21.テスト②
「こちらがドライフルーツでございます」
ブレープ、ミランジ、プルーベリー、ナババを少量ずつ皿に盛り付ける。
「これが、ドライフルーツ……。乾燥させたフルーツ?失敗では?」
「乾燥させたフルーツなんて、食えるのかよ」
お父様もジーン兄様も、信用していないわね?
「はい、もちろん失敗ではありませんし、食べられます」
「ねぇ〜、ジョアン。フルーツを乾燥させる事に何の意味があるのかしら?」
よくぞ聞いてくれた、お母様。
「はい、生のフルーツを乾燥させる事で、味や栄養が凝縮されて長期間保存が出来るんです。フルーツの種類にもよりますが、シワや老化予防、ダイエット中でもー」
「何ですって?シワに老化予防?しかもダイエット?」
うわっ、食い気味できた。お母様がドライフルーツを凝視してる。
「は、はい。例えば、ブレープは美肌に、ミランジは疲労回復、プルーベリーは眼精疲労回復ナババは便秘解消に良いんです」
「「疲労回復……」」
お父様、疲れているのねぇ。それと、グレイまで。
「美肌!?」
お母様、今でも若いと思うんだけど……。
「これで、僕の眼精疲労回復。もしかしたら、眼鏡も外せるようになるかも」
ノエル兄様、本の虫だものねぇ。でも、眼鏡外せるぐらい視力は回復しないわよ。あくまでも、疲労回復だもの。
「便秘解消……」
ジーン兄様、口内炎と同じで野菜不足よ。
「では、食べてみて下さい」
モグモグ。「「「「っ!!!!」」」」
「これは、美味い。乾燥してるが、程よくしっとりしていて生で食べるより、味が濃い」
「美肌、美肌、美肌……」
お母様、怖い。
「これなら、本を読みながらでも食べられるね」
「うっまっ!!!ナババ、カリカリで美味い!!」
これは、合格貰えそうかしら?
「ふーっ。ジョアン、とても美味しかったよ。クッキーは色々な味を楽しめたし、ドライフルーツはおやつとしても、おつまみとしても良いかも知れないね」
「ジョアン、頑張って作ってくれて本当にありがとう。ドライフルーツは、どれも美味しかったわ」
「美味しかったよ、ジョー。愛する妹の手作りって言うだけでも価値があるのに、こんなに美味しいなんて、僕幸せだよ」
ノエル兄様、それは彼女さんに言う言葉では?
「ホント美味かったよ。明日、学院行く前にクッキーもお願いな。あと、ナババのドライフルーツも欲しいんだけど……無理だよな」
ジーン兄様、野菜食べなさいよ。
本当に野菜嫌いも、ルタそっくりだわ。
「ジーン、無理に決まってるだろ?もう、日も暮れてくるのに乾燥させれるわけないだろ?」
あっ、スキル使ったの言ってないわ。
「えっとー、ドライフルーツ作ったのは、天日干しじゃなくて、その……スキルを使いました」
「「「「はぁーーーー!?」」」」
「どういうことだい、ジョアン?」
「どうやって?どうやって、できたの?」
ノエル兄様、圧が強い。
「あっ、じゃあ実際にやってみます。少々、お待ち下さい」
パントリーから、ブレープを一房持ってきた。
「【ドライ】……出来ました」
「規格外のスキル……」
お父様、ゲンドウポーズになってるわ。
「す、凄いよ、ジョアン。僕の妹は最高だーーー!!」
ノエル兄様、立ち上がって叫ばなくても…。
「じゃあ、ジョー、ナババのドライフルーツもお願い出来る?」
「はい、明日までに準備しますね」
クッキーもドライフルーツも大好評だったアフタヌーンティータイムが終わり、今後、正式に料理をしても良いと許可を貰った。
その後、追加で家族分と噂を聞いた使用人たちのためにドライフルーツを量産した。
まさか、私の作ったドライフルーツで、あんなことになるなんて、この時誰も気づいていなかった……。