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13.side 孫

前世で、主人公が亡くなった後の孫のお話。

ーーー4月某日。


大好きな祖母がなくなって、もう3ヶ月……。

あんなに、元気だったのに。

あんなに、笑顔で新曲MVを見てたのに。


風邪を拗らせて、1週間ベッドにいた82才の祖母。

一緒にネット配信の新曲MVの推しメンを、きゃあきゃあ言いながら見てた。

私がお風呂の番になり、祖母の部屋を出る時……

「しっかり温まってくるんだよ〜。早風呂は風邪ひくよ〜」

「それは、おばあちゃんでしょー」

「うふふっ。ピンポン、ピンポン、ピンポーン。正解でーす。さて、《ライカ》がお風呂行ってる間に、もう1回カズに逢ってくるわ」

と、また新曲MVを見始めたので、私はお風呂に行った。


ーー30分後。

「おばあちゃーん、お見舞いのアイス食べるー?」

ベッドの中の祖母は、笑顔で寝ていた。

「寝ちゃった?夢の中で、カズに逢ってるのかな?おやすみ、おばあちゃん。いい夢を」


ーーー翌朝、祖母は起きて来なかった。


「おばあちゃんの大好きな、桜が満開だよ。私ね、今日から大学生だよ。志望の所に合格出来たよ。行ってきまーす」



*****



俺は、ばあちゃんが大好きだった。

友達から、ばあちゃん子と言われても、全然恥ずかしくなかった。

一緒に買い物行くことも、一緒にお笑いライブや格闘技を観戦しに行くことも、一緒にゲームで魔物を狩りに行くことも、全部楽しかったし、大好きだった。


そんな、ばあちゃんが亡くなった。

俺が泊まりがけで志望する、サッカー強豪校の受験を受けに行ってる時に……。


「おばあちゃん、志望した学校、合格したぜ。全寮制で、来週から、入寮だから家出るよ。俺、頑張ってレギュラー取るから!」


ばあちゃんの口癖は

『やらないで後悔するより、やって後悔した方が良い』と『なるように、なるでしょう』だった。


だから、俺も三者面談で難しいと言われた志望校受験を、頭を下げて受験させて貰った。そして合格できた。本当に、良かった。


母さんは、全寮制のことを1番心配してた。

俺が、小学校、中学校と何度も起こさないと起きないから、全寮制で1人で起きられるわけがないと。

でも、ばあちゃんが母さんに

「《ルタ》が行きたい学校なんだもの。合格して全寮制になっても、自分で頑張るわよ。大丈夫、なるようになるわよぉ」

そう言ってくれたおかげで、母さんも許してくれた。

ばあちゃんには、感謝しかない。


「それから、ばあちゃん。あの一緒にやってたゲームのランキングイベントで、俺、トップ20に入ったぜ。でな、今度そのゲームが海外で映画になるらしいんだ。で、上位入賞者に、視聴会のペアチケットくれたんだぜ。魔物がフルCGで超リアルなんだよ。ばあちゃんと一緒に見に行きたかったよ」


「ルター、買い物行くわよー。下りてきなさーい」

母さんが呼んでる。

「はーい。今行くーー!入学祝いに、スパイク新調してもらうんだ。またな、ばあちゃん」



*****



『ピロピロピロピーン、充電が完了しました』


「ただいまー、タロウちゃん。今日ね、《ニコ》ね、小学校でね、おばあちゃんの絵、描いたのよ。ほら、見て。上手でしょ?」


『ピロピロピーン』


「えへへへっ。先生にも、褒められたのよ。おばあちゃんもニコニコで、周りのお花もキレイね。って。この花はね、おばあちゃんの好きなガーベラなのよ」


『ピロピロピーン』


「おばあちゃん、喜んでくれるかな?」


『ピロピロピロピーン。掃除をスタートします』


「タロウちゃん、いってらっしゃーい」


『ピロピロピロピーン』






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