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我が主は、悪役令嬢でこの世界の創造主~味方の従者は何故かヤンデレ~  作者: 六花さくら
【第一部】【第九章 星は巡る】
69/78

呪いを解くお約束SideA

――彼女はなんて残酷な人なのだろう。


 あんな告白をしておいて、こんな突き放すような手紙を遺しているなんて。


 どの世界でも彼女の死は避けられなかった。

 だから、彼女は遺書を俺のために書いたのだろう。


 俺はもう彼女なしでは生きていけない体になっているのに、彼女はそれではいけないと否定をする。


 彼女がいない世界で、幸せになれなんて残酷なことを言う。


 でも――そんな彼女だから俺は愛しているんだ。


 俺だけを見てほしい。

 俺だけの物になってほしい。

 俺と同じ想いを抱いてほしい。


 それが歪なものだということは、ずっと昔から理解していた。


 けれど、止められないのだ。


 彼女の長い金色の髪を見るたびに、宝石のように輝く青い瞳を見るたびに、俺は彼女を独り占めしたくなる。


 閉じ込めて、誰にも見せたくなくなる。


 彼女の求める幸せは、俺の求める幸せとは違う。


 そんな当たり前のことは最初からわかっていたはずなのに、どこかでわかりあえるという希望を抱いていた。


 俺と彼女は一生わかりあえない。

 それは幸福の定義がお互いに違うから。


「――って、そんなんで諦められるかよ!」

 俺は彼女の遺言を握りしめた。

 

 彼女の言葉は彼女の想いであり、願いでもある。


――でも、それじゃあ俺の願いもどうかきいてくれ!


 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


 勝手に突き飛ばすな。お馬鹿令嬢。独りよがりで死んでいくなよ。

 俺は立ち止まらない。振り返らない。

 『最大幸福グレイテストハピネスの世界』に辿り着くために。


 そのために彼女が必要だ。


 この想いは依存なんかじゃない。

 彼女を置いて、先に進むなんて俺にはできない。


 俺は彼女が好きだ。


 ローゼリアは俺のおかげで世界が極彩色に輝いたと書いていた。けれど、その裏を考えてほしい。彼女が居ない世界がどれだけ灰色か。


 いつも置いていかれるのは俺だけだから、彼女は知りもしないだろう。


 ……俺の願いは、いつも変わらず。

――()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


 だから、どうか……。



「じゃじゃじゃじゃーん! ルーナでございます!」


 いきなりドアが開いたと思ったら、そこにはルーナがいた。

 身体が傷だらけ。衣服は泥と煤だらけ。

 

「いやぁ、厳しかったですよ。なんかもういろんな試験をクリアしろって言われて、もう7つくらいの試練を受けました。100年くらいの時を感じましたが、ここでは数時間も過ぎていないんですね」


 ルーナの手元には、()()()()()()()()()()()()()()()()


「どうぞ。これがローゼリア様の魂です」

 ルーナに渡された薔薇を手に取る。


 どくん、どくん、と薔薇が鼓動を打つ。


 この薔薇の色は――ロゼの瞳の色とそっくりだった。


 しかし、これを手渡されて、どうしろというのだ。

 

「《氷魔法解除》――さぁ、アッシュ様。呪いに倒れたお姫様は、どうやって目覚めるのか。ご存知でありません?」

――あぁ、なるほど。そういうことか。


 俺はルーナが持ってきた薔薇を、ロゼの胸元に置いた。


 ()()()()()()()

 眠り姫は王子のキスで目覚め、白雪姫は王子のキスで生き返った。


 つまり、そういうことだろう。

 そして先程まで凍っていた冷たい彼女の唇にキスを落とした――


ルーナの死の国あたりを細かく書いても需要がないなと思い、ざっくりカットしました。


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