12.規格外のスキル
トン、トン、トン。「兄上ー?父上が、呼んで来……って、何やってんだよー!ジョーが、ジョーが目を回してるって、兄上、止まれってばー!!」
「ごめん、ジョー」
ノエル兄様、シュンとしても、モノには限度があるのよ……。
「………」
「大丈夫か、ジョー?」
ジーン兄様が、四つん這いになっている私の背中をさすってくれる。
「だいじょばない……」
気持ちが悪いわ。
「ほ、ほら、ともかく、父上たちの所に行こう!待っているよ」
ノエル兄様を、ジーン兄様と2人で目を細めてジーっと見る。
「うっ。本当にごめんよ、ジョー。つい、興奮しちゃって……」
「ノエル兄様、抱っこして下さい。抱っこしてくれたら、許します」
抱っこをしてもらい、リビングへ移動する。
*****
「あら?どうしたの?」
お母様が聞いてくる。
「えっ、あっ、いや、たまには抱っこしてあげたいなぁ〜って。ねっ、ジョー」
あっ、誤魔化した。
まっ、抱っこしてもらったし、そう言うことにしておきますかねぇ。
でも、ジーン兄様のジト目が……。
「ふふふっ。そうですね。また、明日から兄様たち、学院に戻ってしまいますもの」
「そう。仲良しね〜」
「で、ノエル。ジョアンのスキルは、どうだった?」
「あっ、はい、父上。ジョーのスキルは、本当に凄いんです!!!ジョー、さっきみたいにやってみせて」
下に下ろして貰う。
「はい。【ステータス オープン】で、スキルを【サーチ】」
「「「はいーーっ!?」」」
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ジョアン・ランペイル
《状態》
健康
《属性》
無
《技術》
サーチS…検索。鑑定。
見ているあらゆるモノを検索、鑑定可能
ストレージS…収納。
許容量∞、収納内、一定時間停止。
リペア… 修理。
修理する物の構造を理解していれば
可能。
ただし、素材が必要。
ファーストエイド… 応急処置。
止血、痛み止めなら可能。
アクア…水源。一度に10万リットルまで可能。
ドライ…乾燥。あらゆるモノを乾燥できる。
アシスト…補助。
思考内のあらゆるモノ、事柄について
検索や補助を行う。
スキル発動は無詠唱可能。
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「「「えっ!!!」」「マジで!?」
「スキルをサーチ。そんなこと、出来るのか。凄いなサーチS……。なんて規格外なんだ」
お父様、遠い目をしないで。
「魔術師団の同僚だって、ここまでのスキル持ちはいないわよ」
あっ、お母様までが遠くを見つめ始めた。
「すっげーな。属性が【無】でも、このスキルあったらやっていけんじゃん。リペアとか、超羨ましいぜ。俺、すぐ壊しちゃうからよ〜。今度から、ジョーに頼もうっと」
ジーン兄様、何でも修理できないのよ?
材料が、必要だからねぇ。
ほら、そんな事、言ってるから、お母様の目からビーム出そうな感じで、コッチ見てるって。ホント、2番目の孫と同じだわ。
それにしても、私のスキルってそんなに規格外なのねぇ〜。これも異世界チートなのかしらねぇ。
【無】属性でも、この規格外スキルでどうにかならないものかしらねぇ〜。
「う、うん。ジョアンの規格外のスキルについては、わかったよ。で、ジョアンは、これからどうしたい?」
「えっ?どうしたいとは?やっぱり……」
追い出されちゃうのかしらしら?
また、涙が出てきちゃったわ。5才の身体は、感情に素直ねぇ〜。1番下の孫もよく泣いていたし……。
あの子、私が死んで、今頃泣いてないかしら?
「ジョアン。こっちへおいで」
お母様が抱き寄せて、頭を撫でてくれる。
「あなたを何処にもやらないわ。
でもね、あなたは【無】属性の判定をされたでしょ?この国では、一般的に【無】属性の貴族は、虐げられてるのも事実なの。だからね、あなたが今後どうしたいか聞きたいの。もちろん成長していく中で、変わったとしても構わないから。今の、気持ちを聞かせてくれる?」
じゃあ、ちゃんと気持ち伝えないといけないわねぇ。
聞いた後、反対されたら、またその時に考えよう。
ともかく、自分のやりたいことを正直に話さないと。