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359.ショウ in 王立学院

久々の男装したジョアン登場です。

王城での話し合いの翌日、キャシーちゃんからの文が届いた。どうやら、件の男爵令嬢がキャシーちゃんの事を探っているらしい。


キャシーちゃんが、直接接触したわけではないらしいのだが、同級生で同人誌作家になりつつあるレベちゃんから、キャシーちゃんの事を聞き回っている女生徒がいるらしいから、気をつけた方が良いと助言を受けたそうだ。既にアルバート殿下にも報告が済んでいるらしい。


いやいや、キャンディ・ブラン改め飴ちゃん、意外とアグレッシブだな。もうちょっと、コソコソ出来ないものかな?

いや、堂々としてた方がこちらとしては動向確認できるから楽だけど。


午後から授業が免除だった私は、午前の授業が終わると急いで王都の屋敷に戻ってザックから借りた制服に着替える。

余談だけど、文官科の制服は一般科の制服をそのまま着ている。ちなみに、制服の色はダークブラウン。騎士科は、男女共に軍服に近い形の制服にロングブーツで、制服の色はカーキ、ロングブーツは黒。魔術科は、制服は一般科の制服だけど、その上から黒いローブを羽織っている。


「ジョアン様……裾上げしないとですね。」

マーサに言われ足元を見ると、裾が弛んでいる。

「うっ、ザックのほうが脚長い……。」

「そりゃあ、男性ですから。身長もザックの方が大きいでしょう?」

「そうだけど、何か悔しいし……苦しい。」

「あらあら、そのままシャツを着たんですか?それは、胸が苦しいでしょう。サラシを巻かなければいけませんわ。少々お待ち下さいね。」


子供の頃からの、大きくなったらボン、キュッ、ボンになるという私の願いは叶った。一応、前世でいうところのEカップはあるんじゃないだろうか。腹筋は相変わらず割れていてコルセットは必要ない。お尻は鍛練と授業のお陰で程よく筋肉が付いている。まあ、筋肉をつけすぎても重いだけなので今ぐらいが丁度良い。


マーサから胸にサラシを巻いてもらって、動いてみる。

「あっ、動き易い。授業や鍛練の時にも巻こうかな?」

「ジョアン様、それは胸の形が悪くなりますので、グッドマン夫人にお願いされては?」

「あっ、そうだね。今度、聞いてみる。」


シャツを着て、変声機チョーカーを付ける。チョーカーを隠すために首にスカーフを巻いて、最後に、金髪ウィッグを装着したら……あっという間に、ショウの王立学院ver.の出来上がり。


「どうだ、マーサ?俺の格好はおかしくないか?」

「あらまあ、声まで変わるのですね。これなら、ジョアン様だとわからないですわ。」

「っしゃー。」

トントントン。「ジョアン、ザックだけど、今良いか?」

「良いぞ。」

私の返事で、ザックが中に入ってくる手には何故か靴が。

「その靴は?」

「巷で流行っているらしい、背高靴だ。ジョアンのその身長だと、一般的な男より小さいからな。」


背高靴、ようするにシークレットシューズか。

どの世界でも、身長を気にする男性は多いってことかな?


渡された靴を履くと、いつもと目線の高さが違う。

「うぉー、これ、すげぇ。」

「7cmの底上げらしいから、170cmか……。まあ、文官科なら誤魔化せるだろう。」


確かに、騎士科なら170cmは小柄な部類に入る。クラスメイトでも、1番小さい生徒で175cm。1番大きいダガーにいたっては、190cm近いと言っていた。だから、見上げて話すと首が痛くなる。それに比べて、文官科はそんなに目立って大きい生徒はいない。でも、背高靴を履いた状態でも、ザックの方が目線が高い。


「あと何cm底上げしたら、ザックを見下ろせるんだろ?」

「は?まあ……あと7cmあれば、同じ高さだな。だけど、見下ろすとなると、もうそれは靴ではなくなるな。」

「うっ……確かに。」

パンパン「はいはい、2人共早く食べないと午後からの授業が始まってしまいますよ。」

マーサに促されて、使用人用の食堂へ向かう。本来であれば、私は家族用の食堂だけど、1人で食べたくないので無理を言ってザックと一緒にとることにした。


使用人食堂で食べていると、入ってくる使用人たちが驚く。すぐ気づく者もいれば、私を見て不審がる者もいる。それが、楽しくて仕方ない。

食べ終わる直前に、娘のアリスちゃんを連れたエイブさんが入ってきた。エイブさんは、私を見ると驚きニヤニヤ笑っている使用人達と私を交互に見ている。アリスちゃんはというと

「あー、ジョアン姉様。格好良い!王子様みたーい。」

「ありがとう、アリちゃん。」

「えっ、えっ?お嬢か?何でまた、そんな変装を?」

エイブさんは、私とわかると変装理由を聞いてきた。

「えーっと、ちょっとスパイをお願いされまして?」

「は?……まあ、なんだかよくわからねーが、それだとお嬢だとはわからねーな。」

「よし!なら、ザック行くか。」



*****



件の男爵令嬢は、14才。文官科の1-C。1年生は3クラスという事なので、学力はあまり良くないらしい。それから、彼のアニア国の王子は、来週からの編入だそうだ。


学院に戻ると、まだ午後の授業は始まっていないので、とりあえず食堂へ行ってみる。校舎も食堂も文官科は一般科と同じなので、ランチを食堂でとっていれば、あっさりミッションは終わるはず。もちろん、学院長と先生方には前もって許可を取っている。今回はジョアンの母方の従兄弟ショウ・バリストという設定で。


「さ〜て、いるかな?……あっ、フウちゃんとライちゃん発見!制服姿も可愛い。」

「ジョアン、口調が戻ってる。」

「あっ、ヤベッ。」

こちらに気づいた双子ちゃんが近づいてきた。ちなみに、双子ちゃんには文を飛ばしており、学院で会っても素性を明かさないように伝えてある。

「……似合ってますよ、姉様。」

ライちゃんは、小声で変装を褒めてくれる。

「……あの人、今日はまだ食堂には来てないみたいだよ。あっ、それからコレ渡しておくね。」

フウちゃんも小声で話し、小さな小瓶を渡してきた。

「コレは?」

「僕が調合した男性用の香水だよ。姉様の場合、香水付けなくても石鹸とかの香りでバレるといけないから。あと短時間だけど、気配遮断が出来るようにしておいた。」

「気配遮断……フウちゃん、凄いね。」

「えへへ、ジュリー叔母様の所でマヌエル先輩と一緒に調合したんだ。」

「えっ?マッさんと?そうか、じゃあ後でお礼言わないとね。」

「あっ、あとこっちも。前にあげたドーラの香水の効能を変えたもの。匂いは気に入ってくれたけど、効能を気にして付けてくれないから。」

「あっ、ごめん。ありがとう。これからは、ちゃんと付けるね。」





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