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我が主は、悪役令嬢でこの世界の創造主~味方の従者は何故かヤンデレ~  作者: 六花さくら
【第一部】【第十章 我が主は、悪役令嬢でこの世界の創造主】
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我が主は、悪役令嬢でこの世界の創造主 SideR

 三年後――


 教会の大きな鐘が鳴る。私達の結婚を祝福するように、街中に響き渡る。


――リン、ゴーン。


 私とアッシュは卒業式の翌日、式を挙げた。

 今日はフェリックス王子の配慮により、街中の人たちがフラワーシャワーを窓から降らしてくれているらしい。


――大事な人の結婚式ですからね。


 フェリックスはいつもの微笑みで言ってくれた。

 彼は私よりも先に魔法学校を卒業し、無事王位を継承して、隣国の姫と結ばれた。

 もう彼は王子じゃない。一国を担う王様だ。

 今日も代表者としてスピーチをしてくれた。

 

 私は真っ白なウエディングドレスを着て、真っ赤なバージンロードを一歩ずつ歩む。

 ウエディングドレスはアッシュがデザイナーを雇い、特注で用意していた。ところどころに白い薔薇が刺繍されている。


 オフショルダーが二の腕を隠してくれるので、私のやや大きめな胸を強調しないデザインになっていた。可愛いけれど……露出したロゼを見せたくない、というアッシュの独占欲を感じた。


 そして、教会にはたくさんの青と赤の薔薇が飾ってあった。

 青い薔薇はヒューゴが品質改良を重ねて作ったものらしい。流石天才科学者。


 私はお父様と共に真っ赤なバージンロードを歩く。

 ステンドグラスから七色の光が差し込んで、きらきら輝いている。私のドレスは光を吸い込み、薔薇の刺繍部分が七色の光を反射した。


 隣を立つお父様は涙を我慢していて、決壊寸前のようだった。


――一歩。踏み込む。


 思えば色んな事があった。

 アッシュとはたくさんの時間を過ごした。


――一歩、また進む。


 ずっと、ずっと、想いを伝えられなかった。

 彼はいつでも私を待ってくれていたのに。


――一歩、カツン、とヒールが音を鳴らす。


 そうして、長い長い繰り返しを経て、私達は結ばれた。


 バージンロードは長いようで短かった。

 アッシュは花婿の白いモーニングコートを羽織っていた。


 夜空の様に黒い髪によく映える。

 彼は眩しそうに目を細めた。


「ロゼ。綺麗だよ。本当に……」

「なに泣きそうな声になってるのよ、もう」


 アッシュの声は聞いたことがないくらい弱々しかった。

 でも、それが喜びからくるものだと知っているから、私も嬉しくてたまらなくなる。


 目の前にいる神父様が、こほんと咳払いをする。


「新郎アッシュ・ウィル・ヴォルフガング、あなたはここにいるローゼリア・マリィ・クラインを、病める時も、健やかなる時も、富める時も、貧しき時も、妻として愛し、敬い、慈しむ事を神に誓いますか?」


――神に誓うなんて、なんて皮肉だと思った。


「はい、誓います。俺だけの神様に」


 彼はまっすぐな眼差しで私を見てくれた。

 彼の言葉の意味を考えると少し気恥ずかしくなって、ちょっと目をそらす。


「新婦ローゼリア・マリィ・クライン、あなたはここにいるアッシュ・ウィル・ヴォルフガングを病める時も、健やかなる時も、富める時も、貧しき時も、夫として愛し、敬い、慈しむ事を神に誓いますか?」


「――はい。誓います。世界中の人々の神様に、心から、愛を込めて」


 参列者にはたくさんの人がいる。

 この世界の人々は、私が生み出した人たち。私が創った世界。

 でもそれぞれの意識を持って、願いを持って、生き続けている。


 それならば、どうか祝福を。


 この世界に生きる全ての人達に――


 そしてアッシュは私のウエディングベールをそっと上げた。

 彼は今までで一番幸せそうな顔をしていた。


 神父様が言う。

「それでは、誓いのキスを」


 私は目を閉じる。

 そして、アッシュからいつもより優しい口づけが落ちてきた。


 人前でのキスは、やっぱり恥ずかしかった。

 しかもお父様やお母様や、ルーナやフェリックスや、エドワードや、アニーや、もういろんな人達に見られているのだ。


「ロゼ、綺麗だよ。世界で一番」

「アッシュも、世界で一番格好いいわ。大好き」


 こうして誓いの言葉が終わり、私とアッシュはバージンロードを二人で歩く。

 配列者たちもぞろぞろと外に向かう。


 街の人達が撒いてくれた花びらが空を舞う。

 今日が快晴でよかった。

 

 そして、外には何やら変なきぐるみをきた人がいた。

 猫の着ぐるみとか、犬の着ぐるみを着た人をちらほら見かける。


「――?!」

 まさか着ぐるみがいるなんて聞いてなかったから、私は驚いてアッシュを見た。

 するとアッシュはいたずらっこのような笑みを浮かべた。


「いつか、お嬢が願っていましたから」


 いつの日か口にした、あのテーマパークみたいなところで……という言葉を彼は覚えていたのだろう。

 まさかこんなサプライズがあるなんて。

 本当にアッシュは、私の欲しい物をいつも理解してくれている。


 好き。好き。大好き。

 世界で一番大好きな人。

 そして、宇宙で一番愛している人。


 私は青い薔薇で作られたウエディングブーケを持ち、背筋を伸ばして声を出した。


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