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我が主は、悪役令嬢でこの世界の創造主~味方の従者は何故かヤンデレ~  作者: 六花さくら
【第一部】【第八章 愛の鎖】
58/78

恋人同士のすること SideR

 私たちは薔薇の舞い散る場所で、思いを伝えあった。


「……えっ、何もしてないんですか?」

 ルーナとはいつもの庭園でお昼ごはんを食べていた。


 彼女にとってはびっくりすることだったらしい。

「あの狼が我慢できているんですか? ローゼリア様、どんな教育したんですか?」


「えっと、ルーナ。そもそも私たちって付き合ってる段階なのかしら?」

「……へ?」

 ルーナが口をぽっかりと開ける。


「お互い告白はしあったんですよね?」


「うん。私も頑張って好きって言ったわ。それで、アッシュも好きって応えてくれたの!」


「……なるほどなるほど。でも肝心の付き合いましょうとは言っていないと」


「そう! そうなの! だからいまどういう状態なのかなって思って!」

「付き合ってるでしょ。完全に。ローゼリア様……」


 ルーナは呆れた表情で言う。


「逆に付き合ってないなんて言ったら、アッシュ様……きっと激怒しますよ」

「そ、そうかしら……でも、アッシュ、前よりも積極的に私の迫ってこないから……もしかして相当嫌われちゃったのかも……」


「嫌いな相手に好きなんて言いませんよ、ローゼリア様」

「そうよね。でも、キスもしてなくて……」


「したいんですか?」

 ルーナから尋ねられる。私は頷いた。

 もっと触れてみたい。触れられてみたいと、心の奥が疼く。


「なら、ローゼリア様からしてみては?」

「――ぇえ!?」

 ルーナはなにか問題でも? というように、あっけらかんとした感じで言う。


「そもそも、二回、もうキスしてる仲なんでしょ? ならもうぐいぐい行くしか無いですよ!」

「……う、うん……」

 確かにもうキスはした――けど、ルーナがなんでそれを知ってるんだろう。


 そしてその日の夜。

 私は久しぶりにアッシュの作った夕食を食べた。


 私好みの少し甘めの味付け。

 本当にアッシュは私のことを理解してくれてる。


――キスしたい。

 どう言い出せば良いんだろう。アッシュはいつもよりも言葉数が少ないし……。

「アッシュ」

「なんでしょう、お嬢」

「……き、キスがしたいです!」

「ぶっ」


 私の直球な要求に、アッシュは飲んでいた紅茶を吹き出した。


「お嬢、いや、ロゼ……人がどれだけ自制してると……本当に、もうっ……ああ」

 アッシュは顔を真っ赤に染めていた。耳まで赤く染まっていて、ぴくぴく動いている。


 その瞬間、肩を掴まれた。

 跡が残っちゃいそうなくらい強い力だった。


「……いいんですか? 俺、もう我慢しませんよ?」

「うん。アッシュならいい……ううん、アッシュがいい」


 彼の顔が近くに来る。私はぎゅっと目をつむって、彼からの口づけを受けた。

 温かい、人肌の唇。思ったよりも柔らかくて、マシュマロみたいだなと思った。

 初めてのキスはレモンの味がするというけれど、私の初めてのキスは紅茶の味がした。


 その時、口の中に何かが入ってきた。

 アッシュの舌だ。温かい舌が口の中を這い回る。


 私は頑張ってその舌に、自分の舌を絡めてみた。


「んっ!? んんっ! ぁっ……んちゅぅ」

「……はぁっ……ちゅっ……」


 静かな空間にキスの音が広がる。

 こんなに激しいキスだとは思わなかった。


 いつもみたいな簡単なキスのつもりだった。

 だけれど、彼とのキスは恥ずかしいけれど、どこか心地が良かった


 ただ――


「んっ、んんー! んっ! んぅう―!」

 私はアッシュの背中をどんどんと叩いた。

 息継ぎ、どこですればいいの!?


 アッシュはやっと気づいたのか、一旦キスをやめた。

 どちらのかわからない唾液が、糸になって二人の唇を繋いでいる。


「息継ぎの仕方がわからないなんて……ほんと、ロゼはかわいいっすね。ちょっとずつ、慣れていきましょ。俺が教えますから」

 そう言って、アッシュはまたキスをしてきた。


 何度も、何度も、時間がわからなくなるくらい、長いキスをした。

 たまに息継ぎのために離れてくれるけど、それも数秒。

 すぐにまたキスの雨が降る。


 身体中の力が抜けて、椅子にすら座れなくなった私を、アッシュはお姫様抱っこで抱えてベッドにおろしてくれた。

「あっ……んっ、ちゅるっ、んんんぅっ」

「ほら、ロゼ。もうちょっと、俺の舌を味わって」

「んっんんぅっ……」

 正直もう頭の中は沸騰寸前だった。


 キスというのは、口と口が接するだけのものだと思っていた。

 でも違う。

 触れ合っている場所は口と口なのに、全身が疼く。身体が、もっと欲しいと――はしたなく感じる。


「はぁっ……んっ」

 アッシュの唇が離れた。

 すると、アッシュは今度は唇ではなく、首元にキスを落とした。


「んぁっ、ひゃっ……くすぐったい……!」

「もう、ほんとに可愛いなぁ、ロゼ。俺は頑張って自制しようと思ってたんだけど……誘ってきたのはロゼだからね――今更後悔しても遅いよ」


 唇に、首筋に、なめるようなキスを何度も何度もされる。

 勢いから逃れようと、顔をうつむけたら、首の後ろにキスをされた。


「ひぁああっ~っ! あっ……あんっ」

「ロゼは背中が弱いんだね」

 くすり、とアッシュが笑う。そのまま、首の裏に何度も何度もキスをされ、正直もう食べられてしまうんじゃないかと思った。


 アッシュが私の服のボタンを器用に外す。

 そして、服の下から入ってきた彼の手が、私の身体に触れて――


「ぁっ……あんっ」


 つつーっと、なぞるように上半身を触れられる。

 じれったくて、くすぐったくて、でも、もっと激しく触れられたくて――


 頭の中がどうにかなりそうだった。


 このまま、アッシュにすべて食べられてしまうんだろうか。

 アッシュは自制してたって言っていた。


 男の人は女性と違って性欲が強いと聞くし……本当に我慢してくれていたんだ……。

 私のことを尊重してくれていたことが嬉しい。でも、すっっっごく恥ずかしい。


「ほんと、いつも感度がいいっすね……俺もいい加減抑えきれません――」


 アッシュの声が遠くなる。


「好きです。ロゼ。ずっと、ずっっと。これから何があっても、永遠に大好きです……」


 身体中が知らない感覚で疼く。頭の中がチカチカして、真っ白になる。

――気づいたら私は意識を失っていた。


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