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ドラゴンさんの子育て日記⑥

 新聖歴889年 蛇月の一日


 目が覚めたラオウールにルグネは拾った人の子であること、我はこの人の子が可愛くて仕方がないこと、我はルグネに弟妹を作ってやりたいこと、それで丁度良い奴がおったと呼んだ事を説明した。

 ラオウールは、珍しく固まっておった。「て、弟妹を作ってほしいというのは」といつもの元気さは何処に行ったのだという感じである。

 我が弟妹が欲しいから我と番えといったら、あやつはその言葉を理解すると「俺の野望がかなった!!」となぜか泣いておった。

 なんじゃ、我とつがいたくないのか。と思うとちょっとさびしく思えた。だってこやつ会う度に我に求婚してきて我を好き好きいってきておったから、それがなくなったかと思うと少しだけだが、何とも言えない気分になったのだ。

 それも杞憂だったが。何故ないているのかとライラが問いかければ、「俺の幼い頃からの夢がかなった」と喜んでおったらしい。うーむ、求婚を初めてされたのは成体になってからであるが、その前からもこやつは我が好きだとオーラを出しておった。というか、態度でわかる。

 うむ、こやつ我と番えることが嬉しくて泣いておるらしい。我と同じく三二八年も時を生きているというのにこんなになくとは。というか、我こやつがこんな泣くの初めて見るのだが。情けないと思うと同時に、うれし泣きしているのはちょっと愛い奴めと思ったのである。

 ちなみにライラはラオウールの話を聞いて「なんて不憫な…っ」と嘆いて居った。不憫かの?



 新聖歴889年 蛇月の三日


 番同士は愛称で名を呼びあうのが、我らドラゴンの習わしである。そんなわけで先日番ったためラオと呼んだらあ奴はまた泣いておった。うむ、番うとる間も、こやつ嬉しそうじゃった。ちょくちょく泣いて居った。どんだけ嬉しいのだろうか。でも我をそれだけ好きなのは良い事である。悪い気はせん。



 新聖歴889年 蛇月の五日


 ラオが一生懸命ルグネに「パパ」と呼ばせようとしておる。人に興味がないといっておったし、ラオは我と違って人の友人もおらんかったのだが、ルグネの可愛さにやられているらしい。うむ、気持ちはわかる。

 ルグネも少しずつ言葉が増えてきた。まぁままぁまと愛らしく呼ばれると我は顔がにやけて仕方がないのである。子が出来た友人もこんな気持ちであったのだろうか。



 新聖歴889年 蛇月の十日


 パパと何度も呼ばせようとしてルグネに迫ったラオ。それに対しルグネが大泣きした。しつこすぎたらしい。ラオ、ライラに滅茶苦茶怒られておった。

 うむ、あのラオが人の娘に怒られるとは何とも不思議な光景よ。ちょっと面白い。



 新聖歴889年 蛇月の十三日


 ルグネとまだ見ぬ我が子が遊ぶ光景を夢に見てしまった。

 ルグネと子竜……素晴らしい組み合わせである。弟妹を作れば、ルグネも楽しかろう。それに夢を見たら単純にその光景を我は見たくなった。


 新聖歴889年 蛇月の十四日


 昔ドラゴンの雌たちに教わった交尾の技を使ったら、ラオが戸惑っていて面白かった。

 しかし皆がいっていたように確かに交尾は捗った。先人の知恵は偉大である。



 新聖歴889年 蛇月の十七日


 ルグネに「ぱぁぱ」と呼ばれて、ラオ、嬉しそうに咆哮を上げた。

 ルグネ泣く、ライラにまた怒られておった。

 その間、我がルグネをあやした。我に抱かれてきゃっきゃっと笑うルグネを見て心が温かくなった。



 新聖歴889年 蛇月の二十日


 なんか、ライラとラオが我の事で話を盛り上げておった。我の前で我の話をされるとなんだか何とも言えない気持ちになるのである。

 あとラオ、交尾の最中の事を幾らライラにとはいえペラペラしゃべるのではない。


 新聖歴889年 蛇月の二十三日


 人の里に顔を出した。ラオも連れて行った。人たちは驚いておった。何を驚いておるかはわからなかった。あと、何故ラオがむやみやたらと周りに威嚇しはじめているかも意味不明である。

 ドラゴンである我らの威圧は人にとっては耐えきれぬものであるというのに、むやみやたらとふりまくではないと怒った。あとなんで威嚇しているのか聞いた。なんか呆れた顔された。不服である。


 新聖歴889年 蛇月の三十日



 気づけばラオがやってきて一か月もたっておった。うむ、最初は子種だけもらって追い出そうと思っておったが、ルグネも「パパ」という存在に嬉しそうである。

 それに、なんだ、我もはじめて雄と番ってみたが、悪くはない。我とライラと、ラオとルグネで家族というのも心地よい。うむ、我はいい気分である。

 ちなみに子種だけもらって追い出そうと思っていたと告げたら、「シルだもんなぁ……」と呆れられた。また我が番うのも悪くないといったら、なんか喜んでおった。相変わらず単純な奴である。





 

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