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ドラゴンさんの子育て日記76

 新聖暦897年 深月の一日


 風は冷たいが、天気はよく、お出かけ日和だ。

 ルグネとルアノが風邪をひかぬように気をつけねば。我ら竜は大丈夫だが、ルグネとルアノはか弱いのだから。


 新聖暦897年 深月の四日


 青い空の下を飛ぶことは楽しい。何だか気持ちが良くて、思わず鼻歌を歌ってしまう。だって楽しい。家族も一緒にこうしてお出かけ出来て、我、幸せ。


 新聖暦897年 深月の七日


 目的地にたどり着いた。此処は悲恋の物語の舞台になった場所だ。それにしてもあんなに悲しい物語が現実であったことをもとにしているなどと、我は考えただけで胸が痛くなる。

 だって、好いてる相手と一緒にいれないなどと悲しいではないか。というか、好きなら好きで共にいればいいのだろうとしか思えない。しかし、人とは複雑なのだ。我ら竜だと簡単に片付きそうな問題が、簡単には片付かない。何と面倒なと思うと同時に、人と良く関わっている今はそんな複雑な人の事が嫌いではない。

 思えば我の友人は人としては少しずれていたのだなと思う。だって、あまり周りに合わせるとかもせずに、あやつは自由に生きていた。あ奴が人間ではなく、長命種であったならば、我が子のことを今自慢出来たのだが……とちょっと寂しくなった。


 新聖暦897年 深月の十日


 入りにくい場所もラオが色々対応してくれたおかげで入れたりして、良かった。我はぶらぶらして楽しい。子たちも楽しそうでよかった。ミカガネも興味深そうだし、ラオも我らを見て笑みを溢していて幸せだと思った。


 新聖暦897年 深月の十五日


 今度は冒険譚の元ネタになっただろう場所巡りである。崖の上だろうが、危険な場所だろうが、我らには関係ない。魔物は我らの気配に去って行くし、快適である。途中で死にかけている者を見かけて助けておいた。目の前で死なれるのは目覚めが悪い。

 何か言っておいたが放っておいて、我は先に進んだ。


 新聖暦897年 深月の十八日


 小高い山の上で家族でお昼寝だ。なんと気持ち良いのか。この山の上には、とても綺麗な花畑が広がっていて楽しい。色とりどりに咲き誇っている花々を見ると何だか穏やかな気持ちになった。

 子達も楽しそうにはしゃいでいるし、愛い。

 いつまでも愛い子たちでいてほしいものだ。


 新聖暦897年 深月の二十二日


 冒険譚の元ネタの場所は、多くあるのでまだ巡ってる。楽しい。ちなみにシノウールは雌なのでそこまで冒険譚には興味がないようだ。我は冒険譚も楽しかったのだがな。

 それにしてもこうして皆で楽しく過ごすのは良きこと。


 新聖暦897年 深月の二十五日


 思いっきり楽しんだので、一度棲み家に戻ることにした。楽しかった!!



 新聖暦897年 氷月の一日


 今年ももう最後の月である。我らはお出かけから戻った。

 街は我らが離れている間にも少しずつ様変わりしている。こうして短期間で様変わりさせるのは凄いことだと思う。


 新聖暦897年 氷月の五日


 街に下りたら、竜の道場の連中が益々増えていた。……母君の友人たちはそれはもう楽しそうに師匠をしているし。あと街でも我らを模したものがいろいろ売られていて、結構売れてるらしい。


 新聖暦897年 氷月の八日


 お出かけから帰ってきたばかりだが、王都に行く準備をしている。王都でのライラと一緒の年納め、楽しみ。


 新聖暦897年 氷月の十三日


 王都へと向かう。びゅっと飛んでいくので、はやくつくはずだ。ライラと会えると我はわくわくしておる。

 ラビノアとシノウールに「はしゃぎすぎて変な飛び方とかしないで」などと言われてしまった。流石に子たちを乗せているのにそんな飛び方はしないというのに……。


 新聖暦897年 氷月の十六日


 空の旅は続いてる。子たちが上ではしゃいでいて愛いものよ。本当に愛い。ライラに我が子達は愛いって沢山言おう。ライラにお話しするの我は好きなのだ。


 新聖暦897年 氷月の十八日


 王都に到着である。王都に入って、相変わらずのにぎやかさにおぉと思う。

 とりあえずライラの所へ向かうことにした。行くことは伝えてあったので、行ったら歓迎してくれた。

 ライラを久しぶりに見て思わずぎゅってした。きんきらきんがそれを見ていたので、「うらやましいのか? きんきらきんもライラをぎゅってするか?」と聞けば、「いや、それはいつもしてる」などと返された。

 きんきらきんとライラが仲良しな事は良いことだ。


 新聖暦897年 氷月の十九日


 イラフとドーランも愛いものよ。お兄ちゃんお姉ちゃん面してる我が子たちが愛い。パシャパシャとってたら「落ち着かないから自重して」と怒られた。


 新聖暦897年 氷月の二十三日


 2号の兄と妹がやってきた。きんきらきんの館のものたちは慌ててた。急に来たらしい。2号の兄には学園の話を直接してもらうことにした。学園と言う場所がどういうところか知らねばならない。

 2号の兄は沢山話してくれた。2号の妹も楽しそうにシノウールと話している。楽しそうでよいことよ。イラフとドーランのことも2号の兄と妹は可愛がっていたし、うむ、良い事。


 新聖暦897年 氷月の二十五日


 子達をきんきらきんの館に預けて、王都でラオと遊んだ。年納めだからかいつもとちょっと雰囲気が違う王都は楽しかった。何よりラオと過ごす日々は楽しい。


 新聖暦897年 氷月の二十七日


 ライラがパーティーにいくのに一緒に行った。ラオの見立てのドレスをきた。子達やラオも美しい衣服を身に着けていて良かった。

 ライラの傍にずっといた。我に話しかけてくる人々へはあまり返事はしなかった。2号が何かいってくれてるのかそこまで押しかけてこなかったし。それにしてもイラフとドーランは貴族と言う生まれだからか、小さいのにすっかりそういう世界に馴染んでいるようだ。凄い。


 新聖暦897年 氷月の三十日


 パーティーに参加したりしていたらすっかり年納めになった。王都での年納めは初めてだったが、何とも街とは少し違って楽しいものだった。何よりライラが傍にいる年納めって良い。

 屋敷の中で皆で年納めのパーティーをした。楽しかった。ライラが元気そうで、イラフとドーランも楽しそう。我が子達も笑ってる。

 なんて楽しくて、なんて満たされる日々だろうか。我はこういう日々が続く事を望んでいる。

 明日からまた新しい年が始まる。

 どんな年になるだろうかと、我は楽しみで仕方がない。



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