10.ジーンの受難
「………ジョアン。スキルは一般的に3個。多くても5個なのだよ」
「はいっ!?で、でも私、7個ですよ?」
「あぁ、私も初めてみるよ」
なんだってねぇ〜。
あーアレかい?異世界チートってやつかい?転生ってのは、大したもんだねぇ〜。
「しかもね、ジョー。サーチとストレージにSが付いているだろう?」
ノエル兄様が聞いてくれる。
「はい、付いてます」
「そのSが付いてると、通常より性能とかが優れているんだよ」
「ん?性能?」
「うん。例えばね、コレをサーチしてくれるかな?」
そう言うと、紅茶の入ったティーカップを指さす。
「えっと、【サーチ】。わぁー、凄い!」
[ティーカップ]
飲み物を入れる物。
コペン作のワイルドベリーの絵柄が描かれている。
材質:陶器。
800℃の温度に耐えられるようになっている。
食用:不可。
補足:以前は10個組で揃っていたが、ジーンが割った為、
現在は8個。
[紅茶]
グレイオリジナルブレンドティー。
摘み取った茶の葉と芽を乾燥させ、もみ込んで完全発酵させ、乾燥させた茶葉。
産地:ランペイル領産。最高級茶葉。
食用:可。
補足:グレイが淹れることで、多少の回復が見込まれる。
「何がわかったの?」
お母様が聞いてくる。
「はい。ティーカップは、陶器で出来ていて、絵柄のワイルドベリーはコペン作です。それと、元々は10個組でしたが、ジーン兄様が割った為、現在は8個です」
「げっ!!な、なんで割ったこと知ってんだよー!!」
「えっ、補足に出てました」
「「「っ!!!!」」」
「マジか……」
「で、紅茶は、ランペイル領産の最高級茶葉を使った、グレイオリジナルブレンドで、グレイが淹れることで多少の回復が見込まれる。……です」
「「「「はぁぁーーーーっ!?」」」」
「グ、グレイ、どうなんだ?」
「はい。確かに私のオリジナルブレンドです。産地等も当たっております。ただ、多少の回復というのは……私にも分かりかねます」
「そうか……」
「凄いですね。これがサーチなのですね?ノエル兄様」
「う、うん。ちょっと、違うけど。まあ、いいか。で、サーチSはその他に人間を含む生き物もサーチ出来るんだよ」
「へぇー生き物ですかぁ」
「じゃあ、試しにジーンをサーチしてよ」
「えっ!?な、何で俺なんだよー。兄上が見て貰えば良いだろー!!」
ジーン兄様の言ってることは、スルーして
「【サーチ】」
[ジーン・ランペイル]
辺境伯ランペイル家、次男。11才。【風】属性。
状態:いたって健康だが、野菜不足のため口内炎ができている。
補足:わんぱく、ツンデレ。
隠し事あり。
「ふふふっ」
「ん?何が分かった?」
ノエル兄様、興味深々ですね。
「はい。いたって健康ですけど、野菜不足のために口内炎があるそうです。あと……隠し事もあり。と」
「な、なんで、そんな事までわかるんだよー!!」
「……グレイ、ジーンに野菜ジュースを作ってくれ」
お父様、とてもいい笑顔ですね。
「かしこまりました。少々お待ちください」
と、去って行くグレイ。
みんなに背を向けた瞬間、顔が笑ってたわ。
「じゃあ、野菜ジュースが来るまで、カップを割っていた事と隠し事について聞きましょうか?」
お母様も、とてもいい笑顔。
「……」
あっ、ジーン兄様、灰になったわ……。
昔見たアニメみたいだねぇ。
燃え尽きちまった、真っ白にな……。
「じゃ、じゃあ、ジョーは僕の部屋でスキルについて教えてあげるよ」
ノエル兄様、逃げるのね。
「は、はい。では、お父様、お母様、失礼します」
ごめんなさい、ジーン兄様。
ファイトー!!
ノエル兄様と一緒にリビングを出て、扉が閉まった瞬間、見合わせて笑った。
ティーカップのサーチ内容を変更しました。
100→800℃
に変更しました。
ご指摘ありがとうございました。