ドラゴンさんの子育て日記83
新聖暦898年 宵月の一日
ルグネを拾った月が今年もやってくる。早いものでルグネを拾ってからもうすでに十年も経過している。その事実を思うと不思議な気持ちになった。
新聖暦898年 宵月の二日
子達の望む景色巡りの旅に出かけた。びゅっと飛んで向かうのである。
はしゃいでいる我が子たちが愛い。
新聖暦898年 宵月の四日
まずはルアノが望んでいた鳥が沢山いる場所を見にいった。小さな鳥や大きな鳥が生息している森の中は自然豊かでとても良かった。
我らが近づくと森の魔物達は去ろうとするからあんまり近くには寄れなかったがそれでも良いものだった。
新聖暦898年 宵月の六日
湖にいった。湖には魔物が居て、ルグネを食らおうとしてきたので退治した。
まったく、我が子を食おうとするとはなんたる奴か。ちなみに人食い魔物で近隣の村は苦労していたそうで、感謝された。
我、良い事した。
新聖暦898年 宵月の九日
山の上の方にあるクリスタル群を見に行った。魔力が固まってできたそれはとても綺麗で、少しだけもらった。
ラオが我に装飾を作るのだとにこにこしていた。
新聖暦898年 宵月の十二日
山の上から下を見下ろす。とても良い景色である。
新聖暦898年 宵月の十七日
海が見えるところまでやってきた。港町から海を渡って他の大陸に向かう事が出来るのだ。
我が友人もこういう海というものを渡ったのだなと思うと不思議な気持ちになる。我は他の大陸に行ったことがない。けど、最近ちょっと大陸を渡って友人のその後を知りたい気持ちも芽生えてる。
我が子達は他の大陸にも興味があるようだった。これから我が子達がどんな人生を歩んでいくのか我は楽しみだ。
新聖暦898年 宵月の十九日
色々回っているのだが、もう雪が降ってる地域にきた。季節が色々違って楽しい。家族やミカガネたちとこうして思い出を作れることが本当に楽しい。
新聖暦898年 宵月の二十三日
ラオとミカガネが立ててくれた予定のままにぶらぶら色んな所にいっている。我ではこんな風に計画的に旅行をすることは出来なかっただろうから、本当にラオとミカガネは凄いと思う。
今日の街での食事は結構からかった。この地域では辛い物が好まれるとかあるらしい。口が熱くなった。
新聖暦898年 宵月の二十七日
出かけた先で花に関する祭りをやっていた。我が子達と楽しんだ。楽しかった。
新聖暦898年 宵月の三十日
結構遠くまで来たのでそろそろ街に戻ることにした。
新聖暦898年 深月の一日
ラオとミカガネと交互に竜型になってびゅっと飛んでいる。
風が気持ちよい。
冷える季節になってきたのでルグネとルアノが風邪をひかないようにしないと。
新聖暦898年 深月の四日
まだ街には着かない。途中で気になったところの寄り道もしている。街の長の息子の結婚式は気になるから間に合えばいいが。
新聖暦898年 深月の七日
家族でわちゃわちゃしながらの移動は楽しくて仕方がない。我はこの旅の中で結構パシャパシャとした。子達は絵として思い出を記録したりもしていた。本当に愛い。
新聖暦898年 深月の十二日
街に戻った。街が結構賑わしい。あときんきらきんも来ていた。
どうやら月末に街の長の息子の結婚式が行われるらしい。間に合ったようでよかった。
旅行のお土産をあげよう。
新聖暦898年 深月の十五日
街の長の息子の事は子たちもよく知っているので結婚祝いを贈るらしい。我が子達はなんて良い子だろうか。本当に愛いと思ってならない。
新聖暦898年 深月の十八日
街はお祝いで一色だ。街の長の息子の番も見たが、悪い人間ではなさそうだったきんきらきんが言うには我らがいるからこそ性格も厳選して選んだとか。
まぁ、確かに街の長の息子をこまらせるような番は嫌である。
新聖暦898年 深月の二十日
ライラに手紙を書いた。旅行がどれだけ楽しかったとかも含めて沢山書いた。ライラとも旅行に行きたいなーと思ってきんきらきんに聞いてみた。護衛が居る馬車旅なら大丈夫と言われた。
でもライラは貴族になったから長期間は無理らしい。でも近場でも旅行に行けるのは嬉しい。来年の楽しみが増えた。
新聖暦898年 深月の二十五日
今日は街の長の息子の結婚式だった。前から知っているものがこうして盛大な結婚式をやると思うと不思議な気分である。
着飾っている街の長の息子の番は結構綺麗だった。ライラの方が綺麗だがな!
我と挨拶をするときは緊張していた様子だった。街の長の息子が我と普通に話しているのを見てキラキラした目を街の長の息子に向けていた。
それにしてもお祝い事というのはとても良いものだ。我は楽しい。
そういえば街になってから結婚をする場所としての教会も大きなものが作られたのだが、所々に竜の装飾とかがされているのである。
新聖暦898年 深月の二十八日
今日は巣でゆっくりしていた。のんびりするのも楽しい。
我が竜体で寝そべっていると、我に寄り添って眠ったりする子たちが本当に愛い。




