19.ドライフルーツ
パントリーで、フルーツを探す。
「で、そのドライフルーツとやらは、何のフルーツでも良いんすか?」
「はい、大丈夫だと思います。でも、今日は初めてだから……(果物の名前が日本とは違うかもねぇ【サーチ】あっ、やっぱり)えーっと、このブレープとミランジ、プルーベリー、ナババ、アプリコッズを。(ぶどう、オレンジ、ブルーベリー、バナナ、あんずなんだろうけど、何か惜しいわ……)」
「よし、じゃあ俺が運ぶっすよ」
「ありがとうございます、師匠」
また、小走りで追いかける。
トコ、トコ、トコ。脚の長さが違うから、なかなか追いつかないわ。
「戻ったっす」
「おう、お帰り。で、出来そうなフルーツはあったか?」
「はい、今回はこの5種類を」
と、フルーツを見せる。
「んで、ドライフルーツってのはどうやるんだ?」
「えっと、ブレープは軸から外して、ミランジは皮のまま輪切りに、プルーベリーはそのまま、ナババは皮を剥いて輪切りにします。アプリコッズは一度、シロップ漬けにして一晩置くので今日は下拵えです」
「よし、じゃあ、みんなでやるぞ。早くしねぇとアフタヌーンティーに間に合わねぇ」
そう言い、みんなで下拵えをした。
「でも、お嬢さん。こっから乾燥させるんなら、どっちみちアフタヌーンティーには間に合わねーんじゃね?」
「普通はそうですね。でも、ちょっと試したいことがあって」
「試したいことってなんすか?」
「えっと、ちょっと、このブレープでやってみます」
ブレープの入った皿を、手に取ると……
「【ドライ】」
「「「「「っ!!!!!」」」」」
「このぐらいかな?出来ましたー」
「なっ、なっ、何だそれーーーーっ!?」
「えっ、あっ、私のスキルの【ドライ】です。スキルの説明に、乾燥させるってあったから出来るかなぁ〜って」
「「「「スキルーーーー!?」」」」
「お嬢、スキル使って料理するやつなんて、いねーぞ」
片手を額に置き、呆れた様にエイブが言う。
「えっ?そうなんですか?でも、便利ですよ?」
「いや、まぁ、そーっすけど……」
あれ?ベンさんまで呆れてる?
「でも、ともかく食べてみますね。んっ?んーっ!!」
「ほら、やっぱり不味かーー」
「うっまっ!!あっ、失礼しました。と、とても美味しくできました。みなさん、試食して下さい」
皆んな恐る恐る、手に取り食べる。
「な、何だこれー。味が凝縮してる!お嬢、美味いぞ」
「うっまーい!生で食べるより、美味いっすよ」
「乾燥させただけなのに、何で?」
「あっ、美味しいー」
「お嬢様、コレ止まらなくなりそうです」
みんなにも、大好評ねぇ。良かった。
にしても、スキルって便利だわぁ〜。
その後、ミランジとナババも同じように乾燥させる。
ブレープとミランジ、プルーベリーは少し水分を残して。ナババは、しっかり乾燥させてカリカリに。
アプリコッズは、シロップごと一晩置いてもらい、明日乾燥させることにした。
ついでに、ラム酒を見つけたから、ドライブレープを漬けてみた。なんちゃってラムレーズンが出来るはず。
あとは、お父様たちが食べて、どう思うかだわねぇ。
気に入ってくれると良いんだけどねぇ。