彼女の遺した手紙 SideR
『私の愛しいアッシュへ。
この手紙を読んでいるときには、きっと私はこの世にいないでしょう。
なんて、ありふれた書き出しでごめんなさい。
私はいつもあなたから大切なものをもらってきました。
あなたと一緒にいた日々はすべて宝物のようなものでした。
だから、どうか私になにかがあったとしても、立ち止まらないでください。
そして、どうか振り返らないでください。
あなたはあなたの未来を生きてください。
これまでで一番ひどいワガママだけど、これだけは言わせてほしいな。
だってあなたはいつも、自分のことを考えてないから。
もっと自分を大切にして。
幸せは掴んでいないと、すぐ逃げてしまうわ。
もしも辛いと思っても、前を向いて。
私はいつもどんなときも、魂だけになろうとも、あなたの側にいるわ。
決して一人にしない。
一番つらい時は、あなたを背負ってあげるから。
でもね、私は私で。あなたはあなた。
どれだけ長い時を共に過ごしても、お互いが混じり合うことはありません。
きっと混ざってしまったら、それはとても歪なものとなるでしょう。
あなたの見える世界と、私の見える世界は違うのですから。
どれだけ愛し合っても、私達は人だから、全てをわかりあえるなんて、そんなのは絶対にできっこないのです。
みんなそれぞれの世界を持っていて。それを伝えるために言葉を使って。
恋を教えてくれてありがとう。
愛を教えてくれてありがとう。
すべてあなたに教わった感情。
私の創った世界が極彩色に輝いたのは、きっとあなたの言葉のおかげです。
どうか愛しいアッシュ。
もう一度いいます。どうか、振り返らないで』
この物語は軽い感じのラブコメとして描いていたんですが、ヤンデレという立場のキャラを綺麗に描こうと思った時、どうしても二人が依存関係になってしまうというしがらみが出ました。
散々ローゼリアが言っていた、「他人の見える色が、自分の見ている色と同じとは限らない」というように、本質的に全てをわかりあえる人なんていないんだと思います。わかりあえているふりをしているんだと思います。つまり長々と語りましたが、依存≠愛ではないと言いたいだけでした。




