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幕間 ドラゴンさんの親しいドラゴンとは。

 ザイドラ村に住むドラゴンさんとその旦那さんの子供の面倒を共にみてくれているドラゴンがいる。

 そのドラゴンこそが、青竜――ミカガネである。

 ミカガネは四体ものドラゴンを育て上げた子育てのプロである。元々ミカガネは、ドラゴンさんとその旦那さんと少なからず交流があった。とはいえ、ドラゴンさんは興味がある者以外は覚えられない性格なので、こうして親しくするまではドラゴンさんは一切ミカガネのことを認識していなかったわけだが。

 ミカガネは、以前のドラゴンさんを知っているからこそ、今のドラゴンさんの姿に驚きを感じる。それと同時に親しみも感じていた。今までのドラゴンさんは、他人に興味がなく、我が道を行くドラゴンだった。そんなドラゴンさんが、人間の子供を拾い、我が子を産み、立派な親バカドラゴンになっているのはミカガネにとって面白いことだった。

 ドラゴンさんは、ドラゴンたちの中でも有名なドラゴンだった。好き勝手に生きていて、とても強くて――そして何より今はドラゴンさんの旦那さんになったドラゴンとくっつくのかという賭けがされていたぐらいである。ミカガネは、こうして自分がドラゴンさんたちと親しい存在になれるとは思っていなかった。

 ドラゴンさんは自分が興味のあることだけに関心を持ち、ミカガネと何度か会っているのにミカガネの名前さえも覚えていない存在で。

 ドラゴンさんの旦那さんは基本的にドラゴンさんにしか興味がなくて、ミカガネのことは認識していても興味なさ気といった存在で。

 そんな二人に子供が出来、その世話係を頼まれるとは思ってもいなかった。

 ミカガネがそれを承諾したのは、興味があったからにほかならない。そもそもミカガネは、彼らが番になったことさえも知らなかったため、当初話を持ってこられた時、ドラゴンさんの旦那さんが虚言を言っているのではないかと思ったぐらいだった。

 それほどまでにドラゴンさんが、旦那さんと番になることはミカガネにとって信じられないことだった。

 いざ、ドラゴンさんの元へ訪れて驚いた。

 ドラゴンさんは人間の赤子を拾い、そして子供を産み、立派な母親になっていた。

 ドラゴンさんのもとで生活をするようになってミカガネは楽しくて仕方がなかった。何より全然こちらに興味がなかったドラゴンさんがミカガネという存在を認識して、好意を向けてくるのが嬉しかった。今まであまりかかわりがなかったドラゴンさんとその旦那さんを知ることが出来て嬉しかった。周りに関心のない彼らにとって、”家族”という枠組みに自分も入れたことがなんだか嬉しかった。―――恥ずかしいのでそんな気持ちはドラゴンさんやその旦那さんには伝えたことはなかったけれど、ミカガネにとっての本心であった。

 それに、子供たちはとても可愛かった。

 人間の子供も、ドラゴンさんの生んだ二匹の子竜もとても愛おしい存在にミカガネにとってなっていた。

 ミカガネの子達はもうとっくに成竜になっている。久しぶりに子育てにかかわるというのは思ったよりも楽しかった。ミカガネにとってドラゴンさんの子供たちは自分の子供のように慈しむべき存在になっていた。

 ミカガネは、ドラゴンさんのもとにきて人間とも少なからずかかわるようになった。今まで人間と接してこなかったミカガネは、ドラゴンさんたちと共に過ごすうちに人間という種族も悪い者ばかりではないと思うようになった。もちろん、人間の中にはドラゴンの卵を狙ったりと悪い者がいることは知っているが、少なくとも近くにある村の人たちのことをミカガネは好意的に見ていた。

 長く生きているミカガネだけど、ドラゴンさんの元へきて沢山の新しい経験をしている。新しい驚きと楽しさに満ちた生活にミカガネは満足している。

 ドラゴンさんの親しくしていた人間の少女が嫁いで行ったり、ドラゴンさんの両親が近くに住んだり、周りで環境の変化はあるけれども、ここでの生活は本当に楽しいものだ。

 もうすぐドラゴンさんの拾った人間の子が五才になるということで魔力検査を受ける。その後子竜たちも本格的に魔法を学んでいくことになるだろう。その未来を考えるだけでミカガネは楽しみだった。

 子達の子育てのために、ミカガネはドラゴンさんと親しくしている。子育てが終われば少なくとも一緒に住むということはなくなるだろう。

 だけれども、もし子育てが終わったとしてもドラゴンさんたちと仲良くしていければいいなとミカガネはそんな風に考えるのだった。


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