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ドラゴンさんの子育て日記71

7/12 二話目

 新聖暦897年 流月の一日


 春の兆しが出てきている。冬も好きだが、春も好きだ。綺麗な花が咲いている。我の巣は山の上にあるから、自然がよく感じられるのだ。

 自然と戯れている我が子は本当に愛いものであるぞ。


 新聖暦897年 流月の三日


 そういえば、魔法学園の入学式は流月らしいので、2号の兄がもう入学になったのだろうか。

 学園の様子を知らせてもらうように頼んでいるからそのうち手紙もくるだろうか。我が子達が通うかもしれない学園なのだ。ちゃんと勉強しなければ。


 新聖暦897年 流月の六日


 ルグネがルアノを手に抱いて飛んでいた。ルグネも空を飛ぶのが得意になってきた気がする。風の魔法をこうして使いこなすルグネを見ると友人の顔がちらつく。

 懐かしいものだ。

 ルグネもいつか、友人のように有名になるのだろうか。なりそうな気がする。友人は悪魔みたいに呼ばれたりもしていたが……ルグネは友人程好き勝手しないだろうから多分大丈夫だろう。もしそうなったとしても母はルグネの味方である。


 新聖暦897年 流月の十一日


 今日はこの村が街になるということで、式典が行われた。我も村の長、いや、もう街の長か。それに呼ばれて参加した。何だか楽しそうな催しだった。

 我らの像を中心部に添えて開拓していく街の予定らしい。……我らの像、別に真ん中にしなくてもいいのだが。でも我らの事を好いてくれているからこその言葉だろうし、嬉しい。


 新聖暦897年 流月の十三日


 ちょくちょく人が増えている。鍛冶師らしいドワーフもやってきた。そのドワーフ、我の前に来て怯えもせずに「鱗が欲しいです!!」と言ってきた。……竜の素材を使って鍛冶をしたいらしい。あまり扱う事の出来ない素材を使ってみたいのだとか。

 しかもわざわざ我の巣まで登ってきて、竜体の我に向かって頭を下げるのだ。その心意気は嫌いじゃない。

 ラオが交渉をして売りつけてた。

 

 新聖暦897年 流月の十四日


 今日は我がリクエストした劇が公演される。喜んで見に行った。それはらぶすとーりーというやつである。

 女の子のシノウールは一緒に見てくれるらしい。ただ我に「面倒なことはしないでね。母さん」とか言ってる。ちょっと冷たいけど、手を繋いでくれるシノウール、本当に愛い。

 本当に愛い! と言っていたら「……一緒に行かないよ、そんなに言うと」と言われてしまった。愛い物は愛いのに。


 新聖暦897年 流月の十七日


 竜の道場へ入るものが多いらしい。外から来たものとかも。そして皆そろって母君の友人を師匠と呼び、我らに神とか言ってくる。うーむ、変な連中が倍増していく。我にとって困ることはしないので害はないのだが、それでも何とも言えない気分である。


 新聖暦897年 流月の十九日


 街になったということで建物なども街らしくなってきている。こうやって変わっていく様を見るのは何だか楽しいぞ。

 出来ていく様はパシャパシャして記録してあるらしい。一つ一つ記録していくとは、人間も大変だと思う。


 新聖暦897年 流月の二十二日


 様変わりする村をライラにも見てほしいものだ。ライラはきっと生まれた故郷がこうして変わっていくのを見たら驚く事だろう。竜の祝祭にも来てほしいが、今年は来るのだろうか。


 新聖暦897年 流月の二十三日


 人が増えてきたのもあって、危険にも関わらず我らの巣までやってこようとする無謀な人も増えているらしい。途中で魔物が出ることもあるので、安全とはいいがたいのだが。

 街の長が無謀にこちらに来るのをやめさせる対策を取るといっていた。人の長と言うものは大変だ。街でこれだときんきらきん2号って我が思っているよりも働き者なのだろうか。今度いたわってやろうかなどと考えた。


 新聖暦897年 流月の二十六日


 子たちがお花を摘んで我にくれた。山の中を歩き回って魔物を狩ったり、いろんな花を摘んできたりしたらしい。

 愛い! なんて愛いのか。我は感激した。




 新聖暦897年 流月の二十七日


 我の子が愛いのだぞというのをライラへの手紙に書いた。だって愛いのだ。この気持ちをライラにも伝えたかった。

 もちろんラオにも沢山伝えたぞ。我が子が愛いと。

 幾ら言っても足らない。幾らでも我は我が子のことを語れる気がする。もちろん、ラオのことも。


 新聖暦897年 流月の二十八日


 ミカガネに2号の兄から手紙が来ないと言っていたら、「そんなすぐに来るわけないでしょう。学園の様子を教えてくれるにしてもひと月かふた月後だわ」とあきれたように言われた。

 そうなのか。我ははやく知りたいと思っていたが、そういうものなのかと思った。


 新聖暦897年 流月の三十日


 また我が劇に出たのだ。今回も自由にしゃべって動いた。役者凄い。我が自由にしているのにうまくまとめていた。やっぱりこういうのは楽しいぞ。

 


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