恋人同士のすること SideR
私たちは薔薇の舞い散る場所で、思いを伝えあった。
「……えっ、何もしてないんですか?」
ルーナとはいつもの庭園でお昼ごはんを食べていた。
彼女にとってはびっくりすることだったらしい。
「あの狼が我慢できているんですか? ローゼリア様、どんな教育したんですか?」
「えっと、ルーナ。そもそも私たちって付き合ってる段階なのかしら?」
「……へ?」
ルーナが口をぽっかりと開ける。
「お互い告白はしあったんですよね?」
「うん。私も頑張って好きって言ったわ。それで、アッシュも好きって応えてくれたの!」
「……なるほどなるほど。でも肝心の付き合いましょうとは言っていないと」
「そう! そうなの! だからいまどういう状態なのかなって思って!」
「付き合ってるでしょ。完全に。ローゼリア様……」
ルーナは呆れた表情で言う。
「逆に付き合ってないなんて言ったら、アッシュ様……きっと激怒しますよ」
「そ、そうかしら……でも、アッシュ、前よりも積極的に私の迫ってこないから……もしかして相当嫌われちゃったのかも……」
「嫌いな相手に好きなんて言いませんよ、ローゼリア様」
「そうよね。でも、キスもしてなくて……」
「したいんですか?」
ルーナから尋ねられる。私は頷いた。
もっと触れてみたい。触れられてみたいと、心の奥が疼く。
「なら、ローゼリア様からしてみては?」
「――ぇえ!?」
ルーナはなにか問題でも? というように、あっけらかんとした感じで言う。
「そもそも、二回、もうキスしてる仲なんでしょ? ならもうぐいぐい行くしか無いですよ!」
「……う、うん……」
確かにもうキスはした――けど、ルーナがなんでそれを知ってるんだろう。
そしてその日の夜。
私は久しぶりにアッシュの作った夕食を食べた。
私好みの少し甘めの味付け。
本当にアッシュは私のことを理解してくれてる。
――キスしたい。
どう言い出せば良いんだろう。アッシュはいつもよりも言葉数が少ないし……。
「アッシュ」
「なんでしょう、お嬢」
「……き、キスがしたいです!」
「ぶっ」
私の直球な要求に、アッシュは飲んでいた紅茶を吹き出した。
「お嬢、いや、ロゼ……人がどれだけ自制してると……本当に、もうっ……ああ」
アッシュは顔を真っ赤に染めていた。耳まで赤く染まっていて、ぴくぴく動いている。
その瞬間、肩を掴まれた。
跡が残っちゃいそうなくらい強い力だった。
「……いいんですか? 俺、もう我慢しませんよ?」
「うん。アッシュならいい……ううん、アッシュがいい」
彼の顔が近くに来る。私はぎゅっと目をつむって、彼からの口づけを受けた。
温かい、人肌の唇。思ったよりも柔らかくて、マシュマロみたいだなと思った。
初めてのキスはレモンの味がするというけれど、私の初めてのキスは紅茶の味がした。
その時、口の中に何かが入ってきた。
アッシュの舌だ。温かい舌が口の中を這い回る。
私は頑張ってその舌に、自分の舌を絡めてみた。
「んっ!? んんっ! ぁっ……んちゅぅ」
「……はぁっ……ちゅっ……」
静かな空間にキスの音が広がる。
こんなに激しいキスだとは思わなかった。
いつもみたいな簡単なキスのつもりだった。
だけれど、彼とのキスは恥ずかしいけれど、どこか心地が良かった
ただ――
「んっ、んんー! んっ! んぅう―!」
私はアッシュの背中をどんどんと叩いた。
息継ぎ、どこですればいいの!?
アッシュはやっと気づいたのか、一旦キスをやめた。
どちらのかわからない唾液が、糸になって二人の唇を繋いでいる。
「息継ぎの仕方がわからないなんて……ほんと、ロゼはかわいいっすね。ちょっとずつ、慣れていきましょ。俺が教えますから」
そう言って、アッシュはまたキスをしてきた。
何度も、何度も、時間がわからなくなるくらい、長いキスをした。
たまに息継ぎのために離れてくれるけど、それも数秒。
すぐにまたキスの雨が降る。
身体中の力が抜けて、椅子にすら座れなくなった私を、アッシュはお姫様抱っこで抱えてベッドにおろしてくれた。
「あっ……んっ、ちゅるっ、んんんぅっ」
「ほら、ロゼ。もうちょっと、俺の舌を味わって」
「んっんんぅっ……」
正直もう頭の中は沸騰寸前だった。
キスというのは、口と口が接するだけのものだと思っていた。
でも違う。
触れ合っている場所は口と口なのに、全身が疼く。身体が、もっと欲しいと――はしたなく感じる。
「はぁっ……んっ」
アッシュの唇が離れた。
すると、アッシュは今度は唇ではなく、首元にキスを落とした。
「んぁっ、ひゃっ……くすぐったい……!」
「もう、ほんとに可愛いなぁ、ロゼ。俺は頑張って自制しようと思ってたんだけど……誘ってきたのはロゼだからね――今更後悔しても遅いよ」
唇に、首筋に、なめるようなキスを何度も何度もされる。
勢いから逃れようと、顔をうつむけたら、首の後ろにキスをされた。
「ひぁああっ~っ! あっ……あんっ」
「ロゼは背中が弱いんだね」
くすり、とアッシュが笑う。そのまま、首の裏に何度も何度もキスをされ、正直もう食べられてしまうんじゃないかと思った。
アッシュが私の服のボタンを器用に外す。
そして、服の下から入ってきた彼の手が、私の身体に触れて――
「ぁっ……あんっ」
つつーっと、なぞるように上半身を触れられる。
じれったくて、くすぐったくて、でも、もっと激しく触れられたくて――
頭の中がどうにかなりそうだった。
このまま、アッシュにすべて食べられてしまうんだろうか。
アッシュは自制してたって言っていた。
男の人は女性と違って性欲が強いと聞くし……本当に我慢してくれていたんだ……。
私のことを尊重してくれていたことが嬉しい。でも、すっっっごく恥ずかしい。
「ほんと、いつも感度がいいっすね……俺もいい加減抑えきれません――」
アッシュの声が遠くなる。
「好きです。ロゼ。ずっと、ずっっと。これから何があっても、永遠に大好きです……」
身体中が知らない感覚で疼く。頭の中がチカチカして、真っ白になる。
――気づいたら私は意識を失っていた。
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