62.叔母家族
「とりあえず準備しよっか。えーっと、まずは在庫チェックかなぁ」
冷蔵庫とパントリーの在庫を確認して、何を作るか考える。
「よしっ!唐揚げ、ジャガトサラダ、野菜オムレツ、タマオングラタンスープ。デザートにシャーベットにしよう!!」
「タマオングラタンスープ?」
「シャーベット?」
「タマオングラタンスープはタマオン炒めたスープにパンとチーズのせて焼いた物。シャーベットはジュースを凍らせた物かな。あっ、唐揚げは塩味、ガーニック塩味にしよう!」
「「「了解!!!」」」
「唐揚げはエイブさん、サラダとオムレツはアーサーさん、スープとデザートは師匠で。お願いします」
「「「お願いします」」」
「あっ、エイブさん。コレも使って、食べ比べしよう」
ストレージから、ルフバードの肉を出し渡す。
「お嬢、寮からくすねたのか?」
「人聞きの悪いこと言わないで、ちゃんとお願いして貰ってきたの。あっ、師匠。タマオンは薄切りした後にバターで茶色になるまで炒めて。焦がさないようにね」
「OKっす」
「じゃあ、その間にシャーベットを作ろう」
ミランジジュースをトレイに入れて冷凍庫へ。
「ん?ジョアン様、終わり?」
見ていたベンが聞いてきた。
「うん、ある程度固まってきたら、かき混ぜてまた凍らすのを繰り返すだけ。簡単でしょ?」
「簡単すぎっすよ。本当にシャーベットってやつができるんすか?」
「できるよ。あっ、タマオンいい感じだね。じゃあ、そこに、よっこいしょ……コレを入れる」
ストレージから、前に作ってしっかり存在を忘れていた鶏がらスープの入った寸胴鍋を出す。
「ばばぁの掛け声」
「うるさいよ(身体は子供だけど、ばばぁだよ)」
師匠に文句を言いながら、タマオンを炒めた鍋に鶏がらスープを加えていく。
「塩胡椒をして…うん、出来たら。はい、味見してみて」
ベンに小皿を渡す。
「うっま」
「でしょ?あっ、エイブさんとアーサーさんも味見する?」
「「する」」
2人にも小皿を渡す。
「美味い!」
「うまー。コレがあのゴミ?」
「ゴミじゃないの、鶏がら。いい味出るでしょ?」
「今まで捨ててたの、勿体なかったな…」
「でも、今度からすぐ捨てなかったら良いんじゃない?節約にもなるよ」
「おう、お嬢の言う通りだな。他にも捨ててた物で活用できる物があったら、教えてくれ」
「うん、気づいたら言うね〜」
*****
準備が一通り終わり厨房から自室に戻り、着替える。
「サラ、アニーちゃん具合どう?」
「はい、お医者様に診てもらいまして、やっぱり風邪のようです。解熱剤を飲みましたので、たぶん明日には熱が下がると思います」
「そう、なら良かった。ありがとう」
ーーー応接間。
「遅くなってごめんなさい。私もギルも仕事が立て込んでいて……」
ようやく、叔母家族がやって来た。
「いや、大丈夫だ。ギルバート、久しぶりだな。相変わらず忙しそうだな」
「お久しぶりです、義兄さん。まぁ、年末ですからねぇ。今日は、ゆっくり語りましょう」
お父様と叔父様は久々の再会を喜んでいる。
「ジョアンちゃんよね?産まれた時に会いに来た以来だから、初めましてね?スタンリーの妹で、あなたの叔母のジュリエッタよ」
【ジュリエッタ・ロンゲスト】
ロンゲスト伯爵夫人。スタンリーの妹。
元魔術師団副師団長。現高等大学院、教授。
【水】属性。
「私は、ジュリエッタの夫で君の叔父にあたるギルバート・ロンゲスト伯爵だよ。よろしくね」
【ギルバート・ロンゲスト】
ロンゲスト伯爵家の当主。ジュリエッタの夫。
王宮で文官をしている。
【土】属性。
「で、この子達が…ほら、自分達で挨拶なさい」
「俺は、長男のアランドルフ。15才だよ。こんなに可愛いお姫様がいるなら、早く会いに来たら良かったよ。ジョアン、俺のことはアランって呼んでね」
【アランドルフ・ロンゲスト】
ロンゲスト伯爵家、長男。15才。王立学院、騎士科。
【水】属性。
「俺は、次男のヴィンス・ロンゲストだ。えーっと、9才。ヴィーって呼んで良いぞ。俺の方が年上だから、何かあったら助けてやっても良い…痛っ」
アランドルフに叩かれてる。
【ヴィンス・ロンゲスト】
ロンゲスト伯爵家、次男。9才。
【雷】属性。
「初めまして、ジョアン・ランペイルです。ランペイル家長女、5才です。皆様にお会いできて嬉しいです。アラン、ヴィー仲良くして下さいね」
きれいなカーテシーで挨拶をする。
「やっぱり女の子は可愛いわねぇ〜」
叔母様が頭を撫でてくれる。
「俺も弟じゃなく、ジョアンみたいな可愛い妹が良かったよ。なぁ、ノエル、ジーン交換しーーー」
「「しない!!」」
食い気味で答え、2人はジョアンを守るように両側から抱きしめる。
「じゃあ、交換じゃなく俺の妹になーーー」
今度はヴィーが言うが
「「なるか!!!」」
「「「あっははははーーーっ」」」
それを見ていたお祖父様、お父様、叔父様は笑い出した。
「まぁまぁ、まずはご飯にしませんか?」
お母様が提案し、全員ダイニングに向かう。
私がダイニングに向かおうとすると、ノエル兄様に抱き上げられた。その横には護衛をするようにジーン兄様が。私がその状況に呆れて、小さくため息をつく。それを見ていたアランとヴィーは苦笑い。
はぁ〜本当に過保護すぎるわ。
アランとヴィーが揶揄ってるのも気づかないで…。どれだけ必死なのよ。アランは良く言えばフェミニスト、悪く言えばチャラいって、感じねぇ。ヴィーは俺様気質がありそうだけど、でも私を気遣っていたから根は優しい子なのねぇ。
にしても、ノエル兄様、ジーン兄様、アラン、ヴィー……顔面偏差値が高いわねぇ。私兵団もカッコイイ人ばかりだし、 異世界ってイケメンしかいないのかしら?
はぁ〜眼福だわぁ〜。