通りすぎた茶色い物体
時はさらに過ぎた。
昭和も終わりに近づいて、私はというと家業ではなく、証券会社につとめはじめていた。
父の知人の市会議員選挙出馬にともない、ウグイス嬢を経験。
その翌年は大学のある市の市長選挙の電話作戦を経験。
電話をかけることにはかなり慣れていた。
私:ただいま~
バブルの真っただ中の証券会社につとめはじめた私。
ヘトヘトだったが。。。
母:はやくしめてっ!
と、ぴしゃりとドアをしめた。
私:どうしたの?
??? たぬきのはく製に布がかけてある。
なんだろう?
母:よく寝てるわ~
となりにいる父の方をみる
父:(座って足元にいる茶色いなにかをなでている)
私:た、たぬきっ!
(父の方をみて気が付いた)
父:なんか茶色いものが前を通ったんで、
追っかけて、籠をばさっとな。
そしたらたぬきだった。
追っかけて=追いかけて 東京、いや多摩方言?
籠=時代劇にでてきそうな、竹で編んだ背負うようになってる籠。
山菜取りとかに最適なものでございます。
たぬきの死体が2体でて、とうとう生きて動いてるのがでちゃいました。
これがホントの話なんだってばぁ。事実ってのはおそろしい。。。
母:なんか落ち着いててね、寝ちゃったのよ
私:そっか~
いっしょにたぬきをなでてみる。
父といっしょに記念写真をとる。
やけに人に慣れたたぬきである。
しばらくして母が言いだした。
母:このたぬき、どうしよう?
良くなれてるから人にかわれてると思うし。
私:きっと探してるだろうね。
父:(たぬきについてる首輪をみる)
たぬきの首には黄緑色の首輪がついていた。
父:なんか電話番号が書いてあるぞ
かけてみろ。
私:どれどれ?
(番号をみてみる)
私:ん~ たしかに電話番号だね。
でも最後の一桁が下半分消えてる
父:かたっぱしからかけてみろ
私:そだね。
そだね=そうだね 東京方言、いや多摩方言?
市外局番は隣の川崎市多摩区あたり
最後の一桁は上が消えてて、縦棒が半分だけ残ってる。
候補は、1 4 7 9
私:ねぇ、なんていってかけたらいいかな?
母:そうねぇ、
たぬきの件でお電話をいったらなんとか申すだろうよ。
私:そうする~
たぬきとのふれあい。楽しかったですな。
父から母へと主役は変わり、いよいよ私の出番ですぞっと
章タイトルでましたなぁ。実話ってのが、あはは~