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ドラゴンさんの子育て日記㉞

 新聖歴892年 摩月の一日


 ルグネのための材料集め。色々難しいもの沢山あったが、頑張った。


 新聖歴892年 摩月の五日


 材料集めをちゃんと終えて、きんきらきんが手配してくれた医者に診てもらった。医者はラオが王都から連れてきた。


 新聖歴892年 摩月の七日


 薬もちゃんと飲ませたし、ルグネはこのまま無事によくなるだろうということだった。我、凄く安心した。ルグネ、母がついておるからの、そんな思いでルグネの手をぎゅっと握る。

 我だけではなく、ラオ、シノウール、ラビノア、母君、父君、ミカガネ、と皆が心配しておるのだぞ。ライラもここにはこれていないけれど、手作りのお守りを送ってくれたのだぞ。


 新聖歴892年 摩月の十日


 ルグネ、少しずつ元気になっておる。我はとても安心した。人間の医者なるものに、集めてきた材料のあまりを売ってもらえないかと言われた。我はルグネが心配で大量に持ってきていた。それをルグネと同じ病気の人の子のために使いたいのだと。

 人間は、ルグネの犯されている病で大変な目になっているのだという。ルグネを拾う前の我なら人間とかかわることもなく、こんなことを頼まれる機会もなかっただろう。でもルグネを拾い、我が子を腹を痛めて生んだ我にとって他人事ではない。なのでルグネがまた同じ病気にかかった時のことを考えて一部の材料を保管し、残りを売ることにした。お金、なるものをもらったが結局まだ我はそれがどのくらいの価値のものか分からないのでラオに全て任せた。


 新聖歴892年 摩月の十二日


 ルグネはもう歩き回るぐらいには元気になっていた。我、一安心。


 新聖歴892年 摩月の十四日


 ルグネが元気になったお祝いを皆でした。ルグネが生きていてくれて我は本当に嬉しい。もし、ルグネを失うかと思うと悲しくなる。人と竜では寿命が違う。だからこそいずれ別れが来ることは分かってる。

 ルグネは我より早く死ぬ。――でも寿命以外で亡くならないでほしいと我は願ってならない。出来るだけ長く生きてほしい、そして幸せになってほしい。そう、思うのだ。


 新聖歴892年 摩月の十五日


 母君とミカガネとお話をした。人の子というのは、竜の子よりもやはりか弱い存在なのだ、だからこそ気をつけなけれなならないという話になった。それには我も同意する。

 ルグネが流行病にかかったからこそ、余計に我らはそのことを実感した。

 我ら竜は、病気というものにそうそうかからない生き物だ。絶対にかからないというわけではないが、百年に一度でも病気になれば珍しいというぐらいなのだ。身体が人よりも頑丈で、生命力も高い我らは人と過ごすのであればもっと人という存在がか弱い存在だという実感を強めていかなければならない。

 病気のルグネを見るのはつらいのだ。


 新聖歴892年 摩月の十七日


 なんかきんきらきんがこっちくるそうだ。ライラは妊娠しているのもあって今回は村に来ないらしいが。

 流行病の薬の材料のお礼も含めてらしいのだ。


 新聖歴892年 摩月の二十日


 きんきらきんがやってきた。きんきらきんのこと、ルグネは結構慕っている。ラビノアとシノウールもライラの旦那さんだからと仲良くしている。我がきんきらきんきんきらきんとしか呼ばないからか、ルグネはきんきーなどときんきらきんを呼んでいた。ラビノアとシノウールが「名前はそうじゃないよ、兄さん」などと告げてきんきらきんの名前を教えていた。そして我に向かって「名前で呼べばいいのに」などと言われたが、きんきらきんはきんきらきんでしかないのである。


 新聖歴892年 摩月の二十二日


 きんきらきんは頭を下げて、国のものたちが助かったといって慌ただしそうに帰っていった。

 我はあまりを与えただけなのだから、そこまでお礼を言われることではないと思うのだが。でもまぁ、お礼というものを言われるのはなんだか気持ちが良いものであるな。

 人には対して関心はないが、我が愛しい子であるルグネと同じ人であると思うと人にもう少し優しくしようかななどと我は思うようになっている。


 新聖歴892年 摩月の二十四日


 元気になったルグネがラビノアとシノウールと楽しそうにしているのを見て心から嬉しくなった。やはり子は、元気でいる方がいい。ルグネが元気でいるように我は強く願おう。もちろん、ラビノアやシノウールも元気であるように我は願った。


 新聖歴892年 摩月の二十七日


 今日は我ら家族で村に降りた。村の人たちも、我の集めた材料のおかげで助かったといっていて凄く感謝された。そしてルグネが病気にかかっていたこともしっていたからか、凄く心配されていた。

 「ルグネが亡くなったらシルビア様がどうなるかわからない、ほっとした」といったことを言われたが、我はそんな風に見えているのか? でも確かに我、大切に思っているルグネを失ってしまったら、どんなふうに行動するか想像が出来ぬ。まぁ、我が暴走をしたとしても我が番であるラオが止めてくれるだろうから心配はしていない。



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