伊豆のすげえ女
最初のたぬきから数年がたち、母の姉夫婦が老後を伊豆ですごすことに。
たいてい自家用車でいきました。夏場の伊豆方面ってのは大渋滞になりがちで。
これはまぁ、そんな中のエピソード。
ふいに父が車を停めた。
そして、
父:それいけっ
母が外へ飛び出した。
??? なんかおぼえのある流れだ。
ホイルキャップふたたび?
今日は父と母と私の3人。
3ナンバーのクラウン。セダン。
高速降りて一般道を走行中、のはずだった。
反対車線は大渋滞で、まったく動かない。
みあげるとまっとなりに観光バスがとまっている。
動く気配がまったくない。
片側1車線。峠の山道?
右は山左はがけ。車線のはしっこに植え込みがある。
丸いのがちょこんちょこん。
こっちの車線はうちの車しかいない。
なんでとまったんだろう?
見上げると観光バスの乗客が立ち上がってなにかをみている。
なんだろう?
外をみた。
母が両手に真っ白いタオルを、いや、タオルでなにかをかぶせて?
ヨタヨタっと歩いてくる。
右、左、右、左。大きく左右にゆれながら。
タオルと同じぐらいの長さの茶色い何かを両手でにぎって。
どうやら観光バスからはそれがなにかはみえているらしい。
なんだろう?
ご丁寧に観光バスの真ん前を母は通る。
そしてトランクにいれた。
私:どうしたの?
母:たぬきよ。お父さんがねみつけて。
父:みえたからな。
みえたって。。。。
たぬきは植え込みと植え込みの間で亡くなっていたらしい。
道路を渡ろうとしてひかれたんだろう。
母:まだいくらかあたたかかったわ。
父:そうかぁ
私:それはいいけど、なんでわざわざ観光バスのまんまえ通るの?
みんなみていたよ。はずかしい。。。
母:反対側の植え込みの横は崖、こわいもの。
そして叔母の家についた。
上機嫌の父。
父:くる途中にたぬきをひろってな。
私:観光バスが渋滞で隣にとまってて、みんなみてた。
父:そりゃそうだろうなぁ。
みんなこういっていただろうなぁ。
伊豆ですげえ女をみたってな。
素手でたぬきを運んだ、ってな。
実際は素手でなくて、タオルでたぬきをおおって、
素手で持ちたくなかったそうで。
この伊豆のたぬきに関するお話は続くのですが、後ほど。