29.覚悟を決めよう
ーーディナータイム。
ダイニングにみんなが集まってくる。
今回は夕食作りを手伝った、ジョアンが1番乗りだった。
「サラ、みんな喜んでくれるかな?」
「もちろんですよ、お嬢様。私も、早く食べたいですもの」
「うふふ。私も早くサラたちにも食べてもらいたいわ」
ガチャ。お兄様2人がやって来た。
「おっ、今日はジョーが1番乗りだったんだね」
「どうした?そんなにニコニコして」
「今日の夕食は、私が一緒に作ったの」
「「えーーっ!!」」
「ジョーが作ったの?」
「なに?なに?今日のメニュー」
「うふふ。きてからのお楽しみです」
「「えーーっ」」
ガチャ。
「どうした?3人とも」
「なんの話をしていたの?」
お父様、お母様、グレイがやってきた。
「父様、今日の夕食、ジョーが作ったんだって」
「「「えっ!?」」」
「本当なの?ジョアン」
「はい、お母様。私と料理人のみなさんと一緒に作りました」
「じゃあ、楽しみだな」
夕食が運ばれてきた。
「今日のメニューは、トンカツとエビフライ、ジャガトサラダ、エビのスープです」
もちろんジャガトサラダの下にはレタシを。プチトメットもつけた。だから、今日のサラダは、緑一色ではない。
虫では、ないのだーー!!と、大きな声で言いたい。
「トンカツ?エビフライ?なんだ、これは?」
「豚肉とエビに衣をつけて揚げたものです。熱いうちに食べて下さい」
「おっ、そうだな。じゃあ、いただこう」
サクッ「うっ、美味い!衣?がサクッとして、豚肉がジューシーだ」
「えぇ、エビフライ?も美味しいわよ、スタン。このソースつけると、更に美味しいの。このソースは何かしら?」
「タルタルソースと言って、茹で卵とピクルスとマヨネーズを混ぜたものです。あっ、トンカツとエビフライに、横に添えてあるリモン(レモン)を絞って食べると、さっぱりしますよ」
「スープも美味しいよ、ジョー。エビの味が濃いね」
「ありがとうございます、ノエル兄様。エビの頭と殻から作ったんです」
「えっ?頭と殻って、ゴミじゃないの?」
「違いますよ。現に美味しいスープになってるでしょ?」
「ジョー、ジョー、このサラダ、最高だよ。美味しいし、彩り綺麗だね。いつも緑一色で、味も塩だけだったのに。それに俺、ジャガトはボソボソして嫌いだったのに、これは好き!なにで味付けしてんの?」
「ありがとうございます、ジーン兄様。ジャガトサラダもマヨネーズで味付けしてるんですよ」
パンはいつも通り硬かったけど、それ以外は大好評だった。
でも気になったのは、談笑しながら食事をしている子供3人をよそに、お父様とお母様が時折り小声で話をしていることだ。
何より1番に聞かれるかと思ったマヨネーズについて、何も聞かれない。間違いなく、私を怪しんでいる。
カクテルを出したら、なおさら変に思うはず。
スキルがチートすぎた段階で言えば良かった。覚悟を決めよう。
アフターディナーティータイムで、前世の記憶を持ってること話そう。気持ち悪がられてもしょうがない、だって現実なんだもの。
まぁ、なんとかなるでしょう。




