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7.山賊とそばかすちゃん

ーーー翌日、早朝


うわぁー、泣いて寝落ちとかって恥ずかしすぎる。でも、5才ならありかしら?

ベッドにいるってことは、リビングから運んでもらったのよね?申し訳なさすぎて、泣けてくる。


泣きすぎたのか、喉が渇いた。お水飲みたいわ。

厨房の場所知らないけど、まっ、歩いていたら着くでしょう。


そう思いながら、自室を出る。

しばらく歩くと、反対側から家令のグレイがやって来る。グレイは私を見ると、ちょっと驚き側へ駆け寄った。

「おはようございます、お嬢様。まだ5刻前ですが、どうなさいました?」


(わたくし)の記憶だと、こんなに早くに起きたことはない。いつもサラに起こされるまで、起きないものね。でも、82才の私には、いつも通りの起床時間。年寄りの朝は早いのよね〜。


「おはよう、グレイ。喉が渇いて起きてしまったの。だからお水欲しくて、厨房に行こうとしたの」

「そうですか。でしたら、お部屋のベルを鳴らせばサラが参りましたのに」

「でも、まだ時間が早いでしょ?お水だけの為に、サラを起こしたら申し訳ないじゃない」

だって、サラまだ12才じゃない。起こすのは忍びないわ。


「っ!そ、そうですか。お優しいのですね。では、私と一緒に厨房に参りますか?」

「うん。ありがとう。お願いします」

ペコリと頭を下げる。

「っ!!!」


私は知らなかったが、5才のジョアンは誰に対しても横柄な態度だった。やってもらうのが当たり前で、お礼も言わなければ、お願いする為に頭を下げたことはなかった。


グレイと厨房まで歩きながら、頭が混乱しているからと、色々教えて貰った。


この世界も、前世と同じ24時間制。

ただ、○時○分ではなく、

   ○刻○分というだけ。

また、日本と同じように四季があり、1週間は7日で、1年は365日。

曜日も、月火水木金土日ではなく

    光火水風雷土無らしい。

学院や、仕事も基本週休2日制らしい。



短い足を頑張って動かして、ようやく厨房に到着。

既に料理人たちは、朝食の準備をしていた。

そこへグレイと共に入る。

「あれ?グレイさん。こんな早い時間に、どうしたんだ?」

うわっ、山賊がいる。身体も声もデカくて、髭面だわ。

「おはようございます、エイブ。私が用があるのではなく……」

グレイが私の方に視線を寄越す。

「おはようございます。喉が渇いたので、お水をくだちゃい」

噛んだ。恥ずかしい。

「「ぷっ……」あっ、おはようございます、お嬢。水ですね。ちょっとお待ち下さい」

笑われたぁー。しかも、2人笑ってたわ。グレイじゃない。犯人はどこだ?

お水が来る前に、キョロキョロと厨房を見渡す。


あっ、いた!!

後ろ姿だけど、赤毛のおさげの子。

有名な小説に出てくる女の子みたい。あの本、昔よく読んだわねぇ。これで顔にそばかすもあって、名前も一緒なら、良いのにね〜。

そんな事を考えてニヤニヤしていると

「お待たせしました、お嬢。水ですぜ」

エイブさんがお水を持って帰ってきた。

「ありがとうございます」

「っ!!」


ごく、ごく、ごく……。

あー、美味しいわ。

でも、寝起きは白湯の方が健康にも美容にも良いって、昔テレビで言ってたわ。

今度、お母様にも教えてあげましょうかねぇ。

「お忙しい時間に、すみませんでした」

と頭を下げる。

「いや、いや、頭を上げて下さいよ。水ぐらい、いつでも出しますんで。コップでも、バケツでも」

さすがにバケツではいらないわ。


あっ、昨日の夕飯のこと、謝らないといけないわねぇ。確か、エイブさんらしいけど、確認は大切!

間違えたら失礼だからねぇ。

「えっと…、ごめんなさい。お名前は?」

「あっ、俺はエイブです。料理長をやってます。あと、こっちが……おい、こっちに来い」

赤毛の子がやって来る。

やっと顔が見れる。さぁ、そばかすちゃんかな?

ビンゴーーー!!

そばかすちゃん、来たーーーーー!!!

リーチがかかりました、さぁ、名を名乗りたまえーー。

「お嬢様、アニーと言います」


そっちかーーー。

ミュージカルの方かい。そしたら、赤毛のアフロでしょうよー。


……落ち着け、私。みんなが見てる。


「エイブさん、アニーさん、昨日の夕飯、残してごめんなさい。お腹いっぱいで食べきれなくて。」

「いや、いや、そんな滅相もない。謝って貰わなくて良いんですよ。お腹いっぱいになったら、それで」

「でも、残したらもったいないし……。だから、次は少なめでお願いします」

と、頭を下げる。

「お嬢様、そんなに頭を下げずとも宜しいんですよ」

と、グレイは言う。

「でも、お願いすることだから、頭を下げるものでしょ?」

「「「っ!!!」」」


「そ、そうですね。お願いする時は大切かもしれませんね」



バタバタ、バタバタ……

ん?誰か走ってくる。どうしたのかしら?

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