551.私の気持ち
明けましておめでとうございます。
書籍3巻発売まで、あと4日。
コミック3巻発売まで、あと9日。
お父様から頑なに反対する理由を聞けたことだけでも、今回ちゃんと話し合おうと決めて良かったと思えた。だから、私もちゃんと気持ちを話そう。
「お父様が反対する理由を聞けて良かったです。ありがとうございます。私も……今の正直な気持ちを話そうと思います。
……私は五歳の洗礼式で【無】属性と判定されました。その判定結果にショックを受け気を失いましたが、それと同時に前世の記憶も呼び起こすことになりました。身体が子供なのに思考や気持ちは大人で……しばらくジレンマに悩みました。私は、先の前世の記憶持ちの方のように、魔道具を開発することも何か政策をたてることもできません。
私の料理をおいしいと言ってくれますが、あれも私が前世で作っていた家庭料理に過ぎません。前世ではプロの料理人ではなく、一般的な主婦でしたし、作っている料理だって私が考えたものではありません。それなのに今ではプロの料理人相手に作り方を教えて、認定証まで与えて……。みんなから“食の女神”と呼ばれるのも正直烏滸がましいと思っています。……だから、私は自分の手で、力で、独り立ちしたいんです。前世の知識を使わずに。【無】属性だからとか、女性だからとかで、守られるだけの人間にはなりたくないんです。貴族として生まれたからには、お父様の意向に従わなければならないのも理解しています。私のわがままだと言うこともわかっています。
もし……もし、それでも認めてもらえないのであれば……ランペイル家より除籍して下さい」
「「っ……」」
お父様とお母様が息を呑んだのがわかった。でも私としては今の自分の気持ちを全て吐き出せたし、これで本当に除籍されて平民になったとしても悔いはない……はず。
「ジョアンは昔から守られているだけの人間にはなりたくないって言ってたわね」
「……除籍し平民になったとして、もし第二騎士団に入団出来なかった場合はどうするんだ」
「その場合は冒険者として生きます。入団出来なかったからといって、再び家に戻らせて欲しいなんて都合の良いことは言いません。……家には迷惑をかけることはしません」
お父様は、何か考えるようにジッと自分の組んだ手元を見ていたが、しばらくして顔を上げて私を見た。
「……ふぅ。そうか……うん、ジョアンの本気度はわかった。私は……ジョアンをランペイル家から除籍するつもりはないし、そこまでの意気込みがあるのなら私が条件をつけても大丈夫だね?」
「条件ですか?」
「あぁ。まぁ、平民で暮らすよりは良いと思うんだがね。それが出来るなら第二騎士団の入団を許可しよう」
「っ! ありがとうございます!!」
お父様の提示する条件はまだ聞いていないけれど、とりあえず第二騎士団の入団は許可されたという事実に私は喜んだ。お母様も優しく微笑んでくれてた。
「それでお父様……その条件とは?」
「第二騎士団に入団するにあたって、ジョアンとしてではなく一旦ショウとして入団してもらう。もちろん変装はずっとではないよ。
騎士団では入団して三ヶ月間は仮採用で研修を受ける。研修が終わると正式な団員になる為の試験がある。それまではショウとして研修を受けること、そして、無事に正式団員になったらジョアンとして明かしても構わない」
「ショウとして……。男装で研修を受けたら良いんですね? それで入団許可貰えるんですね?」
勢いよくローテーブルに手を付き向かい側に座るお父様に向かって身を乗り出すと、お父様とお母様は驚き同時に身体をのけぞらせた。
「あ、あぁ。だが、いつものショウとしてでは知っている者も多いだろう?」
「えっ、あ、確かに」
今まで色んな人に見せてきた私の男装ver.のショウ。そのままでは、第二騎士団の中でも知っている人が多い。なんて言ったって、身内が二人もいるからなぁ。
「そこで、ジョアンには別の戸籍を準備しよう」
「別の戸籍? それって違法では?」
「もちろん通常であればな。ちゃんと国のトップへの根回しはしている」
「え?」
国のトップって、陛下のことよね? ってことは、宰相様もこの件に関して知るわよね? 絶対、呆れてるじゃない! 今度、差し入れ持って行かないと……。
「だから、安心して大丈夫だ!」
「……」
「……ジョアン、色々と不安かも知れないけれど、まだ卒業までは時間があるのだから、それまでに準備していけば良いのよ」
「お母様……」
その後、進路希望調査表には希望通り『第二騎士団』と記入出来たが、なんとなく納得がいかないジョアンだった。
書籍『享年82歳の異世界転生!?〜ハズレ属性でも気にしない、スキルだけで無双します〜』第3巻。
発売は、2026年1月9日。
コミック『享年82歳の異世界転生!?〜ハズレ属性でも、スキルだけで無双します〜 』第3巻。
発売は、2026年1月14日。
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