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我が主は、悪役令嬢でこの世界の創造主~味方の従者は何故かヤンデレ~  作者: 六花さくら
【第一部】【第八章 愛の鎖】
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世界の強制力(4)SideL

 胸騒ぎがする。

 これはヒロインの勘というものなのだろうか。

 

『お泊り会をしましょう』

 私の提案に、ローゼリア様は『アッシュと夜、約束していて……』と断られかけたときから、あ、これはなんかまずいなと思っていた。 


 ところかまわずキスをするアッシュ。そしてそれに堕ちていくローゼリア様。見ているぶんには美味しいネタである。


 でも友人としての意見は別だ。


 何を考えるにも、自分の意見よりも恋人の意見を優先するのは、あまり宜しくない。


 依存関係になっていることをローゼリア様は恐れて、アッシュを拒絶したのに、まんまとアッシュの手に堕ちて、依存関係にされかけている。


 そして、夜。待ち合わせの時間を過ぎても、ローゼリア様は来なかった。


「こりゃアッシュ様に捕まったな……」

 と思っていたら、どうやら違うらしい。


 アッシュのところにいない。

 フィリックスのところにも、レオナルドのところにも、エドワードのところにもいなかった。


 じゃあ、一体どこに?


 私はアッシュに怒りを抱いていた。


()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()』と。心から思ったけれど、まぁ正直あてつけでしかない。


 門番に話を聞いていた時、アッシュが魔法を唱えた瞬間、私は彼の腕にしがみついた。

 きっと何か思いついたに違いない。


 アッシュは思ったよりも冷静だったし、きっと、場所の想定か、何か別の手を考えて――私から離れようとしたのだろう。


「逃しませんよっ!」


 正直、このヤンデレのことを私は信用していない。

 そしてアッシュが飛んだ先――そこは初めて来る場所だった。


 でもゲームのイベントで見たことがある。

 何周も何周もした、あのキャラ――ヴィンセントの私室だ。


「……なんでヴィンセント……?」

 私とヴィンセントに接点はない。

 ヴィンセントルートに入ったローゼリア様の無残さを知ったから、絶対にこのルートには入らないと決めていた。


 その部屋に佇むのは、部屋の主のヴィンセント。

 漆黒の長い髪を一つにまとめている。赤いルビー色の目は、私を全く見ない。彼はアッシュを見ている。


「ど、どういうことです、アッシュ様!」

「……ヒロインちゃん。ちょいと黙っててほしいな。黙らないようなら、強制的に黙らせるけど」

 アッシュは腕にしがみついていた私を払い除けた。


「……うっ」

 強制的に睡眠薬を盛られた過去があるから、彼の言葉が脅しではないことはわかっている。ここは逆らわず、黙っていよう。


 ゲームで憧れていたキャラが目の前にいる。

 けれど、そのキャラはゲームのときよりも痩せている……いや、やつれていた。


「……何をしにきたんですか?」

「ちょっと力を借りようと思ってね」


 どうやら二人は知り合いらしい。

 私がフェリックスルートを潰したように、ヴィンセントルートはアッシュが潰していたのか。


 ヴィンセントは血のように赤い瞳でアッシュを捉えて、いきなり胸ぐらを掴んできた。


「お前っ……姉上をどこにやった」

 そう言った彼の瞳は、怒りと動揺で震えていた。


「離せ。触れることを許可してない」

 アッシュは淡々と言った。


 その瞬間、弾かれるようにヴィンセントはアッシュから離れた――いや、剥がされたように見えた。


 魔法を使ったわけではないのに。まるでアッシュの言葉に逆らえないような……。

 今まで見ていたアッシュとは全く違う。

 私の横に立つ男は、まるで無機物かのように感情のない人に見えた。


「姉上っていうのは……あれか。イザベラ嬢か。なんだ……逃げられたの?」

「……貴様がどこかにやったんじゃないのか!?」

「今更あの女に用はないよ。一緒にいなくていいの?」

「だから探しているんだ! 姉上は……姉上は……!」


 話が見えない。


 そもそも『()()()()()()()()()()()()()()()()()


 けれどこの世界では生きているらしい。つまりアッシュが改変したんだろう。


「……一人で出歩ける精神じゃないっ! あの日から……全部狂ってしまった! お前のせいで! 貴様のせいでっ!」

 感情的に怒るヴィンセント。


 彼はアッシュに近寄ることも出来ず、床に突っ伏したまま怒りを吐き出している。

 そんなヴィンセントを、アッシュは冷めた目で見ている。


 正直、ぞっとした。

 私が今まで接していたアッシュは、ローゼリア様がいてくれたから人間味のある一人の男に見えていたんだ。


 その時、私はヴィンセントの手元に一冊の本があることに気がついた。


「お借りします」

 私はヴィンセントからその本を奪い取った。


 するとヴィンセントは全ての怒りを私にぶつけるように、私の頭を掴んで床に叩きつけてきた。

 頭がきーんとする。……痛いどころじゃない。意識が吹っ飛びそうになった。

 これ下手したら首の骨が折れてしまうって。


「ありがとう。ルーナ」

 アッシュは何の気持ちも籠もっていない笑みを浮かべていた。

 そして私から本を取り上げ、開く。


「――ふぅん」

 アッシュは本を読んで、何か納得したらしい。

 私は何がなんだかわからない。

 頭は痛いし、口の中を噛んでしまって、血の味が口の中に広がる。


 アッシュはなにかヒントを掴んだようだ。

 ……でも、このままじゃ私は置いていかれる。


 もしもヴィンセントルートに入っていたら?

 ローゼリア様が酷い目にあっていたら?

 アッシュの行動を考えると、恐ろしいなんて一言じゃ言い表せないほどの恐怖を抱く。


 でも、どんなことがあっても私はくじけない。

 どんなに恐ろしくて、足がすくもうと、私は自分を失わない。


 だって私はあの子(ローゼリア様)の親友なんだから――!


「《ヒロイン権限》」



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