18.実食
クッキー生地を冷蔵庫で冷やし終わり、輪切りに切っていく。
塩チーズクッキーの縁には、粗めの塩をまぶした。
「じゃあ、焼くっすよ〜」
ベンがオーブンに入れてくれる。
「師匠、お願いします」
上手く焼けてくれますように、柏手を打ちたいぐらいだわ。
ーーー20分後。
厨房に充満する、甘い匂い。
「出来たーーーー!!!」
「うん、上手に焼けてるっすよ。後は、味っすね」
「はい。ではエイブさん、師匠、試食お願いします」
サクッ。
「うまっ!!美味いっすよ。お嬢さん。初めて塩チーズクッキー食べましたけど、塩とチーズの良い塩味が最高っす!!」
「こっちの紅茶クッキーも良い。紅茶なんて飲むぐらいで、茶葉を食べるなんて発想はなかった……」
ゴクリ。
「あっ、アーサーさんもアニーちゃん……あっ、ごめんなさい、アニーさんも」
「いえ、いえ、好きな様にお呼び下さい」
「はい、じゃあ、アニーちゃんも。サラも、食べてみて下さい」
サクッ。
「美味い!!」
「す、すごい美味しい」
「ん〜、美味しいです。お嬢様〜」
みんなに合格点貰ったわ。
これなら、お父様たちにも喜んで貰えるかしらねぇ?
あっ、あともう一つ作りたい物があったのよねぇ〜。
「あのぉ、エイブさん、師匠。もう一つ、作りたい物があるんですけど……」
「何作るんだ?お嬢」
「お母様の為に、ドライフルーツを作りたいんです」
「「ドライフルーツ??」」
「はい、フルーツを乾燥させたものです」
「それって、美味いんすか?」
「はい、乾燥させる事で味とか栄養とか凝縮して、長期保存ができるんです」
「お嬢は、どっからその情報を?」
「えっ、あっ、ほ、本です」
「お嬢さん、勉強熱心っすねー」
「んじゃあ、まぁ、物は試しにやってみるか?おい、ベン、お嬢とパントリー行ってフルーツ見繕って来い」
「わかりやしたー。じゃあ、行きましょ。お嬢さん。レッツゴー!」
「おぉーー!」
小走りでベンについて行く。
トコ、トコ、トコ……。
ジョアンたちが、去った厨房では
「お嬢って、もっとワガママって言うか、何と言うか…。…なんか、変わったな」
「えぇ、なんか変わりましたよね。今まで厨房にも来たことなかったし、あんなに素直で、言葉遣いも丁寧じゃなかったような……」
「私なんて、話しかけられたの初めてですよぉ。しかも、私のこと『アニーちゃん』って、微笑んでくれて……可愛かったぁ。キュンってしちゃいましたよー」
「うん、うん。最近のお嬢様は、可愛いんですぅ。キュンキュンするんですぅ」
「うん、まぁ、確かにな。頭を撫でたくなったな」
「はい、あの笑顔は可愛かったですね。つい、こうぎゅーってハグしたくなる様な」
「アーサー、それは怒られるぞ」
今までとは、何かが変わったジョアンのことを話す3人の料理人と、自分のことのように胸を張るメイドが楽しく話していた。
「ハッ、ハッ、ハックショーン!!」
「あははは。お嬢さん、豪快なくしゃみっすねー。大丈夫っすか?」
「大丈夫です。なんだろ?ホコリかな?」
ようやくクッキー出来ました。
私的にはチョコチップクッキーが好き♪(´ε` )