表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
我が主は、悪役令嬢でこの世界の創造主~味方の従者は何故かヤンデレ~  作者: 六花さくら
【第一部】【第一章 悪役令嬢編 幼年期編】
6/78

悪役令嬢(仮)の育成日記(6)sideA

アッシュ視点です。

 ロゼは困ったり笑ったりと表情の変化が激しい。

 見ている分には楽しくてしかたがない。


 ロゼの言う前世でも、あまり異性と接触した経験はないのだろう。

 何度もループを繰り返してわかった。

 たとえば、テーブルの上に置かれた手に、そっと俺の手を重ねてみる。


「――っ! な、何?」

 ロゼは目を丸くして驚いた。

 やはり初い反応。


 うん。きちんと時間は巻き戻っているなぁ。


「いえ、そこに虫がいましたんで」

「えっ? 虫? 虫やだ! 私、嫌いなのよ! どんな虫?」

「色鮮やかな毛虫でしたねぇ。鮮やかすぎて毒々しい色をしてました」

「や、やぁあ! 想像しちゃうじゃない! も、もうティータイム終了!」

 ロゼはそう言って、ぷりぷり起こって、逃げるように屋敷の中に戻っていった。

 虫の話はもちろん嘘だ。


「本当に正直なんだから、ロゼは」

 俺は放置されたロゼと俺のステータス画面を眺めて詠唱を唱えた。

開示(オープン)

 透明なブルーのステータス画面の数値が変化する。

 そこには、真実のステータスが表示されていた。


ローゼリア・マリィ・クライン

職業:公爵令嬢

年齢:一〇歳 身長:130cm 体重35kg

 

空魔法:適合率50%

風魔法:適合率50%

火魔法:適合率50%

水魔法:適合率50%

地魔法:適合率50%

光魔法:適合率100%

闇魔法:適合率100%


HP:100 (平均)

MP:10,000,000,000


※特記事項:創造主(かみさま)


「何度みてもロゼのステータスは面白いなぁ」

 先程ロゼに提示したステータスは彼女をいじるためのステータスで、本物のステータスはこっちだ。

 五大元素は半分ずつ獲得。王宮魔術師でも80%あれば就職可能だ。

 その中での光魔法と闇魔法の適合率の異常者。


 創造主(かみさま)だからなんでもあり、っていうのはわかるけれど、それが通用するのはロゼと共に何度もループを繰り返してきた俺だから納得できるわけであって。



 この国では十二歳になると鑑定師が正式な魔術鑑定を行う。

 そこでこのステータスがバレたら、ロゼは速攻で王宮に攫われて――公爵令嬢という身分があるから、ひどい目には合わないと思うけれど――実験に使われることは間違いない。


 ロゼは当たり前のことにステータスについて聞いてきた。

 ゲーム感覚がまだ抜けないのだろう。

 俺は当たり前のように鑑定して見せたけれど、本当は鑑定士というスキルを持つ者しかステータス開示なんてできない。


「……八周目はどうなってるんだろうな」

 自分のステータスもありのままに鑑定してみよう。



アッシュ・ウィル・ヴォルフガング

職業:公爵令嬢付きの従者

年齢:12歳 身長154cm 体重46kg


空魔法:適合率90%

風魔法:適合率90%

火魔法:適合率90%

水魔法:適合率90%

地魔法:適合率90%

光魔法:適合率0%

闇魔法:適合率100%


HP:15,000

MP:100,000,000


※特記事項:繰り返す者(ルーパー)


「うわぁ……」

 自分でもドン引きした。ロゼのことをイジってるけど、このステータスもイカれている。


 この世界を何度も繰り返すに連れて、ステータスはぶっ壊れてしまった。

 魔法学院なんて、適正率が1%でもあれば入れる。


 この世界をループしても、ステータスはリセットされない。

 むしろスキルの習得や、魔術強化の練習でどんどん上がっていく。

 元々魔術特性の高かった俺は、何度も繰り返すうちに更にステータスが上がった。

 最初の時は60%が限界だったのに。


――すごいわ、アッシュ。こんなにたくさん魔法が使えるなら、王宮魔術師の長にだってなんだってなれるわ。


 一周目の彼女が無邪気に微笑んでいたことを思い出す。

 王宮魔術師の長なんてどうでもいい。

 ただ、彼女にすごいと言われたのは嬉しかった覚えがある。

――いまはこんなに捻くれてしまったけれど。


「ロゼに見られたら危ないなぁ……なんとか、ロゼが鑑定スキルを取得するのを阻止しないと」

 そういえば、来年スキル鑑定の道具が開発される予定だ。

 いま俺が見せるだけなら、能力値をごまかす魔法が使える。


 二年後――正式な鑑定士によるステータス公開でも、俺よりもスキルレベルが低い鑑定士相手なら誤魔化せる。これまでもそうしていた。


 だから、うかつにこのぶっ壊れ性能が世間にバレる前に、スキル鑑定の道具を作る工房をすべて――

「潰さないと」


 全てはロゼに計画を悟られないために。


「……なにを?」

 急いで振り返る。そこにはロゼが立っていた。


「お嬢、屋敷に戻ったんじゃないんすか?」

 しまった。ロゼの隠密スキルは俺よりも上だった。


「忘れ物を取りにきたのよ。そしたら怖い顔したアッシュがいたから。……なにを潰すかはわからないけど、あ、もしかして毛虫? んーでも、そんな殺気だって殺したら可哀想だわ」

「殺すのは肯定なんすね」

「……庭師に頼んで、今日中には除草剤をふりまく予定よ。全滅させてやるわ」

 お嬢様は相当虫がお嫌いらしい。

「――で、潰すってなんのこと?」

 ロゼは笑顔で尋ねてきた。


 幼いロゼもかわいいなぁ。笑うと目尻がたれて、頬が上がる。


「虫のことですよ」

「あら。じゃあもう事件は解決ね。でもなんでかしら。まだアッシュの顔はしかめっ面だわ」

 ロゼはそう言って、ぐいーっと背伸びをして、俺の頬に手を伸ばしてきた。


「怖いものは私が全部とってあげるから、笑って。貴方にはやっぱり笑顔が似合うから」

「――っっっ!」


 ……何度繰り返しても思う。

 彼女のこの天然タラシっぷりはどうにかならないのだろうか。


 金色の髪が陽に当たって、キラキラと光る。髪の同じ色のまつげが、目元に影を落とす。


 この世界の創造主であるローゼリア。

 俺にとって――こっ恥ずかしいけど――唯一の女神様だ。



 あぁ、ローゼリア、お嬢、お嬢様。

 何度も貴方に恋をして、何度も貴方を愛した。

 これからもずっと永遠に愛している。愛しています。


「お嬢の忘れ物って、なんっすか?」

「やぁね。これに決まってるじゃない」

 そう言って、ロゼは俺の服の裾を掴んだ。

 つまり、忘れ物は俺ってことか。


 ……がわいいいっっ!


 ちょっとまだ心を開いていなくて。

 でも主っぽく見せるために偉そうにして。

 手をすっと握れないほど初で……。


「さぁ、アッシュ、今から私の部屋で作戦会議よ!」

「なんか……イベントも起こらない今が一番幸せな瞬間かもしれないっすね」

「ふふ、私もおんなじこと考えた」


 今度はいたずらっ子っぽく笑った。

――ン゛ッッッ。


 我が主は、この世界の創造主(かみさま)で……世界で一番可愛い。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ