ドラゴンさんの子育て日記77
新聖暦898年 新月の一日
年が明け、ルグネも十歳になった。王都で過ごす初めての年明けだ。
毎年、村……今は街だが、同じ場所で過ごしていたから王都で過ごすのは何だか新鮮な気分になった。新年から早速大きなパーティーがお城で行われるということで、我らも参加した。ライラが堂々としていて我は誇らしくなった。
我のライラは凄い!!とパーティーに参加しているものたちに言いふらしたくなったが、それはやめた方がいいとラオに言われたのでラオにだけ言ってた。
我が子たちのこともパーティーに参加していた面々はチラチラ見ていたが、必要以上には寄ってこなかった。
パーティーが終わってライラの家に戻ると我は、ライラと一緒のベッドで寝た。
新聖暦898年 新月の四日
我が子たちがすくすくと大きくなっているのは本当に感慨深い。我が子達が楽しそうに遊んでいるのをライラと共に眺める。
きんきらきんは年を明けてすぐだというのに忙しそうだ。忙しいからと番を放っておくとは……と我は思ったが、ライラは気にしてないらしい。
新聖暦898年 新月の七日
愛い。我が子達は愛い。イラフとドーランのお姉さんやお兄さんって顔しているのが良い。ルアノもその隣を飛んでいる。なんと愛いことか。
新聖暦898年 新月の十日
今日はラオと出かけた。ライラが劇のチケットをくれたのだ。ミカガネやライラが子たちを見てくれるということで楽しんだ。良きものよ。我は楽しくて仕方がない。
新聖暦898年 新月の十五日
王都を後にすることにした。ライラたちにお別れを言って飛翔した。
ライラに会えるとやっぱり楽しい。
新聖暦898年 新月の十三日
帰りがけに少し寄り道をする。家族たちとこうして過ごせる日々が楽しい。
新聖暦898年 新月の十六日
街へ戻った。街の長が言うには、我らが年納めにいないことに新しく街に住まった人たちはがっかりしていたそうだ。うーむ、そんなにがっかりする人がいるとは思わなかった。
我らは結構街にも降りてきているのに。まぁ、来年は此処で過ごすことにしよう。
新聖暦898年 新月の十九日
今日はごろごろしていた。ごろごろするの気持ちが良い。ラビノアとシノウールにはしゃきっとしてなどと言われた……。
新聖暦898年 新月の二十五日
剣や魔法の練習をする我が子達を見る。なんて愛らしいのか。……もう十歳。再来年の十二歳になったら今の所、学園に通う予定になってる。月日が経つのは本当にはやい。
新聖暦898年 文月の一日
もう文月である。今月は劇場が出来た記念と言うことで、街はにぎわっている。良いことだ。そのため我もちょくちょく劇場の方に顔を出している。また劇場が出来た十五日に我に劇に出てほしいらしい。我は楽しみ。
新聖暦898年 文月の八日
他国の貴族とかいうのも此処に来ているらしい。劇好きらしい。あの「竜は悪しき~」の連中の居た隣国ではないようだ。離れているのに劇のために来るのは良き人だと思った。
新聖暦898年 文月の十日
他国の貴族は街を愉しんでいるようだ。街の人たちが言ってた。たまに我らにじーっと視線を向けているが、話しかけてはこない。
新聖暦898年 文月の十五日
今日は我が出る劇の日だ。人は沢山である。びっくりである。記念と言う事で何回か公演したいと言われたので我も数回出る。我は相変わらず我らしく話すだけである。
……本当に我に合わせているのが凄いと思う。我は感激する。
それから劇が終わった後に例の他国の貴族の少女に話しかけられた。劇がよっぽど好きらしくてキラキラした目を浮かべていた。貴族なのにいつかこの街に住みたいなどと言っていた。本気かは分からない。
新聖暦898年 文月の十八日
竜の道場の連中が剣舞を街中で披露していた。前よりなんかかっこよくなってる気がする。
新聖暦898年 文月の二十日
ラオとミカガネと家族会議をする。もちろん話題は、子達のことだ。子達が学園に巣立ちをした後のことも最近話してる。ミカガネは巣立ちを見届けたら去るって言ってた。ちょっと寂しいが仕方がない。
また会えるし、まだ時間があるのだからミカガネとも思い出を作るのだ。
新聖暦898年 文月の二十二日
ルアノが楽しそうに声を上げていた。愛い。歌でも歌うかのように鳴き声を上げてる時があって、愛いなぁって皆で見てしまう。
新聖暦898年 文月の二十五日
学園都市に出かけようと計画を立てる。もう少し先だが、やはり我が子達が行くかもしれない場所はちゃんと把握しておきたい。ちゃんと2号の兄にも連絡しておくことにする。
とはいえ、休みが挟むらしいので二カ月か三カ月後にしか向かうことはしないが。
新聖暦898年 文月の二十八日
ライラから手紙が届いた。すぐに返信を書いた。この前会ったばかりだが、すぐに会いたくなった。我、ライラのことが大好きなのだ。




