表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/106

ドラゴンさんの子育て日記㊱

 新聖歴892年 氷月の一日


 物語を読むというのはこんなに楽しいことだったのかと、我は楽しんでおる。おすすめの本とかライラがくれるといっておるし、我わくわくしておる。

 そしてあと一月でもう今年が終わってしまう。来年になったらルグネの魔力測定である。ルグネが魔法使えれば良い、と我は思ってならない。


 新聖歴892年 氷月の三日


 我がよく本を読んでいるので拗ねているラオが、本に出てくるセリフを覚えていってくれる。ラオ、中々様になっておる。流石、我の番である。ラオは器用な竜だから、役者とかもできそうだなと我思ったりする。


 新聖歴892年 氷月の五日


 ルグネを我らであたためる。暖かい恰好はさせているつもりだが、それでも風邪をひかないとは限らないからの。我がルグネにくっつきたいだけというのもあるが。家族でぎゅーっとすると、とても暖かいのだ。それに体だけではなくて、こう内側からぽかぽかしてくる感覚があるのである。我、ぎゅーってするの凄い好き。


 新聖歴892年 氷月の七日


 年が明けたら何処にでかけようか、という話をラオやミカガネとする。子たちが楽しめる場所に行きたいと我は思う。家族皆で楽しめるようなおでかけに我したい。


 新聖歴892年 氷月の十日


 温かい服をルグネに着せる。子竜たちは寒くても問題はないだろうが、ルグネは寒くなると大変だからの。我の住んでいる場所は、山の上の方だから雪が積もっているからの。雪遊びなど興味なかったけど、子達が楽しんでくれると思うと雪というものも良いと思う。


 新聖歴892年 氷月の十三日


 我が竜体で寝転がっていると、子竜たちも竜体で寄り添ってきた。ルグネもそこに一緒に寄り添う。種族が違っても、我にとってルグネは大事な子である。改めてそう思う。ルグネはとっても愛い。ルグネが幸せに生きられるように、母はいつも願っておる。もちろん、シノウールとラビノアのことも、母は思っておる。


 新聖歴892年 氷月の十五日


 ライラからの手紙が来ると嬉しくなる。手紙の中にはおすすめの本の感想などがあった。きんきらきんとの夫婦生活についても書かれていた。ふむ、夫婦仲が良いことは良いことだ。ライラを悲しませたらきんきらきんを我は許せぬ。ライラ、大事。


 新聖歴892年 氷月の二十日


 母君と父君が棲家にやってきていた。母君と父君は子達を可愛がっている。我は母君と父君が子達を見てくれている間、のんびりできる。我とラオだけで子たちを見るのは大変だったかもしれない。そう思うと母君や父君、そして子たちの面倒を見てくれているミカガネには、本当に感謝しかない。

 その感謝の気持ちを、思い立ったらすぐ言いたくなって告げた。一杯いったら、なんか呆れられた。でもその言葉は嬉しいとミカガネが笑ってくれた。


 新聖歴892年 氷月の二十二日


 もうすぐ今年が終わる。人の姿になった我は、膝の上にルグネを乗せる。その左右にはシノウールとラビノアがいる。三人の子達を側に侍らせて、我が何をしているかというと読み聞かせというものである。我は本を読むのが楽しいと思い、子向けの本も一緒にもらってきたのだ。それを読んでいるのだ。こうして子達のために読み聞かせをするの、楽しい。


 新聖歴892年 氷月の二十五日


 冬になり、食べるものがなくなった魔物が村の近くで見られて危ないという話を村から聞いた。我はその魔物を食料にするためも含めて狩ることにした。狩りというものは中々楽しいものだ。


 新聖歴892年 氷月の二十七日


 村人たちは我が魔物を狩ったことをとても喜んでいた。この村の連中のことを我はそれなりに好いている。ライラの生まれ育だった村であるし、我らを受け入れてくれている大事な村だ。

 その村の者達が喜んでくれると思うと我も嬉しい。そう思ってにこにこしていたらラオに顔を隠された。なんか、村の雄が我を見ていると、我の笑みを振りまいてほしくないそうだ。本当に心配性というか、我のことをどれだけすいとるのだと思う。でも、そういう好意は嬉しいから良いとしよう。我、ラオに好かれていると思うと益々顔がにやける。


 新聖歴892年 氷月の三十一日


 今年ももう年収めである。今年で五回目。明日になれば、もうルグネも五歳。

 ルグネ、ラビノア、シノウールは楽しそうに村の子達と笑い合っている。この村の子供たちはラビノアやシノウールが竜だと知っているだろうに、人と変わらないように接している。我が子達はこの村にとてもよくしてもらっている。我が子たちは、この村のことを好いている。我も、この村好き。

 ラオは相変わらず我の側にべったりしていた。他の雄が近づかないようにということみたいだ。この村の連中は我らが番であり、ラオが嫉妬深いことも知っているし、我に手を出したりはしないと思うのだが、ラオは相変わらずだ。

 来年は、もっと楽しい日々になればいいと思う。沢山の思い出を来年も作っていきたい。大好きな家族と共に。

 まずは、来年はルグネの魔力測定だ。我、楽しみ。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ