ドラゴンさんの子育て日記82
新聖暦898年 摩月の一日
ミカガネはまだ巣を開けている。ちょっと寂しいが、子達が学園都市にはいる事になったら、ミカガネも他の場所に行くのだなと思うとミカガネが居ない事にも慣れないといけないのかもしれない。
子たちの巣立ちの時が近づいてきていることを考えると、そちらも寂しくなるが、巣立ちはとても前向きな別れなのだ。なので、我はしっかりしないとならないと思った。
新聖暦898年 摩月の三日
村から街へと移り変わり少しずつ大きくなっている街の本は幾つか出版されている。我もその本を度々読んでいる。
楽しい。この大好きな場所が大きくなっていって、こうして本になるなんて嬉しい。いずれ我の知っている者達が死んでしまったとしてもこの本を読めば楽しかった日々を思い起こせるかと思うと嬉しいなと思う。
新聖暦898年 摩月の五日
まだミカガネは戻ってきていない。子達も少し寂しそうだ。寂しさを紛らわせるためにぎゅっと子達のことを抱きしめる。
我も寂しいし、子達も寂しいのだから、ぎゅってして、互いの寂しさを紛らわせるのである。子たちとぎゅってするのが我は大好きだ。
新聖暦898年 摩月の八日
竜の道場の連中がまた山で特訓をやっている。その様子を子たちもつれて見に行った。母君の友人たちは本当に楽しそうにしている。
ラオも混ざっていたが、我は見学していた。子達も真似していたりして愛いものだ。
新聖暦898年 摩月の十一日
ミカガネが帰ってきた。お帰りと抱き着いたら呆れた顔をしながらミカガネもぎゅって返してくれた。
我、ミカガネが好きである。
新聖暦898年 摩月の十三日
子達にどこか行きたい場所があるかを聞いた。行きたい場所があるのならば子達が学園に入る前に家族で向かいたいと思ったからだ。子達はしばらく悩んで、答えが出せないようだった。
ルアノまで同じように頭を悩ませているのは愛いなぁと思った。
新聖暦898年 摩月の十五日
今日は昼寝をしたら夕方までぐっすり眠ってしまった。一緒に昼寝をしていた子たちはいつの間にか起きていて「母さん、寝すぎ」とあきれたように言われてしまった。
新聖暦898年 摩月の十八日
まだ子たちは何処に行きたいのか明確に分からないらしい。
よく悩めばよいと我は思う。うむ、悩んだ末に行きたいと思うのならば是非ともそこに向かいたいものである。子達が喜ぶ顔を想像するだけでも我は嬉しくてたまらなくなる。
新聖暦898年 摩月の二十二日
きんきらきんから手紙が届く。あの「竜は悪しき~」とかいうことを言っていた連中のいた国の連中がやっぱり我らに会いたいとか言っているらしい。
街に遊びに来るという名目で我らに会いに来るかもとか、面倒だ。山に引きこもるか出かけるかしようかなと思った。
新聖暦898年 摩月の二十三日
子たちやルアノが行ってみたい場所を決めたらしい。行きたいのは景色の図鑑に載っていた場所のようだ。子達は結構綺麗な絵の描かれた図鑑のようなものが好きなのだ。それを見てその場所に行ってみたいのだという。
あとルアノは色んな鳥が生息している場所を見てみたいようだ。本を開いてそこをくちばしで指していた。ルアノは賢い子である。
新聖暦898年 摩月の二十五日
子達やルアノが行きたい場所をぶらぶら回るお出かけに出かけることにした。考えるだけでわくわくしてくる。
街の長にそのことを告げに行ったら、二、三カ月以内に息子が結婚するからその時には戻ってきてほしいと言われた。貴族を嫁にもらうって言ってたやつ。もうもらうらしい。人は番をこんな風に決められたりして大変だと思う。
新聖暦898年 摩月の二十六日
今はお出かけに出かける準備をしている。ライラにお土産も買いたいし、街の者達にもいろいろお土産を用意しようと思っている。楽しみである。
子達も色んな景色を見に行けるかと思うとわくわくしているようで、我は楽しみで仕方がない。何より子達が楽しそうにしているだけで母としてみれば嬉しくて仕方がないのだ。
色んな景色を家族で見に行って、楽しめるのはとても幸せなことなのだ。
ミカガネは子たちと一緒にはしゃぐ我を見て「子供たちに混ざらないの」と言っていたけど。でも楽しみで仕方がないのは当然なのだ。
新聖暦898年 摩月の二十七日
準備をしながらどこをどんなふうに回るかミカガネとラオが話し合っている。我だと地図とか上手く見れないのでそにあたりはラオたち任せである。
思えばルグネを拾う前もぶらぶらいきたいままに移動していたから道とか覚えていなかった。友人と共にいるときは友人任せだったし。
新聖暦898年 摩月の二十九日
今月も終わるのがはやい。来月は子達の望んだ景色巡りである。ものすごく楽しみ。




