11.魔術馬鹿のノエル
ノエル兄様の部屋は、シンプルだった。
天井まである背の高い2つの本棚に、目一杯の本が。
本のほとんどが、魔術に関しての物だった。
本当に魔術が好きなのねぇ。
きっとサーチしたら、魔術馬鹿って出るんじゃないかしら?
「ジョー。なんか失礼な事、考えてない?」
「っ!!い、いえ、何も」
ノエル兄様、侮れない。
「じゃあ、さっきの続きね。サーチの事は、わかったよね?」
「はい。見たモノを検索できるってことですね?」
「そう、正解。じゃあ、次は、ストレージだね。ストレージってのは、収納魔法だよ」
「収納魔法?」
圧縮袋みたいに、収納しやすくなったりするのかねぇ。
「収納魔法ってのはね、魔法で作り出した空間に物を収納する魔法だよ」
「魔法で作り出した空間?」
「やってみたら、わかるよ」
「はい。【ストレージ】えっ!?」
目の前に、ぽっかり穴が開いた。
「そこに、収納できるんだよ」
「うわぁーすごい。便利ー!」
「でも、Sが付いていたよね?僕も、どんな性能か知らないんだよ」
「あっ、コレかな?」
私はストレージの横にある、表示を見つけ、指さした。
「ストレージの内容は、本人しかわからないんだよ。なんて書いてあるの?」
「えーっと、許容量が、∞(無限)……」
「はぁーっ!?無限?」
「ストレージ内は、一定時間停止。ってあります」
「一定時間停止とかって……マジか……。通常のストレージって、時間停止とか出来ないんだよ」
「時間が止まるってことは、できたてご飯を入れておけば、いつでもできたてが食べられるって事ですよね!」
「う、うん。まぁーそうだけど、何か勿体ない使い方だね」
電子レンジいらずって事でしょう?
最高じゃないの。
「まぁーいいや、他に何があるんだっけ?」
「えーっと、リペア、ファーストエイド、アクア、ドライ、アシストです」
「僕も知らないのがあるや」
「ちなみに、ノエル兄様のスキルは?」
「僕のは【ステータス オープン】」
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[ノエル・ランペイル]
《状態》
健康
《属性》
火
《技術スキル》
サーチ
リード
セルフヒール
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「リードとセルフヒールってなんですか?」
そう言えば、お父様もセルフヒール持っていたわよねぇ。
「リードは、人より早く本や書類とかを読めるんだ。セルフヒールは、自然治癒が人より優れてるんだよ」
「へぇ〜そうなんですね。あっ、そうだ。この知らないスキルをサーチしたら、どんなスキルかわかったりします?」
「あーどうなんだろ?通常のサーチは見た立体モノしか検索できないけど、サーチSだと出来るかも知れないね?試しにやってみたら?」
「はい。じゃあ、まず【ステータス オープン】で、スキルを【サーチ】と」
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[ジョアン・ランペイル]
《状態》
健康
《属性》
無
《技術》
サーチS…検索。鑑定。
見ているあらゆるモノを検索、鑑定可能
ストレージS…収納。
許容量∞、収納内一定時間停止。
リペア… 修理。
修理する物の構造を理解していれば
可能。
ただし、素材が必要。
ファーストエイド… 応急処置。
止血、痛み止めなら可能。
アクア…水源。一度に10万リットルまで可能。
ドライ…乾燥。あらゆるモノを乾燥できる。
アシスト…補助。
思考内のあらゆるモノ、事柄について
検索や補助を行う。
スキル発動は無詠唱可能。
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「あっ、できちゃいました」
ガタッ。「っ!!な、何?何なのこのスキル…。規格外すぎるよーーーー!!!凄い、凄いよー、ジョー!!!」
ノエル兄様は、立ち上がって私のスキルに驚き、感動し、私を抱き上げるとクルクル回りだした。
クルクル、クルクル……。
「あぁ〜〜〜。ノ、ノエルに、兄様、や、やめ、止めて…あぁ〜〜〜、め、目が、目がまわ、回るぅ〜〜〜。あぁ〜〜〜〜」