199.ハンバーガーに虜
久々に王子2人登場です。
第一王子 アルバート殿下……腹黒
第二王子 フレッド殿下………ガキ大将
ともかく特例措置は、なんなく許可された。そして、私の追加のお願いで所属はランペイル領のテイマーギルドとなった。
疲れ切って糖分を欲している大人3人と共に王族専用のテラスへ行く。
テラスへ行くと、王妃様、アルバート殿下、フレッド殿下、侍女トリオからセーラさんとピアさん、近衛隊から偶然にもアラン兄様とメルヴィンさんがいた。
「いらっしゃい、ジョアンちゃん。」
「王妃様、ご機嫌麗しくーー」
「お前、ちゃんと挨拶できたんだな?」
挨拶の途中で、フレッド殿下が口を挟む。
ちょっと、その挨拶の途中でしょうが!!
でも、私は大人。そんな事では怒らない、怒らない……。
「ええ、ちゃんと出来ますわよ。もうすぐ入学ですし。……失礼致しました。アルバート殿下、フレッド殿下もお久しぶーーー」
「マジか!?お前、10才なった……痛っ。兄上、何をするんです!」
「何をするんですじゃない!ジョアンが挨拶しようとしているのを何度止めたら気が済むんだ!……ジョアン、悪いな。」
「いえ、私は大丈夫です。」
「ちぇっ……んで、ジョアンは今日どうしたんだ?」
「あの……えーっと……。」
話して良いのかわからず、お父様や陛下の方に視線を移す。
「ジョアン嬢は、テイマーギルドの特例措置の為に来たんだ。」
陛下が代わりに答えてくれた。
「「特例措置?」」
やはり珍しい事らしく、殿下2人も知らなかった。
陛下が簡単に今回の件を説明してくれ、2人は納得した。
でも、私はそんな2人よりもアラン兄様が気になってしょうがない。
そんな呆れ顔しなくても良いじゃない?
でも、この後ロッソのこと話したらどんなリアクション取るかな?
「スキルに【テイム】なくても契約できるって、ジョアン嬢はすげーな。」
「確か、ペガサス2頭とそこのフェンリルだったよな?」
殿下2人が言うが、答え難い……。
「いや……えーっと……そのぉ〜……。」
「どうしたジョアン?」
「………増えました。」
「「「えっ?」」」
王妃様、殿下方から聞き返される。
「……ですから、増えたのです。」
「「「何が?」」」
「契約獣が………。」
「「「はーー?」」」「はあ〜。」
「「「ん?」」」
王妃たちが驚いたと同時に、殿下方の背後からため息が聞こえる。それに王妃たちは、不思議そうに辺りを見回すがため息をついた犯人のアランドルフは素知らぬ顔だった。
ちょっと、アラン兄様……こっち見ながら、口パクで『バカ』はないでしょー!!
「ジョアン、どうした?」
「えっ?いえ、なんでもありませんわ。ホホホホ……。」
「で?何が増えたんだ?」
「あー……ロッソ、ご挨拶を。」
ロッソは先程と同じように、私の髪の毛の中から顔を出すと
『あ、あの、は、初めまして……あ、主の契約獣になりました、ロッソです。』
「「「カ、カーバンクル!?」」」ガチャガチャッ……。
「おい!先程から何なんだ!」
「申し訳ありません!」
動揺したアランドルフが帯剣している剣に手をぶつけて音を出してしまい、フレッドに咎められ謝罪している。
「あー。……フレッド、しょうがないのよ。誰だってカーバンクルを契約獣にしたら動揺するでしょう?まして、ロンゲスト伯爵子息ならねぇ〜。」
「確かにな。」
「何ですか?母上も父上も……。この者をご存知なのですか?」
「逆にお前が知らないのが、驚きだ。」
「兄上まで……。誰なのですか?」
「ジョアンの従兄弟だよ。なあ、ロンゲスト伯爵子息?」
「はっ。」
「で?ジョアン。どういう経緯でカーバンクルを?」
クリムゾンウッズでの出来事を話した。
「お、おい、ちょっと待ってくれ。スタン!お前、ギガトレントのことは聞いてないぞ!!」
陛下が声を上げる。
「「あ……。」」
私もお父様も忘れていた。
「すまん、カーバンクルのことでギガトレントのことは忘れていた。」
「ごめんなさい、アレックスおじ様。」
「はあ〜。で?そのギガトレントはどこにいるんだ?害はないのか?」
「ああ、問題ない。ウチの中庭にいるからな。それに……会話も出来るし……。」
「「「「は?」」」」
「ギガトレントが会話でき……あ〜、ジョアンだもんな。」
アルバート殿下が言うことに、さすがに反論出来ずにいると
「あっははは、相変わらずジョアンは規格外だな。……なあ?えーっとロンゲスト伯爵子息?ジョアンは昔からこんななのか?」
「はっ。昔からでございます。」
「ちょっ、アラン兄様!?」
「やっぱり昔からなんだな、大変だな従兄弟なのも……クッククク。」
「そ、そんなこと言うフレッド殿下には、ハンバーガーあげません!あーあ、この前よりも美味しく出来て今回はチーズ入りなのになぁ〜。」
「なっ……くれ!ハンバーガーをくれ!!笑って悪かった。な?謝るから、ハンバーガーを!前に料理長に作ってもらったけど、やっぱりジョアンのには敵わなかったんだ。頼む!俺にハンバーガーを!!」
ハンバーガーのために謝る弟と、不敬すぎるジョアンをアルバートは呆れながら
「はあ〜、ハンバーガーに釣られるフレッドもフレッドだが、王族に対してそんなことを言うジョアンも貴族令嬢としてどうなんだ?」
「じゃあ、アルバート殿下はハンバーガーいらないんですね?」
「よし!じゃあじゃあ、兄上の分も俺が食う!」
「……。」
バチッ。
「「痛っ。」」
ジョアンとフレッドのおでこにビリッときた。
アルバートを見ると、ニヤニヤ笑っている。
あー、アルバート殿下は【雷】属性なのね。
……にしても、まだピリピリしてるわ。
「もお、アルバートも大人気ないわよ。大丈夫?ジョアンちゃん?……あら、赤くなっているわ。……はい、これで良いわ。」
王妃様にヒールをかけてもらい、おでこのひりつきと赤みがなくなる。
「ありがとうございます。王妃様。お礼は後ほど。」
「ふふふっ。ありがとう、期待しているわ。」




