は、その容姿の端麗さと優しい人柄から、軍部のみならず、国民から深く信頼されていたと伝えられている。
ただ、彼女が婚姻を結んだ記録は残されておらず、生涯独身を貫き、国の発展に身を尽くしたとも、宰相だった女性と残りの人生を過ごしたとも言われている。
これが、一人の男が戦い抜き、そしてその意志を継いだ彼の子が歩んだ、苦悩と戦いの日々、そしてその後掴んだ幸福の物語である。
現在、彼の国は共和制に移行し、軍部による政治体制は崩壊したが、今でも首都だけでなく、あらゆるところに大総統親子、そして新大総統と宰相の像が建てられ、国民から深く愛されていることを最後に述べて、ここに筆を置くこととする。
ご無沙汰しています、桜宮です。
ずっと前からプロットにしていたものを、今回ありま様の企画にて、ようやく日の目を見ることができました。
権力者の子が、暗殺を逃れるために、逆の性別として育てられる。
そこに生まれる、人のあり方を描ききった気がします。
1話ずつが短いのですが、10話近くまでなってしまいました。読了、本当にありがとうございます。
ご意見、ご感想、ぜひお待ちしています。
またイメージイラストを、主催のありま氷炎様からいただきました。素敵なイラストをありがとうございました。
最後に、いつものおまけコーナー。
おまけ
「そう言えばヘレン。今日の試験、少しは手加減してあげてね?」
「えぇ?だって全力を尽くせ、って爺やからいつも教えられてるし、試験だし手なんか抜けないよ」
「それでこの間の模擬実戦の時に教官が病院送りになっちゃったじゃない……」
「あ、あー……まぁあれは……爺や相手に訓練している調子でやってしまって、つい……」
「もう!それ以来ヘレンに言い寄る子が男女問わず出てきて……ごにょごにょ……」
「え?な、なに?最後が聞き取れな……」
「なんでもないったら!!ほら行くよヘレン!!」
「ちょ、そっちは道が違うってばマリア」
おしまい