6.妹想いの兄たち
今回も、スタンリー目線です
リビングに戻ると、マーガレット、ノエル、ジーンが待っていた。
「あなた、ジョアンは大丈夫かしら」
妻が心配をするのは当たり前だ。
「あぁ、大丈夫だ。よく寝ているよ。まだショックで混乱しているのだろう」
「あの子が【無】属性だなんて、きっと何かの間違いよ。もう一度、判定してもらえば違うのかもしれない」
「マーガレット、間違いではないよ。判定玉の判定は絶対だよ。どんな判定でもね」
私だって、何かの間違いであって欲しい。でも、決して覆すことの出来ない判定なのもわかっている……。
「父上、ちょっと宜しいでしょうか」
ノエルが、本を片手に話してきた。
「昨日、洗礼式の後、【無】属性について色々と文献を探してみたのです。とは言っても、まだハッキリと確定ではないんですけど……」
妹のために、色々確認してくれたのか。本当に妹想いのいい兄だな。
「うむ、話してごらん」
「はい。【無】属性は一般的に5属性のような秀でたものがないため、ハズレ属性だと認識されてきました。でも僕が、学院の図書館から借りていた本に属性について書かれてあったのですが、それには『【無】属性は、あらゆる属性の能力が平均の場合もある』と」
「何?どういうことだ」
「その文献には、『他の属性との相関関係を持たなかったり、あっても軽微であることがほとんどである』と」
「えっ!じゃあ、もしかしてジョーは全属性を持ってるかもしれないってこと?」
ジーンが興奮するのもわかる。
今まで【無】属性に対して、ハズレ属性だという認識だったから。
「その文献の著者は誰なんだ」
これは、本当かどうか確認せねばならないな。
「えーっと……ロンゲスト博士です」
「なんだって!」
「ジュリエッタ・ロンゲスト博士です。あの、ジュリエッタ叔母様です」
「あいつだったのか……」
ジュリエッタ・ロンゲスト。
妹は昔から、魔法馬鹿だった。
学院を卒業すると魔術師団に入り、妻と同じ副師団長を務めていた。そんな妹も結婚したら、落ち着くと思ったのだが…。旦那となったギルバートは、優秀な文官だったが、奴も相当な魔法馬鹿だった。
だから結婚後、妹が高等大学院に行きたいと言うと、喜んで後押しをした。そして、博士号を取った。
「よし、ジュリエッタに関しては私が詳細を聞いて来よう。グレイ、ジュリエッタに時間を取るよう連絡してくれ」
「かしこまりました」
グレイは、早速連絡を取るべくリビングを出て行った。
「そう言えば、父様。ジョーのスキルは何だったのですか?」
ジーンが聞いてくる。
しかし、私もマーガレットもバタバタしていて確認していなかった。
「もしかしたらさぁー、【無】属性でもスキルが優秀なら、やっていけんじゃないかなーって」
ジーンは、ジーンなりに妹のことを考えていたようだ。
「なんか面白いスキルだったら、笑えんだけどなー」
この余計な一言がなかったら、良いのに。
「じゃあ、スキルについては明日確認してみよう。そして、あの子が今後どうしていきたいかも、聞いてみよう」
私たちは、あの子のために導いてやらなければ…。
上手く書けてますでしょうか???
今後、作品を良くしていく為にも、コメント頂けたら嬉しいです(>人<;)