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我が主は、悪役令嬢でこの世界の創造主~味方の従者は何故かヤンデレ~  作者: 六花さくら
【第一部】【第六章この世で一番正しいもの】
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愛している証明(2)SideR

「《再構築(プログラム)》」


 その呪文を口にした瞬間、私の周りの世界が一変した。

 上も下も横もない、0と1だけが並ぶ無数の世界の核(システム)


「……アッシュには、本当に迷惑ばかりかけちゃったなぁ」


 私が彼を『観測者(主人公)』に設定したから、彼は私に尽くしてくれるようになった。


 何度も繰り返す世界は孤独だ。だからこそ話し相手がいたら落ち着くし、頼りになる。


 お互いが共依存状態で、私達は何度も数多の世界を乗り越えてきた。

 でも、彼はこの世界の住民(NPC)で、私はこの世界の創造主(かみさま)


「最初から、一人で動けばよかった……」


 彼と過ごす日々が楽しかった。

 記憶を取り戻した、私は今までのことを一つ一つ振り返った。



 いつも美味しい紅茶を入れてくれたこと。


 私がわがままを言って、餡を作ってもらったこと。


 王子と結婚したくないと駄々こねた時に、キスをしてくれたこと。


 一緒にジェラートを食べに行ったこと。


 なんでかしらないけど義兄になったり。


 ヒロインの足止めをしてくれたり、ほっぺにキスしたり、子守唄を歌ってくれたり。


 そして、最悪の未来――私が穢れた時も、一緒に居てくれると約束してくれた。



『貴方は汚れたというけれど、ロゼの心は綺麗なままだ。ずっと。

 そして、どんな姿でも構わない。俺は生涯、この魂が尽きるまで、ロゼを支える。だから一緒に行こう』


 あの言葉がまやかしだとしても、本当はとても嬉しかった。


 『傍観者(主人公)』であるアッシュは、何処にでもいけたのに。どんな未来でも選べたのに。私を見捨てて色んな世界を歩んでいけたのに。

 なのに、いつも隣にいてくれた。


『わかりました。お嬢がそこまで言うなら、魔法学校でも最果ての地でも、地獄でも煉獄でも天国でも、何処までも付き合いましょう』


 本当に、どこまでも、どこまでも一緒にいてくれた。


 ()()()()()()()()()()()()()()()()()

 それは()()()()

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


 たとえば別世界で彼に好きな人がいたとして。

 彼は死亡した瞬間に私のもとに戻ってくる。


 一生離れられない従者にしたのは私の方だわ。


――これは私の罪。


「《再構築(プログラム)》」

 もう一度口にした瞬間、沢山の思い出が押し寄せてきた。

 呪文を唱える前に涙が溢れて、止まらなかった。


「……っあっ……アッシュ、やだ、隣に……いてほしかった……ずっと、いっしょにいたかったよぉ……」


 一人しかいない空間で涙を流す。


「いつも……ありがとう。ずっと好き……大好き……っ! アッシュが好き……」


 心がざわざわする。

 苦しくなって、胸がぎゅっと痛くなって、涙が溢れて止まらなくて。


 あぁ、これが恋で、これが愛するという感情なんだと、最後の最後で私はやっと気づけた。


 恋する乙女は強い。

 涙を拭って、鼻水をすすって、息を吸って。


「《アッシュから観測者の権利を剥奪。ローゼリアとの共依存関係も、想いもリセット》」


『共依存関係も、想いもリセット』こうすることで、

 いままで積み重なってきた想いも消えてしまうだろう。


 私を好きとか想ってたという気持ちの錯覚も消え、アッシュはただの従者というNPCになり、気持ちをリセットされるだろう。


 さようなら。大好きな私だけの従者。



 目が覚めた時、アッシュはいなかった。


「……ぇっ……うぅっ……うぁああ……」


 嗚咽が溢れる。涙が止まらない。

 自分で決めて設定したことなのに、苦しくて悲しくて、想い焦がれて。


『ロゼ、大丈夫? どうしたの?』


 テディベアのキッドが私の側に来てくれる。

 私はキッドを強く抱きしめた。


「私、失恋しちゃったの……」

『可哀想に。好きな人がいたんだね』

「うん。すごく近くに……でも、もういない――」


 トントン、と、扉が叩かれた。

 どうぞ、と相手を招く。

 すると、そこに立っていたのは――アッシュだった。


「な、なん、で……」

「なんでって言われましても、俺はお嬢の従者で義兄ですぜ。従者として当然の朝の食事を

持ってきました」


「……あ、そ、そうよね。食事を持ってくるのは当然よね」

 今日の朝食は分厚いハムが挟まったベーグルサンド。

 いつものように紅茶も淹れてくれた。


 きっと、ローゼリアを好きだと言っていたあのまやかしは消えているはず。


「良い木苺があったので、デザートに木苺のケーキを焼いておきました」

「えっ! いつの間に!」

「昨日、お嬢が眠っていた間ですね。デザートはお昼までお預けっすよ」

「わ、わかってるわ!」

 私は二杯目の紅茶をすする。


「お嬢、ちょっとご相談が有りまして」

 その時、アッシュをまっすぐ見て言った。


「珍しいわね。何?」


「ローゼリアお嬢様のことが本気で好きなんですが、どうすればいいでしょうか?」

 

 彼は悪い笑顔を浮かべて、床に膝をついた。



 …………え?


ここからはひたすらラブコメ……になるといいな!!!


気に入っていただけましたら、★★★★★評価お待ちしています。


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