プロローグ
「ここは……どこだろう。」
何もない、辺りを見回してもただ真っ暗な空間が広がっているだけだった。
俺は今地面に立っているのか、それとも浮かんでいるのか……感覚がわからない。いったいどうなっているんだ?
声を出しているのかも分からないから不思議な感覚だな。
「えっと、誰か居ませんかー……とか言ってみたり?」
「……」
やはり何の反応もない。本気でここはどこなんだ……もしかして死んだとか……。
ってか、俺はさっきまで何をしていたか……思い出せない。
確か高校の入学式に行こうとして、桜を見てて……。わからない。やっぱり思い出せない。
とりあえず動いているか分からないけど、何かあるか探して見るしかないか。
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考えるのをやめて数時間? 数日? 感覚なんて分からないから適当だがまさしく無。
この空間はとにかく暗闇ばかりで正直恐怖と不安しかなく気が狂いそうだ。
この空間から出られるのか、それとも一生このままなのか。
「何だ?」
小さく。本当に小さく光っているような気がして意識を向けてみる。
するとその光が徐々に大きくなっていき、視認できるようになってきた。
「とび……ら?」
よく見ると扉のような物が薄く輝いているのが見える。
こんな暗闇じゃなかったら光っているのかもわからないような、しかしどこか存在感がありその扉が2倍にも3倍にも大きく感じてしまう。
「なんだ、これは。」
辺りにはこの扉だけ。この扉の先がどうなっているのかはわからないけれど。
「行くしか、ないよな。」
扉を開けるのは怖いがこのまま暗闇をさまよい続けるのはもっと怖い。
俺は意を決して扉に手をかけ開け放った。