そして新しい朝がくる。
目覚めた時、私は玉座に座っていた。
「……へ?」
真っ赤な椅子。黄金でゴテゴテと縁取られている。
いや、こんな椅子に座って寝た覚えはない。
昨日はアッシュと……その、あれだ、いちゃいちゃして、それで眠りについた。ベッドで眠ったはずだ。
なのにいま、私は何故ここに座っているのだろう。
壁は黒色。
光を遮るように、そこに窓はない。
――ちょっと待って。
「お嬢」
アッシュの声がして、私は振り返った。
うん、いつものアッシュだ。代わり映えは――服装が喪服のような真っ黒な服を着ているくらいで……。
対して私は真っ赤なドレスを着ていた。
血のように赤いAラインのドレス。
――だらだらと脂汗が溢れ出る。
いや、まさか、ね……。
「お嬢」
アッシュの声はちょっと怒ってる。いや、かなり怒ってる。
「は、はひぃっ!」
「よかった。お嬢、記憶はちゃんとあるんですね」
「……ど、どゆこと?」
「それは俺が聞きたいです。説明してください」
「わ、私も説明がほしいわ! ここは……」
私はあたふたした。
アッシュはめちゃんこ怒っている。
そりゃめでたしめでたしハッピーエンドを迎えた先で、こんな意味わからないところに飛ばされたのだ。
怒るよね。でも不可抗力だから許してほしい。
「お嬢。しらばっくれないでください。お嬢は動揺すると顔にでるタイプだから、すぐわかるんですよ。さぁ、教えて下さい。ここは、どこですか?」
認めたくなかった。
でもこの玉座にも、光を遮る部屋にも覚えがある。
よく背景素材にしたなぁって。
「『もにょもにょもにょ』……」
「なんて言ってるかわかりませんので、聞き方を変えます」
アッシュはそう言いながら、貪るように私にキスをした。
「んっ、んんっ! ちゅっ……はぁっはぁ……」
そしてキスをしているときに違和感を感じた。
歯がかゆい。
……間違いない。
「こ、ここは、えっと、世界中がウイルスに汚染されて、人間と生きる屍と吸血鬼が存在する世界でして……」
思い出したくないのに、無理やり記憶から呼び起こす。
昔作った物語のあらすじを――
「私はローゼリア……夜の吸血鬼の女王で、アッシュはその従者の人狼……で……。あのね、あのね、『星靴』の話でアッシュとローゼリアのキャラが気に入った私は『スターシステム』というかたちで登場させま、して……はは、ちょっ、アッシュ、ニコニコして怒らないで。やんっ! ちょっと、ほっぺひっぱらないでー!」
「はい。お嬢様。ではここのタイトルを教えて下さいな」
「『もにょも……』……あ、言います言いますから、ほっぺはやめてぇ」
もう逃げ場はない。
「あ……『紅き月夜に、滅びの詩を』」
――ぐはっ! は、恥ずかしい!!!!
「ちなみにこの世界でのお嬢はどういう運命で?」
「共通ルートのラストで吸血鬼狩りのヒロインに倒されるわ」
「……また……もう……そういう……貴方は……」
アッシュが呆れ果てたため息を吐く。
だって、だって、だって、そんなのわかんないじゃない!
――異世界転生で自作ゲームの世界に、『また』飛ばされるなんて聞いたことがないわ!
「つまり、ここもお嬢の作った世界なんすね」
「……はひ」
「もう一度タイトルを言ってくれますか?」
「ぎぇぴぃいいいいい!!!」
どうやら、この世界の管理人は意地悪らしい。
まだまだハッピーエンドは迎えられそうにない。
おしまい。
本編はこれでおしまいです。番外編でまたいちゃらぶを書いていきたいです!
ちなみにこの作品のヒロインは――想像におまかせします。
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