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我が主は、悪役令嬢でこの世界の創造主~味方の従者は何故かヤンデレ~  作者: 六花さくら
【第一部】【第六章この世で一番正しいもの】
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愛している証明(3)SideA

 ロゼが《再構成(プログラム)》と口にした瞬間、頭の中にノイズが走った。

 そのままロゼは倒れ、眠った。


 俺はノイズの走る頭を抱えて私室に戻る。


――想いをリセット


 ロゼとの記憶が、消えていく。


 何度も繰り返した記憶も。絶対に死なせないと思った決意も。全てにノイズがかかっていく。

 彼女の声が、俺の思いを全て否定してくる。


 ロゼの笑顔が愛おしい――『それはまがい物の記憶よ』


 ロゼの涙を見たくない――『それは仕組まれた願いなの』


 ロゼを愛している――『それは、植え付けられた想いだわ』



 違う。

 違う違う違う違う!


 この想いは『創造主』から与えられたものじゃない。

 俺の思いと決意が生んだものだ。


 ロゼだから。ロゼが好きだから、愛おしいから。

 この想いは俺だけのものだ。

 誰にも渡さない。たとえ《創造主(ローゼリア)》にだって消させない。


 この世界がロゼの創ったものだとしても、俺の中の世界は、意識は、俺だけが抱えるものだ。

 ロゼはそれをずっとずっと誤解している。

 この世界の者たちを、ゲームの駒として見ているから――

 

 なんだよ。それ。

 満天の星空の下で願ってくれたことは何だったんだ。


 あの瞬間に抱いた感情に間違いない。誰にも否定させない。

 俺が生んで、俺だけが大事に抱えている宝物のような記憶。


 そもそも『世界』の定義はなんなんだよ。

 この世界をロゼは創ったといった。建設物や、魔法や、人々などのストーリーを創ったと。


 でも、じゃあ俺が見ている、俺から見た世界は?

 世界がロゼを中心として回っているように、俺の中の世界も俺を中心に回っている。

 ルーナも、フェリックスも、ヴィンセントも、アニーも。

 みんなそれぞれの意識をもって生きている。存在している。


 あのド天然大馬鹿令嬢だけが世界の中心じゃない。

 彼女が生んだものだとしても、それぞれが自分の意識(クオリア)を世界を持って生きている。


 そう。

 俺の中でロゼは『金色のふわふわした髪で、宝石のように透き通る青の瞳を持った、とっても可愛い女の子』だ。おまけに『大大大大大大大大大大大大大大大好き』も追加してやる。


 俺は俺で、ロゼはロゼだ。

 これまで俺が臆病だったから、関係を壊したくて前に進まなかったのが悪かったかもしれない。


 六周目のように、監禁してしまおうか。

 誰にも見られないところで、俺だけを見るように――

 でも、それでも俺の想いは彼女に届かなかった。行動だけじゃわからせられない。


 どうやったら届く?

 

 どうやったら俺の想いをわかってくれる?


 どうやったら彼女の壁を壊せる?


 そして、俺は気がついた。


「あぁ……なんでこんな単純なことに気づかなかったんだろうな……」


 ロゼがいくら拒んでも、俺の想いは変わらない。


 ()()()()()()()()


 ()()()()()()()()()()()


 ()()()()()()()を愛しているんだ。


 それを伝える方法は、とても単純で、簡単なことだ。

 

 俺の見る赤色が、他人の見る赤色と同じという証明はできない。

 俺が相手とおなじ目を持って、赤色を見て、ようやくそれが『同じ赤』だと証明できるように。

 

 でも、まずそれを赤だと認識させるためには。証明をするために一番大切なことは。


――()()だ。


 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


 だからもう俺は決めた。

 もう彼女の一歩後ろを歩くのはやめよう。


 彼女の隣を歩めるように俺は生きると、いまこの瞬間決めた。


「……このこじらせた数百年分の想いを、全部ぶつけてやるから、覚悟してろよ」


 ()()()()()()()()()()()()()()()()

 なんでもそうだ。他者と他者の認識をつなぐためには、言葉がいる。


 愛している証明を、彼女にぶつけてやろう。



 翌日、ロゼを覚ますタイミングで部屋に入った。

 ロゼは目を赤くして、テディベアを抱きしめていた。


 きっとロゼへの想いが消えていると想っているのだろう。

 馬鹿野郎。

 そんな簡単に消せるんなら、こんなに片思いを拗らせていない。


「お嬢、ちょっとご相談が有りまして」


 俺は話を切り出す。

 

「珍しいわね。何?」

 宝石のような青い瞳が俺を見つめる。


――さぁ、ここからは俺の物語(ゲーム)を始めよう。


 望むのはハッピーエンド。ただ一つ。


「ローゼリアお嬢様のことが本気で好きなんですが、どうすればいいでしょうか?」


 俺の言葉を聞いた彼女は目をまんまるにして、持っていたティーカップを落とした。

そう簡単に人の想いは消えません。ここからアッシュの猛攻撃、開幕です。


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